高級(高給)官僚「天下り規制」のすっぽ抜け |
常勤役員3名すべてが国交省の幹部OBで占められている典型的天下り法人である(財)ダム水源地環境整備センターのHP内に
「国と特に密接な関係がある」特例民法法人への該当性について(公表)」なる文が載っていることは前の稿で書いた。
(財)ダム水源地環境整備センターは、ダム・河川の問題に取り組むと「また出たぁ」というほどよく登場する。およそ上品とは言えない「下司の勘ぐり」風に言えば「『ダム』でOBに良い思いをさせている天下り法人」としか思えない。
1987年創立だそうで、「これからは『環境』に予算をつけることになっていく」と知った連中が早々に用意をしたのだろう。

若干古いが、2005年1月27日付け中日新聞記事をPDFファイル版で。
050127中日新聞記事
(財)ダム水源地環境整備センターの平成19年度収支決算(2p)では、「事業収入/調査研究事業収入31億円余」のほとんど(100%に近い)は国・水機構からの受注である。
つまり、簡単に縮めて言ってしまえば、税金で成り立っている法人(ゆえに天下り法人)である。
これがわざわざ「公表」という文で
『「国と特に密接な関係がある」特例民法法人には該当しないので、その旨公表いたします』
などと言うと、『実は「国と密接な関係がある」と思われても仕方がないから言い訳がましいことを言っている(=excuse)』としか読めない。この読んでもさっぱり分からない文章(全部で一つの文。法令の名前がずらずら書いてあって、最後に上記の文がついて終わる)で、何をどうexcuse しているのか知りたくなってしまった。
13日に、当の(財)ダム水源地環境整備センターと国交省河川局と内閣府再就職等監視委員会事務局に電話やメールをしてみた。((財)ダム水源地環境整備センターの担当者は「可及的速やかに」返事を下さった、感謝。同様な財団法人であるリバーフロント整備センターのN部長-2006年にわざわざ喧嘩を売ってくれた-より賢い人であることは確かだ。)
金曜日の夕方からアタックしたのだから、現時点では回答は出揃っていない。
その上で、この時点での結論を言えば、「天下り規制」が正真正銘のすっぽ抜けであることの一端を暴露している、ということである(「該当するかどうかの公表は、所轄官庁からの指示により『透明性を高めるために』行った」そうで、まことに喜ばしい!!! 公表しているのに、マスコミも含めて「国民の皆様」が問題にしないのだから(天下りは)「国民の皆様」のご理解・ご支持を得ている、というexcuseにもなる)。
下の一連の法令はいわゆる「天下り規制」である。「『国と特に密接な関係がある』特例民法法人」に該当すると、OBがその法人に行くには予め内閣総理大臣に届けでなければならない。(該当しなければ届けでなくて良い、ということ)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
★ 国家公務員法 第106条の24 第1項 4号
管理職職員であつた者(略)は、離職後二年間、次に掲げる法人の役員その他の地位であつて政令で定めるものに就こうとする場合(略)には、あらかじめ、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に政令で定める事項を届け出なければならない。
四 公益社団法人又は公益財団法人(国と特に密接な関係があるものとして政令で定めるものに限る。)
★ 職員の退職管理に関する政令 第32条
法(=国家公務員法)第106条の24第1項第4号の政令で定める公益社団法人又は公益財団法人(以下「公益法人」という。)は、当該公益法人が国から交付を受けた補助金、委託費その他これらに類する給付金(以下この条において「給付金等」という。)のうちに占める第三者へ交付した金額の割合、当該公益法人が国から交付を受けた給付金等の総額が当該公益法人の収入金額の総額に占める割合、試験、検査、検定その他の行政上の事務の当該公益法人への委託の有無その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものとする。
★ 職員の退職管理に関する内閣府令
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
2005年の新聞記事(国会議員を通じて資料請求したものを報道関係者に公開することによって記事になったもの。朝日新聞も記事にしている)にあるように、100%随意契約というのは批判を浴びてマズイので、最近は「簡易公募型プロポーザル方式」などと、ヨ-分からん契約方式を採っている。しかし「簡易公募型プロポーザル方式」などというのも、私の認識もでは随意契約の看板の掛け替えにすぎない(そして発注者も大枠では「随意契約」に分類して表示いている)。
(財)ダム水源地環境整備センターの事業収入のほとんどは、この手の契約で国や水機構から得ている。( 平成19年度収支決算)
しかし、その受注による「事業収入」は「職員の退職管理に関する政令」「職員の退職管理に関する内閣府令」に書かれた「補助金、委託費その他これらに類する給付金(=「給付金等」)」ではないから天下り規制の対象には該当しない、ということらしい。
法律(国家公務員法106条の24)の趣旨は「天下り規制」である。この法律の条文で政令(=内閣が決める、ゆえに結局は官僚が決める)委任することで、規制対象が狭められていく、さらに省令でもっと換骨奪胎することも可能になってしまう、というわけだ。
この方式でいけば、世間の感覚でいえば「天下り法人」としか思えない財団法人・社団法人の多くは「天下り規制対象外」となるのだろう。
常勤役員3名すべてが国交省の高級官僚OBであるこの(財)ダム水源地環境整備センターが「『国と特に密接な関係がある』特例民法法人には該当しない」となると、「じゃあ『国と特に密接な関係がある』特例民法法人っていうのは一体何なんだ?」。
官僚が作る「政令で定める」にしてしまう限り、この手の話は尽きないだろう。
ドロボーにドロボー取締りのルールを作らせる・・・考えてみたら「世界で最も残虐な無差別大量殺人集団」が「テロとの闘い」の先頭に立っているのだから、このくらいは当たり前か・・・・。
やれやれ。