導水路「撤退表明」その後09.06.04 |
毎日毎日「何か」あって、ブログの更新もままなりません。
前の以後の動きや報道に関して、拾っておきます。
09.05.24の中日新聞朝刊「核心」は「紙上討論」でした。
【推進派】 国土交通省中部地方整備局河川環境課長 笹森伸博氏
温暖化 渇水を懸念
【反対派】 法政大学教授 伊藤達也氏
水余り 数字で明白
PDFファイル版
1枚に納めるには縮小しなければならなかったので。1枚の他に等倍のものを2枚に分割して載せます。
伊藤達也さんが「反対派」で登場するのは「想定内」です。
長良川河口堰を巡る住民訴訟では原告団体の責任者を務めましたし、2003年結成の「徳山ダムをやめさせる会」の共同代表でした。木曽川水系の水資源政策の失敗を批判する著書は「高い枕」になるくらい著しています(私は、著者から直々にご本を頂いていながら、ツンドク状態でまともに読んでいないケシカラン読者で、そのくせ他人様に「読め、読め」と言って回っています)。
「『推進派』は、辻本哲郎氏が良いよねぇ」と私は勝手に思っていましたが、どうも辻本氏は、あれこれ理由をつけて断ったみたいです(伝聞+推測)。
木曽川水系流域委員会委員長としての辻本氏の、この問題に関する「放言・放談」の類をさんざん聞かされました。学者らしからぬ(※)、ほとんど「自分の好み」のレベルでモノを言っていました。だから、辻本氏は、この件でマスコミや市民の前には出たくないのかな、と思いました。
※ 一部市民の間では、「そもそも学者なんていうのは、個別の”事業”や”政策”の話になると、科学的根拠なんて関係ない、ほとんど自分の好みと思い込みでモノを言うものだ」という根強い意見があります。そういう学者も確かに居る・・・そうでないちゃんとした学者も居ますけど。どちらも居るからそう言われると「そうなんですかぁ」で流すしかないです。
でもって、「推進派」は学者が見つからず、官僚さんになったようです。
まさに「仕事」で事業を推進している役職の人を「推進派」というのは、変ですね。
つまりは、こんな(馬鹿馬鹿しい)事業を推進すべきだとしているのは官僚しかいない、ということを如実に表していまるように感じます。その役をやらざるを得なくなったのが、笹森伸博・中部地整河川環境課長だったのは大笑い。
笹森伸博氏は、私の「年下のカレシ」( \\O//)なんです…片思いの。
1998年の質問主意書に個人名を記された(石井こうき議員=「個人名は削って欲しい、と(内閣の質問主意書担当部署に)言われたのだけど」。私=「この質問主意書の本質は些細な河川法24条違反の問題ではなく、官僚が市民にどういう姿勢で臨まねばならないかを思い知って貰うためのものですから、是非個人名を残してください」)3名のうちの、現役で残っている中ではただ一人の人になっています(…と思う)。
09.05.25の中日新聞朝刊「核心」は、
徳山ダム導水路事業検証 「利水」に「治水」加わる
PDFファイル版
09.05.28中日新聞記事
導水路撤退方針 農業用水に協力要請 名古屋市長 渇水対策で
PDFファイル版
実は渇水でも一番エバっていられる(自流の水利権が大きい)名古屋市ですが、ここは「新しい水源(水利権)調整システムの構築」を、名古屋市が先頭を切って行うことで、どこからも文句を言わせない(感謝される)撤退-事業そのものの中止-を行うのが一番「正しい」と私は思います。膨大な農業用水の水利権をもっている農業団体に敬意を表して協力を要請するのは大変良いことだ、と。
長年の(私が関わるよりずっと前からの)木曽川水系の水資源問題に関する行政(大いに河川管理者を含む)との「闘い」が結実しつつあります。
大変喜ばしい。(まだまだ紆余曲折はあるでしょうけど)
そして、26日、水資源機構木曽川水系連絡導水路建設所のHPに、27日開催の会議のお知らせが載りました(25日発表だそうですが、HPに掲載されたのは、26日、それも早い時間ではなかった)
木曽川水系連絡導水路事業監理検討会(第3回)の開催について
27日に開催が発表されています。
木曽川水系連絡導水路監理検討会の開催結果について
「想定内」です … 他の3県は、「これまで一緒に議論してきたのに、酷いじゃないか」と言わないと議会にも顔向けでいないから言う … お腹の中はともかく。
3県とも負担増は「NO」と言います。
そうなるとカンタン、事業をやめるしかありません。
だって「撤退する、事業の負担金は払わない」と大口の名古屋市がいうのです、どこかがその分を出す、と言わない限り「カネがないから作れない」。
名古屋市の利水分について「導水路の口径を縮小」したって、事業費はそう小さくなりません。断固建設する気なら、事業実施計画を変えて負担者を決めねばなりません。
国だってお金はない、「名古屋市の負担分を治水名目で国が負担する」と言うに言えない、そして「治水分」にすれば、話題の「直轄負担金」が3県(愛知・岐阜・三重)を直撃します。まさかこの導水路だけは「直轄負担金」を要求しない、とは参らない。
