中途半端な年の暮れ~2009年大晦日~ |
2009年の大晦日である。
今年は、大きな激変化があった・・・8月末の総選挙で、1990年代前半のほんの10ヶ月の下野をのぞいて、半世紀もの間ずっと政権党であった自民党が大敗し、野に下った。自民党は2004年「郵政選挙」で獲得した圧倒的な議席を手放したくないから、と毎年のように総理大臣がその座を放り出す事態を繰り返しながら、殆ど任期満了まで引っ張った・・多くの有権者は「もういい加減にしてくれ」「ダメ元でも政権交代」という気分になっていたと思う。民主党が圧倒的に支持された、というより「自公政権に愛想が尽きた」。大きな期待はしていない、できない・・・・「でも」である。
前原国交大臣は、就任早々に(最もいろいろと困難が予想される)八ッ場ダムの中止を言明し、10月9日には「143のダム事業の見直し-予算執行の凍結を含む-」を宣明した。
が、そのときに言及した「有識者による見直しの基準づくり」を担う
今後の治水対策のあり方に関する有識者会議
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html
は、その人選において旧態依然(国交省河川局の「お馴染みさん」を取りそろえた)、しかも傍聴もなしの「非公開」ときた。
非公開でないと闊達な議論ができない「有識者」とは有識者の名に値するだろうか?積極的に「非公開」としたのは、選ばれた委員の側の希望か、それとも事務方主導か?どちらにせよ、私たち一人一人の安全に関わる「今後の治水対策のあり方」を密室で議論されるのではタマラナイ。
この「有識者会議」を設置することで、「今後の治水対策のあり方」議論の方向とは何の関係もない木曽川水系連絡導水路事業までも、治水(洪水)対策が論点になっている他のダム事業と一緒にペンディングにしてしまったのは、さらに頂けない。
12月25日の国交省発表のダム等の予算では、導水路事業に「5億円」つけている。
『新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方について』
直轄・水資源機構ダムの来年度予算
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h22/h22damjigyo.pdf
事務所維持(事務所の賃貸料+人件費+調査発注という「仕事」)のための予算ということなのだろう。この導水路事業は(ダム関連事業をやりたい側からしても)優先順位が低いものであることは確かだが、それでも中止への道はグズグズと牛歩。いつまでもダラダラと事務所経費やら調査費やらを食いつぶしていく・・・・。まさにムダの極地。
カリカリして、「一刻も早く正式中止を!」という声明を書きかけたすが、何度目かの同じことの繰り返しになって、新鮮味も何もないのでやめた。
しかしこのブログでは繰り返しておこう。
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一刻も早く正式「中止」へ
まさにムダ!徳山ダム導水路(木曽川水系連絡導水路)事業への5億円予算
12月25日、来年度予算政府原案の閣議決定で、政府は徳山ダム導水路(木曽川水系連絡導水路)事業に5億円の予算をつけた。「工事の新たな段階には入らない、事務所等の維持と調査費用」ということなのだろう。が、純粋にお金の面ではムダそのものであり、「コンクリートから人へ」という政策転換の方向性を示すのメッセージとしては実に中途半端であると批判せざるをえない。
繰り返しになるが、徳山ダム導水路建設の理由は「徳山ダムができちゃったから」に尽きる(= 要らない徳山ダムができちゃったから、「有効利用」のために要らない導水路事業にさらなる公金を投入する)。事業目的である新規利水も異常渇水対策も、必要性に関する科学的根拠を欠いている。特に「河川環境改善のための異常渇水時の緊急水補給」は、どう考えても「河川生態系の破壊(攪乱)」にしかならない。来年秋に迫った生物多様性COP10開催前に、きっぱりと中止するべきである。
早急に、中止のための法的手続き(諸計画の見直し)に入ることを求める。
事業実施計画があるから事務所(建設所)を維持し、事務所があるから仕事(「調査」?)を行う…こうしたやり方で「事業の進捗率」を上げ、「ここまでやったからには中止するのはモッタイナイ」という発想で無駄な公共事業が押し進められてきた。この発想の根底に横たわる右肩上がりを前提とした「将来、いつかは必要になる」という神話は、事実によって否定されている。8月末の総選挙で、国民は大胆な政策転換を選択したのだ。現政権はその国民の選択に真正面から向き合い、政策転換のメッセージを明確にするべきである。
木曽川水系における過去の河川政策、特に長良川河口堰建設、徳山ダム建設は、明らかに誤りであった。この長良川河口堰と徳山ダムを「有効利用」しようという導水路事業は、この誤りを押し隠し、ムダにムダを重ねるものでしかない。「新たな段階の工事は進めない」としてダラダラと引っ張ることなく、一刻も早く正式中止とするべきである。
そして、その中止に至る過程を十分に透明なものとし、今後の日本の河川政策の良い方向へと転換していくきっかけになることを、心から期待する。
以上
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有権者が期待した「チェンジ」の見えない2009年大晦日。
強い寒風が吹いている。 明日は「ホワイト元日」か。
街には失業者が溢れ、漂っている。
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年末の内に咲くかぁ?気の早い馬酔木の花。
