導水路「下流施設」がシブトク残る本当のわけ-(2) |
~ 長良川河口堰の中流部取水の企ては消えていない~(2)
(承前)
◎ 08.11.26請求 08.12.25開示決定 F ~ I
開示文書名 長良川河口堰関係公文書綴り
Ⅱ.1993年
愛知県の長良川河口堰からの取水-導水が(僅かな分であっても)具体化した頃に愛知県と建設省中部地方建設局との間で取り交わされた文書
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F 1993.8.2
愛知県企画部長 → 建設省中地方建設局河川部長
5水対第45号
平成5年8月2日
長良川河口堰に係る開発水の取水地点について(照会)
平素は・・・
さて、このたび貴職を始め関係機関のご配慮により、長良導水事業が実施に向け水資源公団法の手続に入ることになりました。
長良川河口堰に係る開発水の取水地点につきましては、河口堰の事業実施方針回答時の要望、或いは昭和62年に整理された三重県転用工水の受け入れの再の中部地方建設局長及び貴職への照会等、かねてから本県での有効利用できる上流での取水を要望し、本県の意向を尊重し対処する旨のご回答を頂いているところであります。
しかしながら長良導水事業につきましては、本県の意向にかかわらず河口堰直上流での取水計画とされております。
こうしたことから、長良導水事業実施に当たり下記事項について貴意を伺いたいので回答くださるようお願い致します。
また貴職におかれましては、長良導水事業が河口堰と不離一体の事業であること、三重県工水転用時の調整経緯を踏まえ、本事業の円滑な推進につきまして関係者の調整、ご指導等につきまして特段のご配慮をいただきますよう併せお願いいたします。
記
○ 今回の長良導水事業の取水位置が河口堰直上流となった理由。
○ 長良川河口堰に係る開発水の内、長良導水分を除く本県分の取水位置についての対応方針。
G 1993.8.3
建設省中部地方建設局河川部長 → 愛知県企画部長
建部河調第59号
平成5年8月3日
長良川河口堰に係る開発水の取水地点について(回答)
平成5年8月2日付け5水対第45号で照会のありました件について、下記の通り回答致します。
なお、長良導水事業については河口堰と不離一体の事業であることから、事業の円滑な推進のため河川管理者として適切に対処してまいりますので、貴県におかれましてもご協力をお願い致します、
記
1.今回の長良導水事業の取水位置が河口堰直上流となった理由
現時点において、河川管理面等から詳細な検討を行った結果、堰直上流での取水は止むを得ないものと判断されますので了解願います。
2.長良川河口堰に係る開発水の内、長良導水分を除く貴県分の取水位置について
現時点において、上記理由により堰直上流おいて取水して頂くことを考えております。
但し、今後、河口堰完成後における河川管理面の状況を踏まえ、木曽川水系における水利用の合理的再編成の検討など三重県工水転用時の調整経緯を尊重し、貴県の要望に沿うよう関係行政機関との調整を図って参ります。
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Ⅲ.2004年
徳山ダム事業費大幅増額に伴う徳山ダム建設事業実施計画の変更の際に取り交わされたもの … 「徳山ダム事業」の協議に長良川河口堰取水位置の話が絡まっていることに注目!
H. 2004.7.8
国土交通省中部地方整備局河川部長 & 愛知県企画振興部長(平成16年7月8日)
確認事項
国土交通省中部地方整備局(以下、整備局という。)と愛知県は、徳山ダム建設事業実施計画の変更協議に当り、下記事項を確認する。
記
1. 愛知県が近年2/20の水道用水安定供給のために確保する長良川河口堰転用水5.46立方メートル/秒及び徳山ダム開発水2.3立方メートル/秒について、硬質的な運用と水系内でも広域的な利用ができるよう、関係機関・県市の検討・調整を進め、導水施設の完成に合わせて水利使用が開始できるように努めるものとする。
2.愛知県は、記1の長良川河口堰転用水のうち4.52立方メートル/秒を尾張西部上水場で利用する予定であり、そのために長良川からの取水地点及び導水ルートの計画案を早期に作成する。
整備局は、今後具体的な案が出てきた段階で協議を進めるものとする。
3.今後の水資源関係事業の推進に当たっては、事業費及び事業内容が一定の変更要件に街頭する場合には、早い段階から節目節目で適宜費用負担者へ説明し、適切に事業費変更を行うこと。
I. 2004.7.8
国土交通省中部地方整備局河川部長 & 名古屋市上下水道局長(平成16年7月8日)
確認事項
国土交通省中部地方整備局(以下、整備局という。)と名古屋市は、徳山ダム建設事業実施計画変更協議に当り、下記事項を確認する。
記
1.整備局は、今回の木曽川水系における水資源開発基本計画の改定作業での水資源分科会ならびに同木曽川部会での議論を踏まえ、木曽川水系の水資源安定供給確保および有効利用に努めるものとする。
2.整備局は、名古屋市が徳山ダムおよび長良川河口堰で開発した水の木曽川への導水について、名古屋市の既存の取水・導水施設が有効に利用できるよう協力するとともに、導水施設の完成に合わせて水利使用が開始できるように協力するものとする。
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この一連の文書から分かることは「長良川河口堰で三重県が要らないといった分を引き受けてやったのだから、長良川河口堰中流部取水を認めろ」という愛知県と名古屋市の強硬な姿勢に国交省中部地方整備局が屈しかけたのが
07.3.16 徳山ダムに係る導水路検討会 第5回幹事会 資料
に出てくる「導水路下流施設=長良川河口堰取水兼用施設案-最終案-」だった、ということである。
(続く)