導水路「下流施設」がシブトク残る本当のわけ-(1) |
~ 長良川河口堰の中流部取水の企ては消えていない~(1)
<書き足し>「やっと」この件が、6月25日の朝日新聞名古屋本社版の記事になった。
090625朝日新聞記事
国交省 二枚舌
5月7日の「第2回監理検討会」で、「長良川への常時放流(名古屋市工水0.7立方メートル/秒)はやめて、異常渇水時だけ長良川に放流する」という方向に話を向けてきたようである。
前にも書いたが「じゃ、なんで下流施設が要る?」と不思議に思うほうが普通。
「異常渇水時には、木曽川大堰下流のヤマトシジミを救済するために4.0立方メートル/秒(※)を木曽川にもっていかなければなりません。下流施設にしたほうが10億円のコスト縮減になります」
誰が見ても説得力のセの字もない(2007年9月に、「コスト縮減です。コスト縮減、それだけです!」と宣った中部地整の係長氏の顔は引きつっていた…可哀想。正直な人がウソをつくときには顔に出る)
※ 大河・長良川から伊勢湾に流す確保流量の数値が4.0立方メートル/秒である…長良川河口堰からチョロチョロとこれだけを流す。
木曽川水系連絡導水路「下流施設」は、長良川河口堰取水の兼用施設として検討されたことはすでに明らかになった。
07.3.16 徳山ダムに係る導水路検討会 第5回幹事会 資料
なぜ、中部地方整備局は、愛知県・名古屋市の要望に従って、長良川河口堰取水兼用施設案を作らねばならなかったのか。
まさに「要らない施設・長良川河口堰の暗い過去」の亡霊そのものである。
中部地整に開示請求した<長良川河口堰取水位置に関する、国と愛知県名古屋市との<やりとり>文書をみてみよう。
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◎ 08.11.26請求 08.12.25開示決定 A ~ I
開示文書名 長良川河口堰関係公文書綴り
(PDFファイル版10枚)
(請求文書名:長良川河口ぜきからの取水施設の位置に関する申し合わせ等のわかる文書、ただし長良川河口ぜき建設事業開始から2004年までのもの )
Ⅰ.1987年
三重県が長良川河口堰の工業用水分を「返上」し、愛知県と名古屋市が「尻を拭いた」時期の取り交わされた文書。
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A 1987.4.20
名古屋市長 → 建設省中部地方建設局長
62総プ 第11号
昭和62年4月20日
長良川河口堰に係る覚え書き及び了解事項の締結について(照会)
1.三重工業用水から愛知県地域に変更する4立方メートル/秒程度のうち、本市に変更する水量は0.1立方メートル/秒を限度とすること。
2. 本市に変更する水量の水源は岩屋ダムとすること。
3.本市に変更する水量の用途は工業用水に限定されないこと。
4.かねてより要望している取水地点の変更に関し、長良川河口堰の取水については朝日取水口から、また朝日取水口からの取水については犬山取水口からの取水に変更できるよう貴局の責任において措置されたい。
B 1987.4.20
建設省中部地方建設局長 → 名古屋市長
建部河調第33号
昭和62年4月20日
長良川河口堰に係る覚え書き及び了解事項の締結について(回答)
昭和62年4月20日付け62プ第11号で照会のあった標記について・・・
1.了解する。
2.今後、貴市の要望に沿うようにしたい。
3.関係行政機関等の調整のうえ、貴意に沿うようにしたい。
4.関係行政機関等の調整が必要となるが、流況変化に対する問題が解決されれば、取水地点の変更が可能となるように措置したい。
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C 1987.4.24
愛知県知事 → 建設省中部地方建設局長
62水対第27号
昭和62年4月24日
長良川河口堰に係る覚え書き及び了解事項の締結について(要請)
(前略)下記事項のご了解をいただくようお願い申し上げます。
1.木曽川水系で開発される三重工業用水のうち、愛知県地域に変更する用水(以下「転用用水」という)」の本県分については、用途を工業用水に限定されないこと。
2. 転用用水のうち本県分の取水については、犬山取水口と馬飼頭首工の間で、本県の希望する位置とすること。
3.転用用水の水価については、当県の事情を十分に配慮されたいこと。
D 1987.4.24
建設省中部地方建設局長 → 愛知県知事
建部河調第34号
昭和62年4月24日
長良川河口堰に係る覚え書き及び了解事項の締結について(回答)
(62水対第27号への回答)
1.1については、関係行政機関等の調整の上、貴意に沿うようにする。
2.取水位置については、関係機関等の調整の上、貴意に沿うように措置する。
3.貴意の水価についてのご要望は、十分認識しております。
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E 1987.4.24
愛知県企画部長 → 建設省中地方建設局河川部長
62水対第31号
昭和62年4月24日
長良川河口堰で開発される都市用水の取水施設等について(要望)
(前略)取水地点は出来るだけ上流とすることを昭和46年12月16日付け46水第2号にて要望しているところでありますが、・・・・転用問題の解決にあたり、本県の取水導水計画を検討する必要がありますので・・・ご回答くださるようお願い申し上げます。
記
長良川河口堰で開発される愛知県都市用水(木曽川導水事業に係る水源2.0m3/Sを含む)及び木曽川水系で開発される三重県の工業用水のうち、愛知県地域に変更される用水については、本県の希望する位置で長良川河口堰建設事業のしゅん工時に水利用ができるよう、導水施設の事業化を図られたい。
☆ 1987.4.24
建設省中部地方建設局河川部長 → 愛知県企画部長
建部河調第38号
昭和62年4月24日
長良川河口堰で開発される都市用水の取水施設等について(回答)
(前略) 昭和62年4月24日付け62水対第31号にて要望のあった長良川河口堰で開発される都市用水の取水施設等については、河川管理に支障のない範囲で要望の趣旨を尊重し、貴県をはじめ関係機関と十分協議していく所存であります。
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(続く)