長良川河口堰はやっぱり「大問題」 |
「海無し県」の岐阜県が、第30回豊かな海づくり大会に名乗りをあげた(それも「ぎふ長良川大会」と長良川に焦点を当てた)」おかげ(?)で、岐阜県の川について、岐阜新聞と中日新聞が競って特集企画記事を連載している。
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岐阜新聞連載「ぎふ海流」
http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2010/gifu_kairyu/
第3章 「断ち切られた川」 2010年 2月23日(火) は、いよいよ長良川河口堰問題。
長良川河口堰運用14年/鮎の不漁を嘆く川漁師
http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2010/gifu_kairyu/3/gifu_kairyu3_6.shtml

【写真】2年間使われていない鮎のトロ箱を手に、長良川の変化を嘆く大橋亮一さん=羽島市小熊町、大橋さんの自宅
三重県長島町の長良川河口堰(ぜき)は、建設の賛否をめぐる大激論を経て1995(平成7)年7月から運用が始まった。長良川と向き合い続けてきた川漁師の言葉に耳を傾けると、河口堰が川に与えた影響を嘆く声が聞かれた。
羽島市小熊町の川漁師大橋亮一さん(75)は、羽島市から瑞穂市までの河口から約34・5~43・8キロ区間で川漁をしている。大橋さんによると、河口堰運用以来、鮎の漁獲量は徐々に減り続けており、一昨年と昨年は漁獲量がゼロだった。半世紀余にわたり川漁師をしているが、前代未聞だという。ほこりをかぶった鮎のトロ箱を手に、大橋さんは「これでは漁とは言えない」と悲しむ。
長良川河口堰は、河口から5・4キロ地点に位置し、海水と淡水が混じり合う汽水域をゲートで潮止めして、堰上流を淡水に、堰下流を海水に分けている。複数の専門家は「中下流域の流速が下がり、子鮎の降下が困難になった」など、汽水域を分断した影響を語る。大橋さんは「河口堰から約30キロも離れているのに、こんな影響が出るとは」と、あらためて振り返った。
大橋さんの漁場でもかつては鮎が河床の玉砂利に産卵していたが、河口堰運用後は河床が砂とヘドロばかりになり、産卵が見られなくなった。ここ2年は鮎の遡上(そじょう)数が増えたが、8月を過ぎても魚体が5センチ程度と小さく、商品価値がないため漁ができない。あまりの不漁のため、昨年11月中旬には、その年の漁をやめてしまった。
河川環境を改善させようと、大橋さんら川漁師は水資源機構に対し、春と秋にゲートを一時開放するよう求めているが、塩害発生の懸念を理由に実現していない。大橋さんは「河口堰によって豊かな長良川が滅びゆく長良川になった。わずかな間でもゲートを上げれば川も命をつなぐことができるのに」と悔しがる。 (ぎふ海流取材班)
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岐阜県は、この機に国に対して、真剣に長良川河口堰のゲート開放を要求して欲しいものだ。前の知事-梶原拓-は、「国がゲートを開ける、などというなら竹槍をもって阻止する」と宣った。元建設官僚であるの梶原拓の個性もあるが、彼がそういう発言をするには、「岐阜県内の政治」が大きかった。
しかし、今、「岐阜県内の政治」の様相も少しずつだが動き始めている。
先日の岐阜市長選の候補者アンケートでは、当選した細江茂光氏(旧勢力に一番近いと言われた)も含めて、誰も長良川河口堰ゲート開放に反対していない。
長良川市民学習会サイト
1月28日 中日新聞記事

昨日(2月22日)、今年度の長良川河口堰調査検討会が開催された。
中日新聞岐阜県 2010年2月23日
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100223/CK2010022302000025.html
アユ履歴の詳細調査を 河口堰検討会で出席者指摘
長良川河口堰(ぜき)の機能が十分に果たされているかどうかを検討する県の「長良川河口堰調査検討会」が22日、岐阜市で開かれた。河口堰がアユの遡上(そじょう)や海への降下などの生態にどのような影響を与えているのか詳細な調査が必要との意見が委員から出され、実施に向けて検討することになった。
検討会には河川工学や魚類の専門家、漁業関係者ら委員約20人が出席。水資源機構長良川河口堰管理所の担当者が、昨年と一昨年に大量の稚アユが堰の魚道を通って遡上していることや、堰の横にあるアユの人工ふ化水路を使った放流実績が年々増加していることを報告した。
これに対し、委員の森誠一・岐阜経済大教授(魚類生態学)は「長良川のアユには海から魚道を通って遡上したものや、上流で放流された他県産などいろんなアユがいる」と指摘。「長良川全体のアユの中で、魚道を遡上した魚はどの程度いるのか把握する必要がある。人工ふ化の効果を知るためにも、アユの履歴を調べてはどうか」と提案した。
また、川で生まれたアユの子が堰で流れの緩くなった川を下れずに死んでいるのではないかとの指摘についても触れ、「実際にどのようなルートでアユの子が海に下るのか、どのくらい死ぬのかを調べる必要がある」と指摘した。
県河川課の堂薗俊多課長は「どこが調査するのかも含め幅広く調整していきたい」と検討する考えを示した。
検討会は毎年1回、国と水資源機構から管理状況などの報告を受けている。
(山本真嗣)
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昨年度までの「長良川河口堰調査検討会」の資料は以下に。
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11652/kakouzeki/kakouind.htm
今回のはいつアップされるか、と岐阜県河川課に訊いたら「4月頃」というから「そんなの遅すぎる!海づくり大会のおかげで(?)これだけ長良川河口堰に注目が集まっているのだから。配付資料だけでも早くアップしてください」と言っておいた。
海づくり大会・COP10のある今年は、一時的だろうと試験的だろうとゲート開放の実績を作るヤマバです・・・河口堰ゲート開放に向け、声を集めましょう!
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中日新聞岐阜県版の連載「アユは語る 第2部」の5つの記事のPDFファイルを下記にアップしました。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/umizukuri/ayuha2.pdf
(「アユは語る 第1部」 PDFファイル)