8.12環境レポート(案)説明会のドタバタ |
8月12日(水)夕方、岐阜市民会館で、「環境レポート(案)について、広く一般の方を対象とする説明会」が開催されました。
水資源機構木曽川水系連絡導水路建設所HP
2009.08.12 環境レポート(案)の説明会の開催状況
(配付資料もここにアップされています)
これが告知されたのが7月末日でした。「8月7日応募締切。定員100名、応募者が定員を超えたら抽選」とHPに載っていたけど、そもそも木曽川水系連絡導水路建設所HPなどをちょくちょく覗いているモノズキは殆どいません。私もMLで仲間に情報を流しましたが、ほとんどの人が、時間がとれませんでした。
こちらの顔見知りか「向こう」が声をかけた人くらいしか集まらないだろう、定員になるわけがない、と思っていたけどやっぱり。会場が閑散としているのもマズイので、8月7日以後にいろいろな団体などに声かけをしたようですが、そもそも「木曽川水系連絡導水路(徳山ダム導水路)事業推進団体」は存在しない(お上に楯突くのはイヤだから特に反対はしない、というのは多いけど)。苦労して「向こう」が集めてきた参加者も、私たちに敵対的というわけではありませんでした。
左上が、会場前での宣伝行動写真です。配布したビラの受け取りは結構良かったです。
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徳山ダム導水路事業の目的=「環境改善」???
ホントは長良川がアブナイ!!
きょうは「導水路事業を行った場合に考えられる環境への影響を「技術的レベルでは環境アセス並みに調べ」た結果の「環境レポート(案)」の説明会だそうです。配布されている資料は「環境への影響は少ないと予測される」のオンパレード。影響軽微ならまあ良いか…。
ちょっと待ったぁ!
そもそもこの徳山ダム導水路事業費890億円の65.5%(約583億円/まるまる税金)は「河川環境改善-以上渇水時に長良川・木曽川に緊急水を補給する」となっています。
(この「緊急水」は、河川の生き物のためであって、水道の断水を防ぐためではありません。わざと勘違いさせるような言辞が横行しています。ご注意!)
公開質問状にまともな回答もない … 住民・市民不在の事業
この「事業目的=河川環境改善-税金583億円を投入する-」は全く根拠がない、むしろ長良川には大変な環境悪化をもたらすおそれがある、と私たちは考えています。まともな根拠(目的)のない事業に巨費を投じることは許されません。繰り返し説明を求めましたが、国(中部地整)は答えを避けたまま、昨年9月に事業を水資源機構に承継させることで説明責任を逃げようとしています。
5月15日に、私たちは国交省中部地方整備局河川部(河川部長 山根氏)に宛てて、専門家の意見を踏まえた「長良川の魚類の生息及び木曽川のヤマトシジミに関する公開質問状」を出し、「異常渇水時緊急水補給-長良川・木曽川の河川環境改善」の根拠を問いました。
8月7日(この説明会への申込締切日)に「回答」と称するものが送られてきました。しかし、それは、そもそも何に対する回答か、誰がどういう責任において回答しているのかもさっぱり分からないものでした(形式不備)。そして、内容は、お粗末というか愚弄しているというか … 話になりません。「環境レポート(案)作成に追われています。待って下さい」と言い続けてきた挙げ句が、この有り様です。
国交省(&水機構)は、市民の疑問にまともに答えるつもりがないようです。住民・市民の疑問に対しては、誤魔化しとはぐらかしで時間稼ぎをし、その間にもあれこれの予算を費やして既成事実を積み上げていく … 悪しき「公共」事業の典型です。
3県1市、揃ってやめよまい! 岐阜県もNOを!
河村たかし名古屋市長は事業からの撤退の意向を表明しています。導水路事業のうちの利水事業で、大きな位置を占める名古屋市が撤退するとなれば、「今まで通り」にはいきません。
総選挙後には、新しい内閣の下で、新たな議論が始まることになるでしょう。
長良川に徳山ダムの水は要りません。長良川を守るため、そして、新しい(公平・公正な)水利用ルールを木曽川水系に作っていくために、市民一人一人が声を上げましょう!
