徳山ダムでテロ対策 訓練!!! |
5日は、特に予定のない日で、ゆっくりと寝坊した。
午前11時すぎになって郵便受けの朝刊をとりに行って、中日新聞の1面に写真入りでこの記事載っていたので、いきなり目が覚めてしまった。

岐阜新聞のウェブ版では以下。
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◆ 岐阜新聞 2009年11月05日08:26
毒物散布テロ想定、徳山ダムで緊迫の訓練

【写真】防護服を着て徳山ダム湖で訓練に取り組む揖斐署員=揖斐郡揖斐川町
揖斐郡揖斐川町の徳山ダムで4日、ダム湖への毒物散布テロを想定した初の訓練が実施された。揖斐署員と水資源機構の職員が、万が一の事態に備えて連携を確認し、緊迫の訓練に取り組んだ。
訓練には計17人が参加。徳山ダム管理所に侵入した不審者が、ダム湖に毒物をまいたという想定で行われた。
初めに管理所から逃走しようとする不審者を捕らえる訓練があり、署員が追い掛け刺股(さすまた)で押さえつけた。
その後、水資源機構の職員が湖にオイルフェンスを張り、生化学防護服を着た署員が、ゴムボートを出して、投げ込まれたペットボトルを回収し、水も採取した。訓練を指揮した同署の野川雅克地域課長は「警察と水資源機構がテロに対する危機管理について再確認できた」と話していた.
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余りのバカバカしさに身悶えしてしまう。
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普通のダムは水没地の木々を伐採してから湛水する。枯れて腐ったあとの有機物が、水を汚すもとになるからだ。
しかし徳山ダムでは伐採をしなかった。
「なぜ?」という私の質問に対して、中部地整の河川環境課のS氏は「徳山ダムは総貯水量が6億6000万m3もあるので、この程度の有機物では水質に影響しない、と判断しました」と答えた。
総貯水量が6億6000万m3のこのドデカイ水瓶にペットボトル入りの毒物を投げ込まれると、下流に被害を及ぼす「テロ」になるのだろうか?
ペットボトル数本で6億6000万m3もの水に影響を及ぼし、回収するのにこんな防護服を着ないと危険な毒物。どういう毒物を想定したのだろう? 相当危険なものを想定したのだろう。「テロリスト=犯人」自身も相当に危険なはずだ・・・SUICIDE ATTACKというわけか?
SUICIDE ATTACKを覚悟するなら、こんな山奥で「効果」の定かでないことをやるのではなく、もっと人の多い大都市繁華街で「毒物散布」を考えるのではないだろうか(当たり前のことだが「もっと効果的に『テロ』をやるべきだ」などと言うのではない。狂信的なテロリストというのが世の中にいないわけではないが、もしそういう人が「テロ」を実行するなら、いくら何でもこんなアホらしい方法は採らないだろう、という意味)。
大きな水瓶でしっかり薄められた「毒物」は、どの程度の危険なのだろう?
農業用水に危険物質が混じるのも危ないには違いないが、水道水に比べれば間接的。少なくともその水が耕作地に入ったとしても、そこでの収穫物を口にしたら途端に何かが起こる、というのは考えにくい(農薬の濃度を間違えて大量に散布してしまった、ということのほうがよほど「ありそう」で、かつ、危険度合いが大きいと思う)。
水道水は、というと・・・今、徳山ダムの水を水道水として取水するメドは全く存在しない。徳山ダムで「開発」した水道水の利水者は、愛知県・名古屋市・岐阜県である。
愛知県と名古屋市は、今や風前の灯となりつつある徳山ダム導水路が完成しなければ、徳山ダムの水は取水しようがない。そして仮に徳山ダム導水路が完成して徳山ダムの水道水、愛知県分=2.3m3/S 名古屋市分1.0m3/S が木曽川に流れるとして、その水を犬山頭首工で、あるいは朝日取水口で取水するときには、木曽川本流の大量の水の中に混ぜられる。どんな危険な毒物を想定したのかは定かでないが、「ペットボトル」で運ぶ程度の薬物を徳山ダムに散布したとして、果たして取水口でその毒物を特定できる濃度になるのだろうか(希釈されて「測定不能」の値以下になるとしか思えない)。
検出不能なら安全だ、と言いたいわけではない。 問題は、行政の側の恣意的なダブルスタンダードとその裏に潜むものだ。
市民側が(上流部の産廃不法投棄などを指摘して)「河川の水質は大丈夫か、心配だ」というようなことを言うと、行政は必ず「水質基準はクリアしている。そちらが挙げた物質は濃度測定できないほど微量(or 検出不能)。つまり存在していないも同然、だから安全だ」と言う。
この普段の行政の対応と、11月4日のものものしい「毒物散布テロ想定訓練」との著しい落差は何だ?
余談: blog 強行軍!「ALL木曽三川(中・下流部)『問題』」見学ツァー ① ②
(2009年10月、カテゴリ=導水路問題)
http://tokuyamad.exblog.jp/12220744/
http://tokuyamad.exblog.jp/12224216/
の写真にある通り、水道水の取水口に近づく気ならいつでも近づける。直接「毒物」を投入することは可能だ。徳山ダムに毒物散布するより、ここに直接投入するほうが、「テロ」としてはよほど「効果的」なはず(もちろん、私たちはそんなことをする気は微塵もない)。
そして水道事業者は、ユーザーに危険が及ぶような毒物などが水道水に混じらないよう、24時間、水質を管理している、当たり前の話だ。
あらゆる意味で「徳山ダムでテロ対策 訓練」はバカバカしい。水資源機構のほうは、「揖斐警察署にはお世話になっています」感覚で、断るのどうのとはならないのだろうが、これを報道したマスコミ関係者はバカバカしいとは思わなかったのだろうか?
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バカバカしい・・・だが嗤っただけでは済まない。
私たちの日常の中に、「テロの危険」は常にあるかのような意識をすり込み、「テロとの闘い」への参加を正当化するための悪質な意図を感じてしまう。
日常的に「テロに備えた訓練」を行い、それをマスコミを通じて広げることで、草の根的に「テロとの闘い」意識を植え付けようとする作為。
イラク戦争はそもそも「開戦の大義」がウソだった(米英のトップも認めた)。この国際法上も違法な戦争を支持し、どうみても「戦闘地域」で(=イラク特措法違反)、憲法9条1項違反の米軍(多国籍軍)との「武力行使の一体化」を行った日本。
政権は変わった・・・・この戦争に自衛隊を送ったことの「総括」は、きちんとなされるのか?
あの徳山ダム湖を「『テロとの闘い』という名の戦争への参加への草の根的(心理的)動員」の最前線とすることを、私は許さない。
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サルビアの終わりかけと昨年植えて何とか今年も花をつけた菊と。
乱雑・ゴチャゴチャなところが「~らしい」。
