笑える! 木曽川水系連絡導水路環境検討会を”粛々と” |
先月15日の、河村たかし名古屋市長の「徳山ダム導水路『撤退』表明」以来、日替わりで事態が動いていて、なかなかここにも書き込めないでいます。

6月26日に「第8回 木曽川水系連絡導水路環境検討会」が開催されました。
「長良川市民学習会」としては、公開質問状無視に対する抗議声明を会場前で配布しました。
水資源機構木曽川水系連絡導水路建設所のホームページに資料が:
第8回 木曽川水系連絡導水路環境検討会開催結果(2009.6.26)
新聞記事
岐阜新聞 2009年06月27日(電子版)
徳山ダム導水路 「環境影響小さい」 検討会予測
中日新聞 2009年06月27日朝刊
「水質変化 小さい」 徳山ダム導水路 国などが放水先調査
PDFファイル版
「技術的に環境アセス法に準じる」と称する環境レポートの作成が、 ”粛々と”進んでいます。
いくら ”粛々と”進めてもそれにどういう意味があるのか? 事業そのものの可否が、今真剣に(深刻に?)問われていることを、はいくら「見ないフリ、知らないフリ」をしても無理なのに。
でもそのフリで今後の予定を一層懸命言っていました。「先行き不透明だからこそ、せっかくついた予算は急いで消化しなちゃ」・・・お役人の性ですかしら。