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ここで言及している「公開質問状への回答」は、文句を垂れたら、慌てて中部地整河川部HPにアップしました(そのことをもって中部地整河川部が責任をもって答えたことになるのだそうです。こんなものに責任をもたされる中部地整河川部長も可哀想 ….。おっと。彼らお役人には、私たち普通の市民の感覚での「責任感」なんてハナから存在しないのだ、ということを忘れていた!)
国交省中部地整HPから
「公開質問状への回答」
公開質問状
定刻に「説明会」が始まりました。立っているのが冒頭の挨拶をしているのが木曽川水系連絡導水路建設所長の柳川晃氏です。「善い人」なんですけど、ねぇ… 彼が、徳山ダム建設所副所長時代に、あまりにも環境とか生態系に関して「無知」なもので、こちらも苦労させられました(「『悪意』なくトンデモナイことを言う」のを相手にするのは、本当に苦労します。「腹黒い悪人に、悪意で対応されたほうがまだマシ」と感じたことがどれくらいあったことか)。
「国土交通省中部地方整備局」の紙を垂らした(左側の)机に座って居る3人のうち、右端が山内博・広域水管理官で、真ん中が笹森伸博・河川環境課長。お付き合いは大分長くなってしまいました。何かというと私が言及するお二人なので、ご紹介しておきます。
開場前と閉会後に、山内博・広域水管理官には、大分「ウソではないが、誤解を招く発言で報道を引き回し、世論操作するのはやめなさいよ。そんなのあなた方のためにもならない」と(具体例を挙げて)しつこく言いました。まあ、この手の私の「口撃」には、向こうも慣れきっていますけど。
まずは「事業の説明」から入りました。その後で「環境レポート(案)のあらまし」の眠くなる解説。ここですでに時間がおしてしまって「環境レポート(案)に対する意見の提出方法について」の説明は2分程度(そんなことこそペーパーの配布で足りる。説明時間をとる、という発想からしてオカシイ)。
その後で質疑応答に入りました。司会者は「きょうは説明会ですので、ご意見ではなく質問を」と言い、配付資料の「あらまし」の「6 環境検討結果の概要」の項目を1から6,7から9・・・と分けて質問を採ろうとしました。結局最後は、司会者の整理も、回答者の整理も悪くて、自分たちで混乱してクチャクチャになってしまったのですが。
まず騒音と地下水。実際に工事が行われることになり、かつ地下水を水源とする各務原市の住民から「可聴域の騒音のことしかないようだけど、低周波騒音についてはどうなっているか?低周波騒音は人体に深刻な被害をもたらす可能性があるし、影響範囲も広いので気になるが?」「地下水の水位変化が工法によって大きく違うが、その意味・メカニズムがよく分からない。もう少し詳しく説明して欲しい」との質問がありました。司会者は「騒音、大気、地下水等の関連質問があれば。まとめてお答えしますので」としました。(一問一答より誤魔化しやすい、と思ったのかな?)
