やっぱりヘドロが溜まっている/長良川河口堰 |
長良川河口堰直下流の「河口から5.0km」の底質。(河口堰位置は「河口から5.4km」)

「平成21年度中部地方ダム等管理フォローアップ委員会年次報告(平成20年次)」から
岐阜県「長良川河口堰調査検討会」資料にも入っています。
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11652/kakouzeki/kakouind.htm
強熱減量は、H6~H10頃が8%以上10%未満、いったん下がってH14,15頃にまた8%前後になっています。
酸化還元電位はH14,15が一番マイナス側にふれていて-350mV位。
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用語解説(ある人から頂いたものの横流し)
★強熱減量(Ignition Loss)
泥を乾燥しておいて600度で焼いた時の重量の減少割合(%)です。
底質が含有している有機物量の指標になります。
名古屋港、蒲郡港などの汚染した海域に堆積した底質では10数%くらいでしょう。相当に汚いところでも20%を越えることはありません。
逆にそういうデータが出た場合は、測定エラーの可能性があります。
★酸化還元電位
底質の酸化還元状態を示す指標です。泥の中に電極を突っ込んで測定します。
マイナスなら還元状態で外観が黒っぽく、硫化水素臭もします。
プラスなら、酸化状態で、外観は明るい褐色を呈すでしょう。
名古屋港、蒲郡港などの汚染した海域に堆積した底質ではマイナス300~500mVくらいです。
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HPには載っていないのですが「長良川河口堰年次報告書(H21年度)」には、以下のような記述があります。
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2-11~
(1)細粒分含有率
(2)強熱減量
おおむね細粒分含有率が高い地点において強熱減量も高い傾向がみられる。
(3)酸化還元電位
おおむね細粒分含有率が高い地点において酸化還元電位はマイナスの値を示す傾向がみられる。
2-17~
(1)細粒分含有率
堰の運用後、河口堰付近において細粒化している箇所がみられる。
(2)強熱減量
堰の運用後、おおむね細粒化している箇所で増加がみられる。
(3)酸化還元電位
堰の運用後、おおむね細粒化している箇所でマイナスの値を示す傾向がみられる。
(4)総炭素、総窒素、クロロフィル分解物、フェオ色素
堰の運用後、おおむね細粒化している箇所で増加がみられる。
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これって、普通の市民の言葉に翻訳すれば、「堰の運用後(河口堰の存在を原因として)、ヘドロが溜まっている」ということになるのではないでしょうか?
ところで、国土交通省河川局のHP
http://www.mlit.go.jp/river/
は何回もリニューアルされていますが、
長良川河口堰についての頑迷な「言い張り」=「河口堰に問題があるなんてことは、絶対に認めないぞ!」は、長々と掲載を続けています。
朝日新聞社説やコラムへの執拗な「噛みつき」をいつまでも削除しない(おかげで、古い朝日新聞の記事を閲覧できる)。
河川局トップページ → ダム → 長良川河口堰
平成17年5月23日付朝日新聞社説「長良川堰10年 この惨状をどうする」
http://www.mlit.go.jp/river/dam/main/opinion/20050523/index.html
(1999年)10月15日付朝日新聞「窓」の報道に対する建設省の書簡について
http://www.mlit.go.jp/river/trash_box/topics/mado/index.html
毎年の「長良川河口堰年次報告書」(建設省・国交省/水公団・水機構が作成している)の中の表を見ても、長良川でのヤマトシジミの漁獲が少ないのは明白。
(水質について)「特に問題となる経年的な変化の傾向は認められないことが確認されています」というけど、堰運用後、(上記のごとく)底質に汚濁の指標の上昇傾向が存在することは認めています。河川管理者が「特に問題」にしないようにしている、ということにすぎません。
いつまでもこんなものを載せておく河川局の神経が理解できません(天下りに固執するのと同じくらい、大局的には「組織の(同時に自分の)不利益」にしかならない、と私は思う)。
「木曽三川下流部」に環境的「問題」が存在することは、国交省中部地整も認めています(木曽川下流域自然再生検討会)。
「木曽三川」と纏めて括ることで長良川河口堰の「問題」を薄めていますが、稚拙なゴマカシです。揖斐川や木曽川にも「問題」があるから長良川河口堰は問題ではない、というのは屁理屈にもならない。
木曽三川下流域自然再生検討会
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/shizensaisei/index.html
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いろいろとツッコミどころ満載。またそのうちにコメントします。