徳山ダム導水路事業に関する名古屋市の公開討論会(3) |
★毎日新聞 09.08.03
木曽川水系導水路:名古屋市長、事業撤退の結論は衆院選後
名古屋市は2日、河村たかし市長が事業撤退を含めてあり方を検討している「木曽川水系連絡導水路事業」について、公開討論会を同市中区の市公館で開いた。4人の大学教授がそれぞれの立場から激論を展開。終了後、河村市長は記者団に「市民が決めることだが、新たな政権の政治的判断が大きい」と述べ、衆院選後に態度を決める方針を語った。
導水路事業は、岐阜県揖斐川町の徳山ダムの水を長良川や木曽川に通し利用するため、同町-同県坂祝町間と下流部での計2ルート計約44キロを結ぶ。
討論会ではまず、落合博和・市上下水道局計画部長が事業概要と節水期間が158日間に及んだ94年の渇水被害について説明。「今後どんな大渇水があるか分からず、ある程度の渇水対策は必要だ」と述べた。
河村市長は渇水時に農業用水を活用して対応する意向を示しているが、松尾直規・中部大教授は「農業用水の節水は限界状態」と反論。これに対し伊藤達也・法政大教授は、94年の渇水時に当初の節水率が低かった点を指摘し、「早い段階から節水すれば無駄な事業はやめられる」と提案した。
1日最大給水量が08年度の102万立方メートルから15年度には124万立方メートルになるとする市の需要予測については、富樫幸一・岐阜大教授が「給水量は減少傾向にあり、予測は過大」と疑問を提示。松尾教授は市の予測に直接は触れず、「河川の水量は低下しており、渇水時には供給不足になる」と主張した。
会場には約7倍の抽選を通った市民100人が参加。「途中で撤退すると水を一滴ももらえず、ダムの維持管理費だけを払い続けることになる」との推進派の意見に対し、参加者からは「ここまで作ったから最後まで行きましょうという話はおかしい」などと意見が出された。【丸山進】
(PDFファイル版)
★毎日新聞 09.08.03
神田知事:木曽川導水路事業の会見で不快感 名古屋市長は「速やかな対応を」 /愛知
神田真秋知事は3日の定例記者会見で、名古屋市の河村たかし市長が木曽川導水路事業からの撤退を含めた再検討を表明したことについて「どういう基準、データを元に判断しようとしているのか不透明」と改めて不快感を示した。
また、2日に名古屋市が開いた公開討論会で、河村市長が、総選挙後に選ばれる国土交通相の判断が重要、との発言をしたことについて「従来の考えと違っているのでは」と指摘。「地域の水の必要性は政権によって右にいったり左にいったりするものではなく、(次期政権を)前面に出すことには違和感を持った」と批判した。
さらに「撤退となると100億円を超える事業費が宙に浮く。県がかぶることは水道料金の値上げにつながる可能性があり、県民が納得できるものではない」と改めて強調。「事業に支障が出ないよう速やかな対応をお願いしたい」と述べ、河村市長に対し、早期に決断するよう要望した。【月足寛樹】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これが愛知県知事にとって自分の首を絞めるオバカな議論であることは前の記事の通り。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★ 朝日新聞 2009年08月03日
◇ 導水路 熱く討論/ 名古屋・河村市長 結論「総選挙後」
(PDFファイル版)
◇ 徳山ダム導水路討論会 市民は/「白熱、面白かった」「折り合い難しそう」
(愛知・名古屋版)
徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の木曽川水系連絡導水路事業について、賛成派と反対派が意見を戦わせた2日の名古屋市の公開討論会。会場に詰めかけた市民らからは、白熱した議論に理解を深めたという声が上がる一方、賛成派と反対派の溝の大きさを指摘する声も上がった。
「導水路の賛否どちらの立場でもない」という名古屋市緑区の会社員(43)は「面白かった。こんなに白熱するとは」と語った。「『ここまでダムもできたから』というのはおかしいが、昔の人が苦労して水を確保したことを聞くと、今後のために導水路が必要という気もした」という。
名古屋市の水がめ、味噌川ダムのある長野県木祖村の名古屋出張所長、圃中登志彦さん(49)は、「水源地の我々としては、都市の人たちが『生活を見直そう』と発言しておられたのに共感した。村からみると、都市は人のつながりも希薄。それらもみんな見直そうということになるのでは」と期待を示した。
一方で、名古屋市港区の農業男性(74)からは「議論は、めいめいが身勝手な主張をしている印象。農業をやる身としては、水余りではないという考えはよく分かる。折り合うのは難しいそうだと感じた」との指摘も。名古屋市天白区の無職男性(80)は「官僚のごり押しでダムを造っておいて、市民が見直そうというと、いかに難しいか。よくわかった」と話した。
民主党岐阜県議の太田維久さん(40)は「市の説明は推進だし、フロア発言の前に市が選んだ関係団体の三つの発言もすべて賛成派。総選挙後、民主党政権ができても、役所はこんな調子なんでしょうかね」と運営方法に疑問を投げかけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
河村市長の指示で公開討論会を設定した名古屋市上下水道局は、「7倍の競争率」とは別枠で50人を招待しました。露骨「導水路事業推進団体を特別招待」したのです。
討論会の運営も、事務方として、とはとても言えない「推進派」丸出しだった、と、傍聴社からも取材した記者からも聞いています。
今回の討論会前も「導水路事業推進派学者」とは綿密に打ち合わせをしたのかもしれないけど、「反対派学者」のほうには、プロジェクターが使えるかどうか、という単純な質問に対してもギリギリになるまで返事もしない。市議会議員に「河村市長の勝手をさせるな」の裏工作もやる・・・・・。
(さまざまなルートから「内部情報」が入ります)
「役人らしからぬ」と褒めるべきなのでしょうかしら?
