激震と余震~河村たかし・名古屋市「徳山ダム導水路撤退」表明とその後~ |
5月15日は、「大変な」1日でした。
朝、6時30分に、長良川市民学習会の武藤仁事務局長に電話で起こされました。「中日新聞を見て!」
私にとっては、この時間は「寝入りばな」。(武藤さんは現役の公務員、長良川を愛するあまり岐阜市から引っ越せなくて、ずっと長距離通勤を続けています。職場に行く以上は、早起きせざるを得ないのです。)
朝刊を見て、「はぁ、ナルホド、『今』、ねぇ」。河村たかし氏が、以前から、徳山ダム建設事業は中止すべきだ、と口にしています。この導水路事業を何とかやめさせたい、という気持ちをもっていることも明らかでした。(注)
ただ、河村たかし市長が、その意向を、いつ、どういう形で表に出すかまでは、こちらが知るよしもない。
3ヶ月前から病院の予約が入っているので、「ゆっくり」もできない。とりあえず、いくつかメールを打ち、ブログに新聞記事合成写真をアップして病院に行きました(予約時間の1分前に予約カードを機械に入れた、「遅刻」ではない、フーッ)。
注 2003年秋、「徳山ダム大幅増額問題」のさなかの衆議院選挙の立候補予定者への「徳山ダムをやめさせる会」からの公開質問状の「徳山ダム建設事業そのものについて、現時点でどのように考えられますか?」に対して「d. 直ちに工事を凍結して「中止に向けたロードマップ」策定作業に取りかかる」を選択しています。(質問状を作成した私は「直ちに中止する」という選択肢を入れませんでした。2003年6月には、堤体の盛り立てが開始しています。「直ちに中止する」というのは、政策的リアリティを欠く、というのが私の考えでした。
参考サイト
衆議院選挙公開質問状分析結果
公約を読んで投票に行こう!
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15日午後は「第7回木曽川水系連絡導水路環境検討会」の開催が予定されていました。
第7回木曽川水系連絡導水路環境検討会開催について
国交省中部地整は、昨年6月29日に「導水路 意見交換会」と称するものを、岐阜市で開催しましたが、中部地整の説明と市民からの質問・意見だけで、市民からの質問や意見に一切答えないまま終了しました。これが「意見交換」になっていないこと、及びこれでは説明責任を果たしたとはいえないことは、中部地整も認めています。
その後の交渉では「専門的なことは(その場で口頭で答えるのは無理だから)文書で頂ければ」と言いながら、文書での質問に((口頭での質問にも)未だ何の答えもありません。
今年1月の交渉では「説明責任を果たします。岐阜県知事からも厳しくご意見を頂いていますし、関係住民の皆様にご説明しないで本体工事にかかることはありません」と抽象的なことだけを約束して、3月末日で担当者が交代しました。(確かに2008年度中には、本体工事に着手はしなかったけど)
以後は「事業者は水資源機構で・・・」みたいなことを言っています。さらに「環境検討会で環境レポートを纏めて、また皆様のご意見を訊きますから(もう話すことはない)」と来ました。これでは話になりません。そこで5月15日の「第7回木曽川水系連絡導水路環境検討会」の開催前に「公開質問状」を手渡すことにし(物理的に受け取ることを約束させ)、このことを、14日に報道関係者に通知しました。
長良川の魚類の生息及び木曽川のヤマトシジミに関する公開質問状
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ところが、この朝のスクープ記事です。
職場に着いた武藤仁・事務局長に電話取材が殺到 … 「職場でのこれから先の処遇」を考えている人なら、ビビってしまうでしょう(武藤仁さんは、もう腹を括っています。逆にここまで話がデカくなったら、上司も露骨なイヤガラセはできない。「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」。”出過ぎた杭”になると気が楽です、オススメ)
病院に向かう直前に、無役の私にも「夕刊用コメント」が求められました。
