長良川の魚たちは今-パタゴニア・名古屋店での講演会 |
4月30日、パタゴニア日本支社・名古屋店で、(お店が閉まった後のイベントとして)向井貴彦・岐阜大准教授による講演会が開かれた。
下は中日新聞岐阜県版の記事。

「お店で?どんな人がどれくらい?」と気になったが、若者中心に40名ほど集まって、熱心に聴いていた。
向井先生のお話は導水路がらみでは、何度も聴いているが、今回あらためて2つのことを興味深く聴いた。
「淡水魚はまだまだ新たな種が見つかっている(2010年3月にヨシノボリの新たな種が確認された)。昔の調査資料だけからは環境変化を明確にできない」
「「『長良川といえばアユ(サツキマス)』と、特定の種ばかりにスポットがあたるのは、ちょっと違う」
アユは確かに長良川の象徴的な種である。また「水産資源」でもあるので、経済的観点からも話題になりやすい。しかし生態系は(ヒトを中心に存在するのでないのと同様)アユを中心に存在しているわけではない。河口堰の魚道での遡上カウントも、もっぱらアユが数えられる。仮にアユの数や大きさが河口堰運用前と同等になれば良いのか?
アユは「水産資源」であるがゆえに、大量の放流が繰り返されてきた。多分、琵琶湖産のアユの放流と関係あるのだろうが、他の淡水魚にも「西日本」に限られていたはずの遺伝子が木曽三川に入り込んでいるそうだ。
この数十年、あるいは百年、日本社会はあまりにも「お手軽」に自然をいじくりすぎた。 絶滅したトキやコウノトリを莫大なお金をかけて再生させようとしている。(そのこと自体は否定しないが)、トキやコウノトリの繁殖に関する報道では、単に美談や期待という側面だけでなく、こうした再生プロジェクトが必要となった所以-「絶滅」が人間が自然をいじくった所為であることを、もっときちんと伝えるべきだ。
4月25日に長良川河口部の豊かなヨシ原-いいろいろな生き物がいた-が、歯抜け状態のボロボロになった様子を目の当たりにしたばかり。
そして、H7年の建設省と水公団による「長良川河口堰」のパンフ(※)を目にしたばかり-こんなはずではなかったはずだ-。(※ 後に取り上げたい)
私たちが「徳山ダム建設中止を求める会」を発足させた1990年代半ばは、「環境でメシが食えるか!」という言い方が公然となされた(当会が「環境NGO」なのかどうか、私には良く分からないが)。「(生態系の頂点にある)アンブレラ種としてのイヌワシ・クマタカの保全-生態系の保全-」という問いかけは、「鳥なんだから都合が悪ければ余所に飛んでいくだろう」というレベルの”反論”に押し流された。
それから15年。今は「環境こそメシのタネ」である。
木曽川水系連絡導水路(徳山ダム導水路)は「長良川・木曽川の環境改善」のために作るのだそうな・・・
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