瀬戸市から来たという方が聞きました。「騒音も粉塵も、どこにどういう機械が設置されるかで異なる。しかも、それは工事の途中で予定が変化することはよくあること。まずこの予測の際、どんな機械がどこに設置されるかという予測条件につき、公表されているのか? 工事途中で変更がある場合、どういうふうに住民に周知されるのか?」
地下水については岐阜市の住民から「岐阜市の水源井は大丈夫か?」と「NATM工法だと相当程度の浸透水が出るはずだが、それはどの程度の量を予測しているか?どう処理する予定か?」という質問。
この辺りでさすがに「まとめる」ことの困難さを認め、回答を始めました。
低周波騒音については、ちょこっと言い訳をしたものの結局は「何も調査していない」。工事機械の設置場所等については「一般的予測手法で予測した」「変更があるときは住民説明会をこまめに開く予定」 … どちらも(会場に居た人にとって)回答として「不合格」。
次に「地下水位」については「NATM工法とシールド工法では違う。泥質岩、チャート、砂岩で違う」 … 誰が聞いても答えになっていない。
岐阜市の水源井については「影響はないと思っている、モニタリングする」 … おいおい、岐阜市民の水源だぜ。「影響はないと『思う』」で済む問題ではないし、事後的にモニタリングすれば良いというものではない。
この辺りから、主催者側(回答側)が、クチャクチャになりはじめました。多分質問者のレベルはもっと低いと思っていたのでしょう。しかし結構専門的な用語が出てきたり、質問内容もテキトーに答えて済むようなものではないものがほとんどです。短時間でスッキリ答えようとすれば「調査していない、分からない」だらけになってしまう。でもってゴチャゴチャ言葉を多くして誤魔化そうとするから、ますます話は混乱する。
混乱ついでに(?)浸透水についての回答は実質的にネグレクト(回答できる内容は何もない、ということ)。もしかすると導水路を流れる水の大部分が、西平ダムから取水する徳山ダムの水ではなく、導水路トンネル周辺からの地下水の浸透水になったりして … そうだとするとこの導水路事業の根本が揺らぎます。「導水路付近の地下水の水質は極めて良好なので、新規利水も緊急水も、この水を利用することは大変結構なことだ」などということになったら大笑い-何のための「導水路」なのか、訳が分からない。もともと「徳山ダム(に係る)導水路事業」であり、「徳山ダムができちゃったから」導水路なのですから。
質問に真正面からきちんと答える内容がないことを繕うためには、「時間がない(フリ)」が一番。「時間もありませんので、次に水質について」。
ホイ来た。開場前に「1ヶ月半かかって小出しに回答されたことを、この場で答えて貰っていたら、私の質問だけで時間がなくなってしまうから、これまでのQ&Aをペーパーにしたのを、私の質問のときに配布して欲しい、と渡してありました(それを拒否すればまたそこで「揉める」。質問することそのものは封じられないわけだし)。
Q&Aペーパー PDFファイル版
「『30cmの水深が確保できないと(河川)生物環境にとって大変なダメージだから異常渇水時には緊急水を補給するのだ』と説明されてきた。この局所混合シミュレーションで、0.5m水深の流向を使い、(その流量を下回ると大変だ、と国交省が言う)正常流量の2倍とかの流量で確認したから、このモデルで良いのだ、という理屈が、ごく素朴に理解できない。説明して欲しい。10mメッシュ毎のu.v.hは成果品としてコンサル((株)建築技術研究所)から受け取っていないから出せない、と言われた。その一方でそのコンサルの出した『変化は少ない』という結論だけは納得しろ、ということらしいが、それは無理というもの。バックデータと結論をつなぐ途中の中味をシロウトにも分かるように説明して」
まさに1ヶ月半も訊いていて(そして前々日に水資源機構の担当者から、前日に中部地整の担当者からそれぞれ1時間以上「説明」を訊いたが、「素朴な疑問を解消する説明」になっていない)、このときにも向こうの「回答らしきもの」は、すでに私のペーパーに書いてあることだけ。つまりエンドレステープ的な「繰り返し」に終始。
水質関連で「沈砂地はどこにどういう規模を予定しているか?濁水や汚水の処理はどんな方法を予定しているか?」「異常渇水時にPH8.7の水を混ぜても生態系に悪影響はない、というのは理解しがたい、説明を」という質問が出ました。
沈砂地については「立て坑のどこか」、処理方法は「検討中」、PHについては「取水する場所と放流する場所の水質はそんなに違わない」。これには質問者(水を通すトンネルに詳しい人)がキレました。「40kmものセメントのトンネルを通した水が、取水場所と同じ水質であるはずがない」。
