ダム事業プロセス検証タスクフォース?! |
1月20日に国土交通省河川局から発表があった。
ダム事業プロセス検証タスクフォースの設置及び第1回会合の開催について
2009/01/20 (火) 12:00 治水課
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2009eac5cf3d6ce5a1c6909c2ed40a826a0c8d336565b.html
<目的>として、以下のように述べている。
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国民の生命、財産を守るために、知事をはじめ関係者の合意のもとに進めてきたダム事業について、先般、関係知事から以前と異なる方針の表明を受けるなど、ダム事業の進め方の問題点が提起されたところです。
このように、事業の特性上、長期間かからざるを得ないダム事業を対象として、時間の経過等に伴い関係者の意見の変化があった場合に、水害等から国民の生命、財産を守る責務を有する河川管理者としてどのように対応するべきか検討するなど、これまでのダム事業一般のプロセスを検証することが必要となりました。
このため、国土交通省に「ダム事業プロセス検証タスクフォース」を設置し、これまでのダム事業のプロセスを検証することとします。
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「先般、関係知事から以前と異なる方針の表明を受けるなど」と記述しているのだから「川辺川ダム」「大戸川ダム」を意識したことは明白である。
だのに、1月20日の京都新聞の記事=ダム見直す検討チームを設置/国交省 22日に初会合
によれば、国交省河川局は以下のような姿勢だそうだ。
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また同省河川局は、検討結果を大戸川ダムに反映させるかについて「個別ダムを対象にした会合ではなく、時間的にも間に合わないだろう」と否定的な見方を示している。
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個別ダムを対象にしないで、どうやって「プロセス」を検証するのだろう?「(個別ダムの)事業プロセスの検証はするが、建設の是非を検討する会合ではない」とでも言うほうが、まだ筋が通る(屁理屈の程度の問題にすぎないが)。
ところで、これを設置するのが、【治水課】ということに私は注目した(形式的には「国交省」が設置者)。
やはり”これまでのダム事業のプロセスを検証”は、【治水課】なのだ。
『水防対策特定河川事業の創設』=2000年12月
『洪水氾濫域減災対策事業の創設(総合流域防災事業の拡充)』=2006年12月
【治水課】は、「河道から溢れることを想定した治水」方策を(予算制度の形で)出してきたが、実際に目にみえるように採用された事業はほとんどない(小さな事業がいくつか)。
他方、河川整備基本方針・河川整備計画(※)を策定する【河川計画課】は、断固として「ダムが最も効果的。計画高水を少しでも超えたら破堤する(←超過洪水はどうするの?に回答できない)」論を唱えてきた。
そして今回も、微妙に「自分の【課】の発言権増大」を図りながら、なお、「個別ダムを対象にした会合ではなく」として、 【課】の棲み分けをやっている。
当然のことながら、同じ河川局内で【治水課】と【河川計画課】の間を異動することは、よくあること。そうすると、同じ人間が【課】の立場で言うことが変わる…。
さ・す・が「役」人!「役」に徹するのだぁ…と感心してしまう。
※ 05年暮れから06年前半にかけて国交省は「河川整備基本方針は本省マター、河川整備計画は地整マター」と盛んに言っていた。他方、本省【河川計画課】の某補佐は「河川整備基本方針は上位計画、河川整備計画は下位計画」と宣った。「貴方の言う『上位計画-下位計画』は行政法上の概念として考えて良いのか?河川法を所管する官庁としての公権解釈か?」とツッコミをかけたら、1週間くらいああだこうだ小理屈で逃げ回った挙げ句に撤回した。一般市民に対しては「高圧的に小難しい言葉を浴びせて黙らせる」思考であることが見え透く。撤回しなければならないような良い加減なことで、市民を黙らせようなんて古い!甘い!
それにしても、「タスクフォース」などという聞き慣れない言葉を何で使わなければいけないのだろう?
(07.3.23に国土交通省として策定した「アカウンタビリティ(説明責任)の向上行動指針」には、「分かりにくいカタカナ言葉は使わないように」みたいなことを書いてあったけど)