徳山ダム導水路事業に関する名古屋市の公開討論会(1) |
河村たかし市長は「市民の前で、導水路事業の推進・反対の学者の意見を聞いて判断する」とし、本日8月2日に名古屋市公館(何だか庭園つきの迎賓館みたいな建物だそうです)で名古屋市民100名の傍聴者を前に討論会を行っています。
名古屋市上下水道局HP
http://www.water.city.nagoya.jp/?detail&id=674
この結果が報道される前にアップしておきたいことを「とりいそぎ」。
傍聴希望の往復ハガキを出した人は696名だそうで、競争率7倍。私が耳にする(つまり知り合い)名古屋市民は「落選通知」を受け取った人が大部分で怨嗟の声さえ聞かれます(導水路事業を進めたい名古屋市上下水道局幹部達が、意図的に「導水路は要らない」という市民を排除したのではないか、という類の)。私は、そこまで意図的なことはやらない(できない)と思っていますが。)
別個ではあるが関係者でもある中部地整河川部の中には、私たち「反対派グループ」が動員をかけた、というふうに思った人もいるみたい。自分らが「市民を集めて」何かやるときは、いつも団体を通して動員をやっているからそう思うのでしょうね。
私たちには「動員」ができる組織はありません。(私自身「動員」されたら、真っ先に反感を持つ。「私がどうするかは私が決める。割り当てされるコマにはならない」と)。
私たちができるのは、できる限り知り合いに「こういうことがあります」と広めることだけ。でも市民の運動は自発性が命ですから「情報はできるだけ広める。その後は個々の市民の判断に委ねる」。これしかありません。
河村名古屋市長の5月15日「徹底意向表明」以来、国・水資源機構・3県(愛知・岐阜・三重)1市(名古屋市)の部長級会議「木曽川水系連絡導水路事業監理検討会」は、事前公表もロクになく頻繁にやっています。(この前身である「徳山ダムに係る導水路検討会」が第6回から第7回までほぼ1年も開かれなかったことと比較して、頻繁さんが目立つ)。
「09.07.30木曽川水系連絡導水路事業監理検討会(第6回)」
岐阜県は「都市建築部」も登場した・・・どういうことかな?(地下水に大きな異変が予測され、建物が傾くおそれがある、とか?)
この監理検討会の報道がまたケッサクというか・・・
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★ 岐阜新聞(電子版)09/7/31
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20090731/200907310825_8454.shtml
「水余り」に反論データ 導水路で水資源機構
名古屋市が徳山ダム(揖斐郡揖斐川町)の導水路事業から撤退を検討している問題で、水資源機構は30日、同市内で開かれた第6回木曽川水系連絡導水路事業監理検討会で、名古屋市が導水路を利用しないと仮定すると、1994年のような異常渇水時に「自流水利権の取水だけになると、同市の節水率は約5割に達する。決して水余りの状況にない」とし、水余りを撤退の理由にする河村たかし市長に反論するデータを示した。
愛知、岐阜、三重、名古屋市の3県1市と国の担当部長らが出席。検討会では、同市の水道水の需要と供給、導水路の効果などのデータが示された。「水は十分ある」との反証として、水系のダムの開発水量に対し、同市の自流取水権分を含めても10年に1回の渇水時では約7割、94年の異常渇水時では約5割の供給能力しかないとした。
導水路完成後は、ダムは水系で総合運用されるため、名古屋市が事業から撤退すれば「総合運用に加わるのは困難」とし、同市が自流取水権だけになる可能性も示唆した。
★ 朝日新聞 09/7/31
木曽川導水路「水余りでない」 事業監理検討会、反論」

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徳山ダムの水を引く導水路なもので、徳山ダムの水が要るのか要らないのか、が焦点です。これについては、1999年に提訴して徳山ダム裁判で被告(国)がどんなにお粗末なことを言っていたのか(※)」、そして2004年フルプラン変更については「裏の嘆き節」まで聞いている私としては「笑止千万」としか言いようがありません。
私が探した限りにおいて、この報道が言及しいている「水余り」に反論データが見あたらない。
※ 徳山ダム裁判の被告・国側の証人として出廷した河川局キャリアの山崎房長さんは今はどこにおいでなのだろう?
「水資源開発公団の予測には疑義があったので、提出しなおさせた(結論は変わらず)」「自分は平六渇水のときに中部地建にいて、水利調整にあたっていたので水資源問題には詳しい」と大見得を切ったのに都市用水需要予測の基本のキも知らなかった(「家庭用水有収取水量原単位(L/人・日)」と「一人一日平均給水量(L/人・日)」の区別がつかず「同じです」言い切ってしまった。「無知は力なり」ですね。あまりにも無知なのに呆れて、原告代理人は「負荷率」や「利用量率」について突っ込んだ質問をする気力をなくした。「気力をなくさせた」という意味でも「(権力を持つ側の)無知は力」かもしれません。このオバカキャリア連中(キャリアが全部オバカだ、と言うのではありません。一定割合で「使い物にならないオバカキャリア」が存在し、エラソーな顔をしている、ということです)に一生涯でいうと。どれだけの税金を報酬として支払っていることになるのだろう?(早く外に出されるのは官僚組織での出世を諦めさせられた代償(?)として相対的に高い報酬を受け取るシステムがある)
サムイ。
この導水路監理検討会の議事要旨をみても「名古屋市は『水余り』の論理的データを示せ」と宣ったところがあるらしい。
「水余り」については、データは行政のものを使い、議論としては平坦に積み上げても数十センチに及ぶものを提示してきたぜ。
分かりやすく一つだけ、私の本「徳山ダム導水路はいらない!」の名古屋市の分のグラフ(p63)を示しておきます。(名古屋市の水道供給量は減ってきていて、すでに「平六渇水」時を下回っています。平六渇水でも断水しなかった名古屋市。「平六渇水のような異常渇水に備える」といっても全く説得力がありません)
名古屋市の水道:水源施設と水給量の変遷

(関連記事は続く)