続・続・徳山ダム 洪水吐きからの放流告知 |
「観光」という言葉を回避しけながら「観光客の便宜」を図っているこの「徳山ダムのゲートからの放流」。「きれい」「豪快」と賞賛する人ばかりではない。
何かしら関わりのある人ほど、建設目的達成にはほど遠い徳山ダムの現状に照らして、「複雑な心境」になるはずだ(水没住民も、徳山ダムの有効性を証明した人も)。
毎日新聞 2010年5月4日 中部朝刊
http://mainichi.jp/chubu/shakai_sports/news/20100504ddq041040008000c.html
岐阜・徳山ダム:「観光化」納得できぬ 運用2年、利水見通し立たず
◇故郷離れた村民複雑
今月5日に本格運用開始から2年を迎える揖斐川上流の徳山ダム(岐阜県揖斐川町)で、高所のゲートから水を流す「観光放流」が4月29日から3日まで行われた。放流が行楽期のイベントとして定着する一方、国が木曽川水系連絡導水路事業を当面凍結したことで、建設目的の一つだった利水が始まる見通しは立たないまま。ダム建設のため故郷を離れた旧徳山村民の胸中は複雑だ。【岡大介】
放流は揖斐川町の要請で事業主体の水資源機構が昨年の5、8月に続いて実施した。1日6回、毎秒3・2トンの水を10分間ゲートから流した。5日間で約8800人が訪れ、コンクリートの斜面にうろこのような模様が表れると「きれい」と歓声を上げた。
一方で利水はゼロの状況が続く。国は水を長良川経由で木曽川に流す導水路の建設を計画していた。しかし、昨年5月に名古屋市の河村たかし市長が導水路事業からの撤退検討を表明し、10月には国が事業凍結を決めた。
旧徳山村から岐阜県北方町に移住した大牧冨士夫さん(81)は「運用が『観光化』では納得できない。徳山ダムは無用なダムだった」と言い、導水路建設にも反対する。「ダムができてしまったから導水路も造る。そんな論理で無駄を繰り返してほしくない」
ダム湖畔には旧徳山村をしのぶ施設「徳山会館」がある。副館長の中村治彦さん(49)は「個人的にはこのまま導水路事業が無くなってもいい」と話すが「ダム建設のために移転を決断した上の世代の中には『水を使ってほしい』と考える人もいるだろう」と言う。移転補償を巡る交渉は住民の間にもしこりを残した。今、ダムや導水路事業の是非について旧村民たちで話すことは少ない。
ゴールデンウイーク中、徳山会館には旧村民や村にゆかりのある人が次々に訪れている。中村さんは言う。「観光放流を見に来た人はいないと思う。徳山の風やにおい、季節を感じたくて来るんです」
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なお、大牧冨士夫さんの4月20日の投稿については以下に。
blog 水没住民は無用な事業の連鎖を望んではいない
http://tokuyamad.exblog.jp/13512120/