徳山ダム 初の観光放流 |
4月29日の午前中に、共通のMLに参加している知人から投稿があった。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
寝ぼけながら聞いた今朝のラジオで,「連休中に何度か観光客へのサービス?で徳山ダムの水を放流する」という話をききました。「虹ができてきれいでしょうね」などとコメントしていました。丁度一年前,試験放流で揖斐川のアユに大きな影響があったのを思い出しました。岐阜のみなさん,色々な情報を集めてください。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
知らなかった。
早速徳山ダム管理所のHPを見ると、4月20日付けの発表が載っていた。
徳山ダム観光放流を実施します
曰く「洪水吐きからの放流はなかなかご覧になれませんので、この機会に是非お越しください。」
んんん、これは一般市民向け、なかなかアトラクティブ。
実際、洪水期に入ってしまうと、普段は水位を下げておく。「洪水調節機能」がたっぷりないと困るからだ。そうなると「強烈な降雨で徳山ダムの洪水調節容量1億トンが満杯になるとき」以外には洪水吐きからの放流はない。そんなオソロシイときにあの山奥のダムを見物に行く観光客はいないから、「洪水吐きからの放流はなかなかご覧になれません」。そりゃそうだ。
徳山ダム観光放流の実施について
これは完全にマスコミ向け。「取材しろよ」ということ。
でもってバッチリと写真付きで記事になった。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
☆中日新聞 岐阜県版 2009年4月30日
徳山ダムで初の観光放流 水面に美しいウロコ模様
【写真】観光放流が開始され、きれいなうろこ模様を描き出す徳山ダム=揖斐川町で、本社ヘリ「あさづる」から
ウチに配布された中日新聞の見出しは GWに巨大”こいのぼり” PDFファイル版
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
この「美しき模様」を出すためのゲート操作には、随分な工夫と苦心があったことだろう。
かつて昔、ダム(管理)技術者は、「ダムによる洪水調節を目一杯行って下流を水害から守るため」に、職人芸を磨いた。今のほど気象予測の技術もない時代、大雨に対して「勘」を働かせて、ダム操作規程をあえて無視して、前もって多くの予備放流を行ったり、但し書き放流をぎりぎりまで延ばしたりした(両方とも「違反行為」である。場合によっては処分を受ける。それどころか、もし水害被害が問題になれば、「トカゲの尻尾」として確実にクビが飛ぶ)。
今のダム(管理)技術者は、「美しい模様を作るため」に職人芸を磨いているようである(「美しき模様」は、多分、手動ではなく、「観光放流のための模様づくりゲート操作プログラミング」の賜だろう)。
☆ 岐阜新聞 2009年04月30日
徳山ダム、迫力の水しぶき 観光放流始まる
【写真】洪水吐きから観光放流される様子に見入る観光客ら=揖斐郡揖斐川町、徳山ダム
☆ 読売新聞 2009年4月30日
徳山ダムで初 観光放流 / 5月2~5日にも1日3回
【写真】観光放流を見守る観光客ら
☆ 毎日新聞 2009年4月30日
1面
22面岐阜・徳山ダム:観光放流開始 きれいだ…でも、こみ上げる怒り 旧村民の思い複雑
【写真】徳山ダムを眺める長屋昭二さん=岐阜県揖斐川町の徳山会館で29日、竹内幹撮影
PDFファイル版 (2枚)
。。。。。。。。。。
「美しい」… だが喜べない。
何のためのダムなのか?
何のために徳山の人たちは村を去り、ふるさとを湖底に沈めることを容認したのか。
年に一度、GWのときに観光客が喜ぶ壮大な見せ物を演出するためなのか。
このダムを作ろうとした人たちよ、「答えておくれ」。