「土木とはそういうもの」- ② |
(承前)
予定されていたことだが、11月11日に淀川水系河川整備計画(案)に対する四府県知事合意が発表された。三重県のHPがアクセスしやすいのでこれをリンクしておく。
報道でも大きな反響があった。
社説を2つ。
淀川水系ダム―知事の反乱を受け止めよ(朝日新聞08.11.12付 社説)
淀川水系のダム 国交省は「聞く耳」持て(中日新聞08.11.12付 社説)
この四府県知事合意に関しては、今のところ報道では大戸川ダムの中止要望のみがクローズアップされているが、「一つダムが中止になりそうで良かったね」で終わる話ではない。「淀川水系河川整備計画」にまつわる問題は、非常に多岐にわたるし、「今後」にかかってくる部分も大きい。この稿は、淀川水系河川整備計画あるいは淀川水系について語るのが目的ではないので、このくらいにしておこう。
ただ、川辺川ダム・大戸川ダムと続けて、地元知事から中止要求が出たことは大きいことを指摘しておきたい。 実際、以下の記事のような動きが出ている。
ダム事業「抜本的に見直し」 国交省、チーム発足へ (asahi.com 08.11.13掲載)
ダム見直しに検討チーム、国交相が表明…相次ぐ反対意見受け(YOMIURI ONLINE 08.11.14掲載)
私は、これらの記事を見た瞬間に、1995年春頃に「ダム等審議委員会審設置」情報も接したときのデジャヴに襲われた。(そのときから13年半経った…まだこの先13年以上も何かやらないと目処も立たない? 肉体的限界を超えそう。)
さて「土木とはそういうもの」の話である。
11月8日付け毎日新聞の
淀川:危険水位ラインに科学的根拠なし 70年前決定
に対して、淀川河川事務所は、素早く
H20.11.11 平成20年11月8日付毎日新聞夕刊『淀川の堤防「危険ライン」根拠なし国交省認める』との記事に係る見解について<淀川河川事務所の見解>
を発表した。
これを読んで、私は 「土木、特に河川土木とはそういうもの」の感を一層強くした。
同時に「言われたら即言い返す」的な幼児性を感じてしまった。
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11月8日に、大戸川ダムに関して否定的な3府県知事の意見
大戸川ダム「凍結」合意 /3府県知事意見発表へ、今後30年不要(京都新聞)が発表されると、すぐに、近畿地整は、(この3府県知事意見の背景となっている)京都府の技術検討会の「淀川水系河川整備計画案に対する京都府域への効果等に関する技術的評価(中間報告)」(08.9.22)
への反論=H20.11.10 「喜撰山ダム等既存施設の有効活用に関する検討」について をHPに掲載した。
掲載担当者は近畿地整河川部河川調査官となっているが、内容的には、これにも淀川河川事務所が(その所長である小俣氏が)、関係しているだろう、と(勝手に)推測している。
「学識者のコメント」を付ける(位置もまでも)など、上記<淀川河川事務所の見解>とパターンが同じでありすぎる。「近畿地整管内河川部ラインでは、どこもかしこもずっと以前からは常にこのパターンです」と「反論」されるか?
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「素早さ」や「一対一対応」に一種の幼児性を感じるものの、内容的には「学識者の意見」を持ってきて、冷静かつ客観性をもって論しているように見える…
しかし、である。
小俣篤氏が岐阜県河川課長時代に荒崎水害訴訟を意識して行ったことは、「真っ当にデータ収集をして分析する」とはほど遠いことをやってくれた。これが小俣篤・河川課長(当時)の指示かどうかは分からない。だが、彼が当時の責任者であったことは事実である(「部下がやったことで、自分は知らない」などという言い訳はサイアク)。
(続く)