徳山ダム 存在しない水需要 |
岐阜県が徳山ダムで確保した水(水道用水・工業用水)は、大垣地域で需要が発生することになっている。が、「水の都」大垣とその周辺地域に、新たに徳山ダムの水-揖斐川の表流水を取水するという話が出てくるはずがない。
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中日新聞【岐阜】(岐阜県版 2009ぎふ)2009年5月3日
徳山ダム本格稼働から1年 難しい水需要開拓
【写真】観光放流が開始され、きれいなうろこ模様を描き出す徳山ダム=揖斐川町で、本社ヘリ「あさづる」から
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そもそも水源開発の負担金を一般会計から支出するなど、およそ「法の予定するところ」ではない。地方財政法第6条に違背する。私たちは1999年3月に住民訴訟(公金支出差止訴訟)を提訴した。名古屋高等裁判所は、理由不明の「判決言い渡し延期」をした挙げ句、2006年8月31に、争点をすり替えた「騙し討ち判決」を行った。(9/13上告)。2007年11月30日、最高裁で上告棄却(不受理)、敗訴が確定した。
裁判所の言いぐさは、(アバウトにいえば)「将来にわたって絶対に水需要が発生しない、とまでは言い切れない」ということだ。
そして、皮肉を込めて「裁判所の責任範囲はそこまで。後のことは知らん」。
だが、裁判所で懸命に「徳山ダムの水は(大垣地域で)必要不可欠だ」と主張した岐阜県(知事-兼企業会計責任者-)が、今、非常に困っている。
「だから言ったじゃないの」。
私は岐阜県庁の河川課だけではない、他の部署でもこのフレーズをパクって、職員に説教(脅迫?)してる。
しかし岐阜県民の一人として、「だから言ったじゃないの」と得意がって済む話ではない。
岐阜県では「カネがないから(本当に必要なことなのに)できないこと」が多すぎる。
着手してしまった巨大公共事業に「待った」をかけることは容易ではない-それは、理解できる。そして土木建設事業にはあれやこれやの政治的「しがらみ」がつきまとっていることも分かっている。
だが、「『待った』をかけることによるあれやこれやの目の前の困難」を回避し、問題を直視することをさ先送りし続けた挙げ句の、今直面する大きな困難。
国の立場、岐阜県の立場で、徳山ダム建設を押し進めてきた公務員の皆様方は、今、どう考えているのだろう?
(「選挙」を経てなる議員や首長などの特別公務員については、ここでは言及しない)
なお、愛知県も名古屋市も利水者であるが、徳山ダムの水は「要らない」。
論理的にも法的にもアヤシイ「異常渇水に備える。治水安全度の向上」という呪文で誤魔化そうとしているが、水源開発費+導水路の投資に見合うものとなりえないことは断言できる。
<追補>
★読売新聞記事 (2009年5月5日 )
徳山ダム本格稼働1年 水需要予測に甘さ
供給先の見通し立たず 治水面では一定の効果
【写真】 徳山ダムを見学する観光客ら
揖斐川町に建設された国内最大規模の徳山ダム(総貯水量6億6000万トン)が5日、本格稼働して1年となる。治水面で一定の効果が実証された一方で、利水面では岐阜県内の供給先の見通しが立たず、水需要予測の甘さを露呈した。巨額な建設費負担が今後、県財政を圧迫しそうだ。(以下略)
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