3県(愛知・岐阜・三重)のこの事業に限って 「直轄負担金」は減額するのだ、となったら、残り44都道府県が黙っていない。
他の「国の事業」全部について「直轄負担金」を減額しろ、と言うに決まっています。こうなったら、蜂の巣をつついたような騒ぎ。国交省は、全国の全事業を大幅に見直し-リストラをかけねばならなくなります。
導水路事業一つの問題では済まなくなる(面白い、やって欲しい)。
27日の記者会見で、水資源機構中部支社副支社長の富岡氏は(愛知県からの出向と聞きました)、「撤退ルール」(水資源機構法施行令18条~42条、特に18条・30条について「名古屋市は単独で撤退することはできない」と言ったようですが、何らかの形で発言の修正を迫られるでしょう(「そうは言っていない、舌足らずだった」みたいな言い方で)。水資源機構は水資源機構に関する法令に拘束される立場なのであって、自分の組織(水資源機構)の都合で水資源機構法・水資源機構法施行令を解釈することは許されない。尤も「水資源機構の都合ではなく、本籍である愛知県の都合でモノを言った」のだとすると何をか況や、です。
2003年、「撤退ルール-水資源機構法施行令」制定に携わった霞ヶ関の補佐達(4つの課またがって色々聞きました)は「撤退しやすいルールを作ったのだ」と言っていました。
水資源開発公団(※)本社の「法務担当」は、「撤退しにくいルール」であると、あれこれ言っていました。私は「水資源開発公団はこういっているが、条文からしてそのようには読めない、国交省としてはどう考えるのか」と聞きまくったのです。
逐語的メモのうち比較的分かりやすいものを挙げてみます。
※、水資源開発公団は水資源機構となったのは、2003年10月1日なので、このやりとりのときは、まだ水資源開発公団でした。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
【近藤質問】
利水者の撤退請求手続きはどのように?
【国交省河川局補佐回答(一部を抜き書き)】
「撤退ルール」を運用する立場(主務省)としては、利水者の撤退意思を了知したら、「撤退手続き」に入る。事業関係者間の協議において、負担を巡って争いが起こる(残る事業者が「負担が重くなるから撤退を許さない」等と言い出す)ことを防ぐために、「撤退ルール」を設けた。従って、利水者が撤退意思を文書で表明することで、撤退手続きが開始すると考えてもらってよい。
水機構(水公団)が、利水者から公文書で何らかの意思表明を受けたら、主務省等に速やかに連絡するのが、通常手続き。仮に、この連絡を滞らせて、従前のまま事業を進めようとしても、翌年度の予算措置請求ができなくなってしまうことになる。
主務省(国交省)は、撤退意思を記載した公文書を水機構(水公団)が受け取ったと連絡を受ければ、必ず「撤退」に向けての一連の手続きを開始する。それが「撤退ルール」を作った意味である。水機構(水公団)が、「撤退させない」ためにどうこうする、ということは明らかに逸脱であり、想定しがたい。
☆ 例えば進捗率40%のダム事業とすれば;Aのa(すでに執行した額)は総事業費の40% であり、Bのaが0ということも考えられないから、撤退する利水者が負担する額は総事業費の40%よりかなり小さくなる(総事業費×アロケ×0.4よりは大きいことはあり得る。「すでに執行した額」がどの部分に相当するか、及び金利などで異なってくる)。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
近藤注:(利水事業参加者は)その単独の意思で撤退できる。
現時点で(本年度予算を全額入れても)木曽川水系連絡導水路建設事業の進捗率は6%にすぎない。この撤退時負担金が、当初予定120.6億円(名古屋市の場合)の「満額」に近くなることなどはありえない。「70億円だ、100億円だ」などといっているのは無知なのか、ウソツキなのか … 。
ちなみに、国交省本省のこの手の事業の担当者補佐は「国として、(名古屋市が単独で)撤退はできないとかダメだとかとは言っていない」という言い回しをしていました(5月29日夕方)。
水機構中部支社副支社長の富岡氏(愛知県からの出向)の「名古屋市が勝手に撤退することはできない」と言わんばかりの説明に対し、「国の見解は同じではないよ、国がそんなことをオーソライズしているわけではないよ」というメッセージだと私は受け取りました。

さて、パタゴニア日本支社からの助成もあって企画した
トーク&コンサート
このままで、このままで流れよ 長良川
が目前に迫りました。
若い世代の熱意で企画が形づくられてきましたた。
是非ご参加を 。
同時に、長く深い思いでこの運動と企画を支えている人もいます。
090601毎日新聞
「長良川 守りたい」
PDFファイル
長良川市民学習会HP参照