水質で、SSについて、「あらましp20」の「グラフの意味が分からない(そもそも何らかの意味のあるグラフかどうかが不明。このグラフを見るり、水質は悪くなることはあっても良くはならない)」との質問がありました。質問者にとっても会場の参加者にとっても納得できる回答はなし。
この辺りから(誰の目から見ても中部地整と水資源機構のダメぶりが明らかになって)、会場からの不規則発言は私からだけではなくなってきました。
司会者は動揺して「項目分け」ができなくなり、さらには質問と意見の区別が(司会者のほうで)できなくなってしまいました(回答できないのを「時間的制約」の所為にする、つまり回答時間ををとりたくない、という意識が働いたことは明白)。
「できるだけ多くの人のご意見を聴きたいと思います。他にご意見はないですか、いかがですか」となってしまいました。不規則発言が得意な私(日本各地の裁判所の法廷内での傍聴席からの「不規則発言回数」の記録保持者かも-あまり「品が良い」とは言えない-。ひと言だけ言って、裁判長が制止する間もなく黙るから、「退廷」を口にされたことは一度もない)は、「この会場で受け付けるのは質問だけ、と聞いていたので、今までは質問だけにとどめましたが、意見を述べても良いのですか?そうなら意見を述べさせて下さい」と挙手をして混ぜっ返しました。
さまざまな方面からの「(緊急水補給は)水質改善にならないのでは?」という質問に対して、中部地整河川部の笹森伸博・河川環境課長は「水質改善は事業目的ではありません。この環境レポートでは、当該事業によって水質悪化にならないかどうかを調査・予測しているのです」とかわそうとしました。
これは墓穴を掘る類。当然にも「水質改善にはならないけど(事業目的である)河川環境改善になる、というのはよく分からない。そもそも必要な事業なのか」とあちこちからブーイング。
「異常渇水時に河川水が少ないと生物の棲息が厳しいので」。はいはい、異常渇水で川の水が非常に少ない、というのは、川の生き物にとって厳しいことではあるでしょう。でも平六渇水のときでも生物への壊滅的被害のデータは存在しないのです。どの規模の渇水にどんな被害があるか、事業目的に係る科学的・専門的調査は存在しないで「水が少ないときはどこからどんな水であろうが、(○○立方メートル/Sの)水を補給してやると生態系保全になる」という話か?いまどき小学生向きの「環境教育」でもそんなオバカな説明は出てきません。
「異常渇水時の河川環境改善」として890億円×65.5%=約583億円の税金を投入するに値しない事業だ、ということは、かなりはっきりと浮き彫りになりました。
まあ”わたし”的には、これで、この日の獲得目標はゲットかな。
(向こうは、中味はクチャクチャだったけど「説明会を開催した」というアリバイづくり、という意味でやはり獲得目標をゲット。 この説明会もまた-総選挙結果などお構いなしの-「来年度の『木曽川水系連絡導水路事業の本体工事着工予算』概算要求」の露払いなのでしょう。)
最後のドサクサに近い状態でのことだけど、「バックデータとして10mメッシュ毎のu.v.hを示してよ」と迫ったら、笹森課長は「(それらの数値を示しても、どうせ)専門家でないと分からない」と宣いました。
だ・か・ら「緊急水補給は『正常流量に近づけるため』『「0.3mの水深がないと魚類に悪影響があるから』と説明されてきた。0.5mの水深の流向と平均流速を用いて計算したシミュレーションが、異常渇水時において、どういう再現性(予測としての正確性)持つのか素朴に疑問だ」と全くシロウトの素朴さで訊いているのです。
それに対して「専門家でないと分からない(=シロウトは結論だけを呑め)」と答えるなら「市民の皆さんのご意見を頂きたい。だから(意見聴取の前提として、説明をし、質問に答える)説明会を開く」という意味そのものの否定になってしまうではないの!
この論理矛盾のありようは、この徳山ダム導水路事業そのものの「論理矛盾」(=河川環境改善が目的のはずなのに、その説得力のなるデータも根拠も何もなくて、ただ環境悪化への懸念を理由とする環境調査をヤマほと行う)を象徴しています。
私の年下のカレシ(\\O//)、しっかりしてよ!
参考
◆ 笑える! 木曽川水系連絡導水路環境検討会を”粛々と”
http://tokuyamad.exblog.jp/11417334/
◆バックデータを示す、との約束について
近畿地方整備局長 上総周平様 (手紙)
淀川水系流域委員会 一般からのご意見
1180-1
残暑、 ウチのサルスベリ