名古屋市上下水道局のOBに言わせると「ホントに何も分かっていないから、『導水路は作ることになっている』で思考停止ができてしまう。上下水道局の幹部なんだから水需要予測のイロハくらいは知っているだろう、と思うと甘い。何も知らないで、単にヒラメをやっていれば出世できちゃうのが、これまでの名古屋市上下水道局だった」。わああコワ。
私も若干「幹部のはしくれ」と電話でしゃべりますが、「え、大丈夫?このことにつき、国はどう説明しているのか、法的にはどういう意味を持つのか、分かっている?」と思うことしばしば。
そう問い返しても「『無知』は力なり」で全く動じないところがスゴイ。
何にも分からなくても(木曽川の自流取水権が大きいおかげで、節水努力の必要も、経営上の心配もなく)やってこれてしまった名古屋市上下水道局の悲喜劇なのかも。
岐阜新聞が全然載せないなぁ、と思っていたら、きょう(5日)の新聞に載りました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★ 岐阜新聞 2009年08月05日09:31
徳山ダム導水路、高まる関心 衆院選争点に?
徳山ダム(揖斐郡揖斐川町)の導水路事業への関心が高まっている。きっかけは名古屋市の河村たかし市長の「撤退」発言。一方、岐阜、愛知、三重の3県は「事業は必要」との立場だ。同市は今月2日、公開討論会を開催。河村市長は衆院選(18日公示、30日投開票)の後に結論を出す方針を示した。公共事業の在り方が問われる中、下流域からの問題提起を受けて「水源県」の岐阜でどんな議論が展開されるか。衆院選の立候補予定者の主張とともに有権者の判断が注目される。
徳山ダムがある岐阜2区。自民前職の棚橋泰文氏は「徳山ダムの最大の目的は治水」と最近の豪雨時の治水効果を強調。名古屋市の動きには「50年、100年に1度の渇水に備えて事業をやるか、あるいは我慢してください、その代わりお金は使いませんと言うか。その部分の説明が不十分だ」と指摘する。
民主新人の橋本勉氏は「コストと便益が見合うことが前提」とした上で「既にあるダムを利用する方法の一つとして導水路を造るのも一つの考え方。不要不急の無駄な公共工事はやらないのが基本線だが、新しく造るものと、できてしまったものを分けて考えるべきだ」とする。
岐阜県が導水路事業のメリットとして強調するのは、東濃、可茂地域の渇水被害の軽減だ。木曽川上流のダムの貯水量が温存され、利水者の取水制限を緩和できるという。
東濃地区を選挙区とする岐阜5区。自民前職古屋圭司氏は「水の安全保障ともいうべき問題。東濃は渇水の心配にさらされており、必要な事業」と主張。「水の供給は国の基本計画に基づいて地域が連携、役割分担して成り立っている。連携を損なうようなやり方はおかしい」と河村市長の姿勢を批判した。
一方、民主新人の阿知波吉信氏は、木曽川の水利権の見直しの必要性を訴える。「名古屋市で水が余っている状況であるならば、水利権をもう一回考え直してみたらいいのでは。既得権益への挑戦になるが、再調整を図るいい機会ではないか」と提言している。
(PDFファイル版)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>東濃、可茂地域の渇水被害の軽減だ
国-中部地整はオーソライズしないのに、「岐阜県のメリット/東濃、可茂地域の渇水被害の軽減」というのが堂々とまかり通ってしまう。
「徳山ダムさえできれば、揖斐川44万人は枕を高くして寝られる」と同様だ、と私は言いたい。
「導水路が完成するころに『水系総合運用』を具体化させます(※)」・・・それってほとんど詐欺。
※ 『水系総合運用』なるものをを具体化させると、木曽川上流ダム群の貯水が温存されて、渇水時に取水制限がかかるのを延ばせることになる(だろう)、という話らしい。
「~らしい」としか言えないのは、確認を求めると、中部地整河川部は「まだ決まったことではありませんので」と逃げてしまうから。
「国の二枚舌-空約束-」は、あまりにも「よくあること/普通」で驚けない。
このことがコワイ。
参照 JANJAN記事。
http://www.news.janjan.jp/area/0908/0908038191/1.php
一応了

今年のニガウリ