木曽川水系連絡導水路環境検討会は、専門家に「ご意見を聴く」ための会議で、とりわけこの環境レポート作成は重要な位置づけになっています。26日の会議に「素案」として出されたものについて、かなり委員から意見(文句というべきか)が出ましたが、「頂いたご意見を参考にして」、環境レポート(案)の供覧までやってしまうそうです。
「頂いたご意見」がどうなるのか、もっと言えば、そもそも「専門家の先生方のご意見」を、事務局-事業者が、ちゃんと聴いているのかどうか?
傍聴していてもよく分かりません。
会議の冒頭の「前回の議事録の確認」で、のっけから「この議事録は承認できない」と言い出す委員がいました-それって事務局の不手際ではないの?
また、前回に言われていたことが反映されていなくて再度委員から指摘されたこともありました。
わざわざ会議を開くからには、開くだけのことはやってよね(税金で会議を開催しているのだから)。事務局(中部地整河川部&水資源機構中部支社・木曽川水系連絡導水路建設所)は、まともに機能しているのかい?と疑問を抱きます。
まあ、最初から「環境影響小さい」という結論つきの環境レポートを出すつもりなのだから、それまでの過程なんて、どうせ見た目を繕えば良い、としか思っていないのだろうけど。
◇ ◇
結構笑えたことが2つ。
★その1
木曽川水系連絡導水路建設所所長の自然環境-生態系オンチ
柳川晃・木曽川水系連絡導水路建設所所長には、徳山ダム建設所副所長のときから、「疲れさせられて」います。徳山ダム集水域に数多くいる絶滅危惧1B種のイヌワシ・クマタカ。
この問題で徳山ダム建設所所に交渉にいっても、対応してくれる柳川晃副所長があまりにも無理解で頓珍漢なことばかり答えてくれるので、怒るというより困ってしまうことばかりでした-彼が「悪意」でないのは分かるのだけど-。
さらに試験湛水直前の「徳山ダムモニタリング部会」で、こんなやりとりがありました。
記者:「徳山ダム集水域のイヌワシ・クマタカがいなくなったら、責任をとるといいうことですか」
・・・私はこの質問にビックリしました。「イヌワシ・クマタカがいなくなる原因」はダム湛水だけ、ということはありません。もしそうなら全国のダムをストップすれば自動的に絶滅が危惧されなくなりそうだけど、そうは参らない。絶滅危惧種の「危うさ」の要因が一つに特定されているなら、保全対策も簡単なはずです。絶滅危惧から脱することもできるでしょう。生態系とは、そんなに単純なものではありません。
ところが、柳川・徳山ダム建設所副所長の回答は、「はい、(責任を)とります」とキッパリ。
・・・わああああ!!! どういう責任がとれるの???
何にも考えていないから、こんなにキッパリと「責任をとります」と言えるのでしょうね。
お節介な私は、この後、徳山ダム建設所と中部地整にメールと送りました、「柳川さん、とれっこない責任を『とる』なんて言わないでよ。所長の自閑さんは、あなたよりは大分わかっているからよく学んでおいてね」と。
その後、自閑茂治・徳山ダム建設所長は、部下の労災自殺問題で責任をとって所長を辞めました(「更迭」という形でした。しかし、自閑さんは、きちんと労災認定されるように-隠しごとをしないで正直に-努力したのだ、ということを仄聞しています)。
責任を感じる人と感じない人。後者のほうがラクで順調に出世するのが水資源機構という組織? そんなのがいつまでも続くはずがない。
26日には、この無理解・低レベルが少しも改善されていないことがまた明らかになってしまいました。
ある委員から「『生息状況』というのはどういうことを指しているか。いる・いない、あるいは個体数とか、高密度であるとかないとかいうことだけか? あることがある動物に影響を与えたかどうかは、単に個体数の増減だけでは評価しきれない。その環境 (変化)とその生物の挙動の関係については、調査資料はあるのかないのか?」という質問がありました。
説明役の人は一瞬、答えを言いよどみました。ここで元気な柳川さんは、完全に個体数の増減のこととして「きちんと調査しています」を繰り返して、全然噛み合わない。委員のほうが途中で議論を打ち切りました(多分、柳川さんのいないところで担当者に訊いたほうが早いと判断してのだ、と、私は推測しました)。
同じ水資源機構でも、川上ダムではオオサンショウウオの繁殖に力を入れ、
土木技術者が希少種の養殖技術を磨く??? [2009-03-19 01:48 by tokuyamadam]
こちらでは、生物(動物)の挙動、ということの意味も理解しようとしない。
こういう事業者が「河川環境のため徳山ダム導水路」を作る、その環境への影響を自分で「評価」する、コワイコワイ。
★その2
選択取水設備議論の滑稽-出水(洪水)時にフルに導水するなんて「聞いていない」-
ある委員から、主にSS(濁度)について、「選択取水設備で最良の水を取水する前提でシミュレーションをしているようだけど、実際にはあちこちのダムで選択取水設備の機能が十分に発揮できなくて、濁り水が大量に流れる、ということが起きている。このことについてはどうなっているのか?」という質問がありました。
なぜか副座長の松尾直規委員が張り切りました。
「1つの洪水でそのダム容量の半分以上もの水が流入する場合には、ダムの大部分が濁水になってしまって選択取水の機能が働かないのは事実だ。しかし徳山ダムでは(ダムが大きくて集水面積は小さいから-近藤注-)、1洪水で数パーセントしか流入しないし、そもそも出水のときには、導水される河川の流量が大きく、その河川の水も出水で濁度が大きい。20m3/秒(※1)とかの水のSSはほとんど関係ない」
おっとっと。16m3/秒の緊急水は、渇水時に流されるのであって、出水のときには4m3/秒の利水分だけのはず(※2)。
副座長の 松尾委員、この導水路の目的や使い方を大勘違いしていませんか?
松尾委員は木曽川水系流域委員会の副委員長でもあったのだから、そんな基本のキを忘れて貰っては困る(まあ・・・私も大分記憶力が衰えた・・・松尾委員も同じようなものか)。
渇水時の緊急水補給でしょ? 「選択取水設備の有効性」を議論するなら、出水時のSSを問題にするより、渇水時の水温を問題にしてよね。
この「出水時の選択取水設備の有効性」を巡る白熱(?)した議論に、さすがに堪え難かったのか、笹森伸博・中部地整河川部河川環境課長が「大渇水のときも、選択取水設備で最適な水を取ることは難しい場合もあります。水温に大分差が出てしまうことはありうる」と口を挟みました。
さすが私の年下のカレシ\\O//、私が腹の中で叫んでいるのを聞きとったみたい。以心伝心、阿吽の呼吸。
※1:この数字を口にしたのを私は聞きました。しかしこの部分は確実に議事録から抹消されるでしょう。
※2:出水時の木曽川では何千m3/秒の流量。4m3/秒なんて水は、この場合は無限にゼロに近い。
◇ ◇

ウチのナス
シシトウ


ミニトマト

しっかり読んでいます。
これからも頑張ってくださいね、応援しています。