で「あ、『長良川市民学習会としてのコメント』か、『代表談話』か、文字にしたのものを、公開質問状手渡し前に用意する必要がある。そうでないと、代表と事務局長は報道各社に捕まってしまって、何もできなくなる」と思いました。武藤さんに電話をし、「Tさんに起案を頼めない?」と訊いたら、まさに前日に近いお身内のご不幸があったとか。
私の「病院の予約」はいつも満杯で「45分遅れ」とか「60分遅れ」とか出ます。「45分遅れ」の表示が出ていました。「これなら自転車で自宅に戻って起案をMLに載せて、戻って来ても間に合う」と判断。まさに駆け戻って10分で起案してMLに流しました。病院に駆け戻ってみると「あと3人」で間に合いました。
また武藤さんに電話して「MLに流したから誰かに情報を拾って貰って、修正・印字・印刷を指示して下さい」と依頼しました。後から分かったことは、武藤さんは3名の方に、電話で依頼。幸運なことに粕谷志郎代表が、MLでの原案をキャッチして、修正意見をまたMLに出し、それを山内克典さん(岐阜大名誉教授。この日の公開質問状の主役)がキャッチして、形を整えて配布できるように印刷して下さいました。どこかで滞ったら間に合わないところでした。素晴らしい連携というべきか、危ない綱渡りというべきか … 。
ここまで内情をバラさずに「実は河村市長と通謀していて、予めコメントを用意していたのか」と勝手に推測して貰っておいたほうがトク?
長良川市民学習会声明
「木曽川水系連絡導水路建設事業から撤退する」旨の、河村たかし名古屋市長の勇気
ある決断を高く評価し、歓迎する
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この日の木曽川水系連絡導水路環境検討会は、TVカメラもたくさん入って、報道関係者のヤマ。
公開質問状を渡す場面では、武藤仁事務局長と山内克典さんが報道の取り囲まれて、私はその場面を見ることもできない有様でした。
「私が(公開質問状を)受け取ります」と言っていたM専門官は会場に来れず(代理の人間が受け取っていた)、事務方トップとして来なければならないはずの中部地整河川部広域水管理官も大幅遅刻。「激震」ぶりがよく分かります。
「~にも拘わらず粛々と(※)」既定方針通りに検討会をやっている構図全体がアホらしくて、一種、面白く感じました(同時にコワイ。何があろうとも行政密室会議ですでに決め、法的手続きにも乗せたことは梃子でも動かない、動かさない、動かしてはならない、というほとんど「信仰」に近いものを感じましす、背筋がゾー)。
休憩時間中に廊下を走っているY広域水管理官に出あいました。
「Yさぁ~ん、きょうは朝から大変でしたねぇ。大幅遅刻で、もしかして来られないのかと思いました。最近はお偉くなって、お話もできないので寂しいです。お顔を拝見する機会さえ少なくなったから、会えて嬉しかったですぅ(ニコー)」。
※ 「粛々と」は何度も繰り返せば「内心は粛々どころではない」ことが大バレ。
第7回 木曽川水系連絡導水路環境検討会開催結果について
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この日のうちに岐阜県河川課に「18日に緊急要請書をもっていくから」と無理矢理予約を入れ、18日(月)14時45分から15分時間をとって貰いました。
長良川市民学習会 緊急要請書
09.05.19新聞記事
6/6には、長良川市民学習会企画・トーク&コンサートも行います。
長良川市民学習会のHPをよろしく。
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5月19日付けで、以下の「撤退表明歓迎声明(談話)」が出されています。
導水路はいらない!愛知の会
声明
導水路事業からの撤退を表明した
河村名古屋市長の英断を高く評価し、歓迎します。
愛知県にも撤退のための真摯な検討を求めます。
名古屋水道労働組合中央執行委員会(談話)
名古屋市長の「木曽川水系連絡導水路建設事業からの撤退」表明について