徳山ダム導水路事業に関する名古屋市の公開討論会(2) |
新聞報道を拾います。
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★ 読売新聞(2009年8月3日)

木曽川水系導水路計画についての公開討論会で市民の意見を聞く河村市長ら=川口武博撮影 名古屋市が徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の木曽川水系連絡導水路事業からの撤退を検討している問題で、市の公開討論会が2日、市公館で開かれ、参加した専門家らが賛成、反対の立場から活発に意見を述べた。討論会後、河村たかし市長は総選挙後に市として最終判断する考えを明らかにした。
討論会ではまず、市上下水道局の担当者が事業の概要を説明。続いて、賛成、反対各2人の大学教授が水需要や財政負担などの観点から意見を述べた。賛成派は「気候変動の影響で今世紀末には大規模な渇水が起こる可能性があり、導水路は必要」と強調。一方、反対派は「市の水需要予測は過大。異常渇水時には、ダムの水自体も枯れるので、導水路は意味がない」と指摘した。
約7倍の応募者から選ばれた市民ら約100人も討論に参加。旧徳山村住民の男性は「徳山ダムには50年間振り回され、現在も生活再建に苦しんでいる。古里が水没した住民のことを考え、前向きに事業を検討してほしい」と話した。
河村市長は「活発な意見が出て良かった。導水路事業の最終的判断は国土交通大臣がするので、(総選挙後の)新政権のあり方が重要になる。市としての判断は選挙後」と語った。
<木曽川水系連絡導水路事業>
岐阜県揖斐川町の徳山ダムの水を、愛知県と名古屋市の都市用水や、木曽、長良川の渇水時の流量維持などに使うため、導水管を地下に埋設する。2015年度完成予定。総事業費約890億円は国と愛知、岐阜、三重県と名古屋市が負担する。
(PDFファイル版)
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★中日新聞 2009年8月3日 朝刊
◇ 衆院選後に導水路正式撤退も 河村市長が示唆
名古屋市が、徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を木曽川に流す導水路事業から撤退する是非を話し合う公開討論会が2日、市公館で開かれ、有識者らがそれぞれの立場から意見を述べた。
終了後、河村たかし市長は報道陣に対し、「市民が決めることだが、政治が決めることでもある。最終的に国がどう判断するか。新たな政権のあり方はどえらいでかい」と話し、大型公共事業の見直しを打ち出す民主党への政権交代を念頭に、事業の中止にも期待感をにじませた。衆院選後に、市として正式に撤退表明する考えも示唆した。
討論会は河村市長を司会に3時間弱。賛成派として中部大の松尾直規、京都大の小尻利治両教授、反対派として法政大の伊藤達也、岐阜大の富樫幸一両教授が出席した。
伊藤教授らは水利権は需要の倍近く、渇水時も節水や農業用水との調整で乗り切れるなどと主張する一方、松尾教授らは異常渇水が今後、頻発する恐れがあると指摘。議論はかみ合わなかった。
【木曽川水系連絡導水路事業】 揖斐川と木曽川を全長43キロの地下トンネルで結び、徳山ダムの水を木曽川に流す。木曽川には愛知県と名古屋市の取水施設があり、都市用水への利用や渇水時の木曽、長良両川の環境改善が目的。計画では2009年度着工、15年度完成で、総事業費890億円は国と東海3県、同市が負担する。河村たかし市長は5月中旬に撤退する方針を表明したが、国や3県は反発している。
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◇ 核心 需要、費用、水掛け論
◇ 導水路事業討論会 4氏の発言要旨(名古屋)
(以上、8月3日付けPDFファイル版3ページ)
★中日新聞 2009年8月4日 (愛知版)
◇ 河村・名古屋市長発言で知事「矛盾」と指摘 徳山ダム導水路
徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を木曽川に流す導水路事業に関する2日の公開討論会後に河村たかし名古屋市長が、衆院選後の政権交代をにらみ「新しい国土交通大臣がどう判断するかだ」と発言したことに対し、神田真秋愛知県知事は3日の定例会見で、「従来の河村市長の考えと変わったのではないか。とらえきれない」と疑問を投げかけた。
神田知事は、国が進めてきた導水路事業について河村市長が独自の判断で撤退方針を表明した経緯を踏まえ、「新大臣の判断が重要というなら、国の判断を重視する方向とも取れる」と従来の姿勢との矛盾を指摘。
導水路事業の議論は「この地域にとって水の確保が必要かどうかにつきる。国政選挙の結果で右に行ったり左に行ったりは、本来的にない」と、河村市長を強くけん制した。
さらに、名古屋市が正式に撤退を決めた場合について、「100億円を超す事業費が宙に浮き、それを県が負担すれば県の水道料金値上げとなる可能性もあり、とても関係市町村の納得は得られない」とあらためて撤退を認めない姿勢を見せた。
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神田真秋さん、ご自分の発言の「意味」が分かっておいでかな?
「名古屋市長が速やかに判断して行動する」となれば、「名古屋市長 河村たかし」で「木曽川水系連絡導水路事業から撤退することに決めました」と水資源機構 青山俊樹理事長宛に公文書を出すことでしかない。これで正式に「名古屋市は事業から撤退する」ことは決まってしまう、愛知県知事が認めるの、認めないの、ということはどうのは法令上「ない」・・・神田真秋さんは弁護士なのに法律(独立行政法人水資源機構法)-政令(独立行政法人水資源機構法施行令)がお解りにならないのかな?
名古屋市が単独撤退したら、一番困るのは愛知県のはずなのです。
参照
もし名古屋市が「撤退意思表明」をしたら-「撤退ルール」問題
http://tokuyamad.exblog.jp/11513953/
http://tokuyamad.exblog.jp/11513971/
事業を続けたければ「100億円」程度の負担増加を呑むしかない、「負担増はイヤだ」となれば事業そのものを中止するしかない・・・愛知県に決断が委ねられてしまう。
「新しい国土交通大臣がどう判断するかだ」と、あえて「国」にふった河村市長の発言は、愛知県にとっては「救いの手」なのです。(それだけではない大きな意味-これまでの省庁縦割りを超える河川取水の公平なあり方についてのルールづくり-が内包されています。愛知県を救済することが目的ではない)
(続く)
