続 「原風景復元事業」で景観がブチ壊し? |
中日新聞が大きな記事にしたことで、この件は結構「話題沸騰」である。
長良橋の直上流と直下流の左岸の工事のことも話題になった。
わざわざ写真を送って下さった方も。

(新聞記事になっているのは、上の写真の100mほど上流の対岸)
「長良川川原町・鵜飼屋地域のかわまちづくり懇談会」
「第2回懇談会(09.7.30) 資料3:砂礫河原の再生について」と「第3回懇談会(09.12.14) 資料1:第1、2回の懇談内容について」を眺めつつ、木曽川上流河川事務所や岐阜市に電話した。詳細は相手さんと認識が違うかもしれないので、以下は私の感想。
(1) 長良川左岸の工事は(長良橋の下流も)、河川管理者(国交大臣-木曽川上流河川事務所)が行っている工事。
河川整備計画(洪水対策)における河道掘削が主で、「砂礫河原の復元」は、もののついで-アダプティブマネジメントの考え方に基づく-先行的・試験的「お試し」らしい。
この箇所の河道掘削に関しては、05年の「ふれあい懇談会」の頃から、ああだこうだと言っていたから、ボーリングもやっていない、ということはないはずだ。 アダプティブマネジメント「お試し」箇所にするにあたって、こうしたことのコンサルに何かしら発注しただろう。
「本当に『砂礫河原の復元』になるの? 調査・検討はしたの?」という質問には、「玉石も含めて掘削した後、玉石を置き直す、という計画」だそうで。上手くいくのはどうかは???
(2) 新聞記事にとり上げられた左岸の「除草」は岐阜市の事業。
河川管理者としては、河川法27条の許可を出しておらず、「除草」との作業届けを受け付けただけ、とか。
経緯を聞いていると:
岐阜市側に「H22年6月の海づくり大会(この河原の傍に建つホテルでレセプション的なものを行う予定とかで)海づくり大会にあたって草を抜いて”きれい”にしたい」という願望があったらしい。国(木曽川上流河川事務所)に「『砂礫河原の再生』を左岸だけでなく右岸のこの部分も」と頼んだら「予算がない、計画がない」と断られた・・・
その頃に「H21年度補正予算/一時雇用」の予算の話が出てきてで「じゃ、人海戦術で草抜きをしたら良い」となったらしい。
国(木曽川上流河川事務所)は、「人手で草抜き」なら河川法27条に該当しない、と判断して「作業届」で済ませた・・・しかし人力で草抜きが出来ず、商工観光部と話をつけて鵜飼船のコース確保のために鵜飼事務所が契約していた業者に「除草」を頼んだ・・・「草を抜いて”きれい”になった」で一件落着か、と思いきや、中日新聞に書き立てられて「あれれ?」ということみたい。
景観や環境の「保全」「復元」とか名付ければ、何かしら「良いこと」みたい感じるらしい感性に恐れ入る。
「長良川の原風景」というのは何なのか? 草地化した河原の草を重機で抜けば、「原風景」が復元されるのか?そんなに安直なものではないだろう?
「原風景」は、人の暮らし・文化・歴史の裏打ちがある。少なくとも「長良川川原町・鵜飼屋地域のかわまちづくり懇談会」設置の謳い文句は、そのことを無視してはいない。
が、実際に何かをやるときは、この程度かいな?「これまでの行政のありよう」の問題(限界)の全面展開を感じる。
岐阜市は、「これから緊急雇用対策/延べ520人の一時雇用-予算は495万円- 施策を実施する」そうだ。「緊急雇用対策」ということなら、目的を問わず、で良いのだろうか?
◇ ◇
国(木曽川上流河川事務所)には、「景観も含めて、河川区域内の改変に関しては、最終的に河川管理者の責任のはず」と念押ししておいた。「岐阜市の所為」で終わりにされてはたまらない。