朝日新聞岐阜県版連載「恵みいとなみ」 |
朝日新聞岐阜県版で「恵みいとなみ」という連載が始まった。
6月2日 朝日新聞岐阜県版

http://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000001006020003
【写真】まだ水が冷たい長良川中流では、1日に解禁された、石を積んだヨシノボリ漁の仕掛けづくりが始まっていた=関市の長良川

「全国豊かな海づくり大会ぎふ長良川大会」が12、13両日、関市を主会場に開かれる。岐阜には海がなく、舞台が河川となるのは初めて。テーマは「清流がつなぐ未来の海づくり」だが、長良川では、漁獲量が減り続け、河口堰(か・こう・ぜき)の影響が懸念される。「清流」をどう次の世代に受け継ぐのか。課題を探った。(久土地亮、広島敦史)
◆長良川の象徴 続く減少
(略)
◆消えるヨシ原 汚染、海にも
長良川中流域は、85年に環境省の「名水百選」に選ばれた。09年の県の調査でも、水のきれいさを表す生物化学的酸素要求量(BOD)は、上流が最も厳しい「AA」を、中流は次に厳しい「A」の基準を満たした。岐阜市には、都市を流れる川としては珍しい水浴場もある。
だが、下流は様子が違う。国交省によると、岐阜市より下流で国直轄部分のBODは1リットルあたり0・8ミリグラム(08年)。羽島市、海津市、三重県桑名市へ下るほど悪化していた。BOD値に基づく全国1級河川ランキングでは、08年は166河川中53位、07年は89位と、振るわない結果だった。木曽川や揖斐川と比べても、08年は三川とも同じ53位。
原因は都市部を流れる支川の汚染だ。下水道などが整いつつあるが、まだ、生活排水が垂れ流されている川もある。支川の一つ境川上流では、約3割の世帯の生活排水が流されているという。糸貫川も09年のBODが同5ミリグラムを超えた。
川の汚れは伊勢湾の汚染にもつながる。4月の科学者や市民団体の調査では、汚染を浄化する機能があるとされる干潟や川岸のヨシ原が、長良川下流で大きく減っていた。
岐阜大地域科学部の向井貴彦准教授は「浄化作用が少ない長良川は、同じ水質の他の川より、汚れた水を海に流している可能性がある」と指摘する。
きれいな川を保つためには、森も大切にしなければならないという。人工林では適切な間伐が必要だ。光が当たらなければ土壌が弱り、保水機能が下がる。雨が降ると、土砂がそのまま川に流れ込み、渇水時には水量が減って水質悪化につながる。
県の報告書によると、長良川上流の郡上地域では、08年度に間伐した面積は約3千ヘクタールで、やや目標(3400ヘクタール)に届かない状態だ。間伐を続けないと、上流の水質も悪化する可能性がある。
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この清流を未来へ伝えるにはどうすればいいのか。3日からは、川にかかわる人たちに聞く。
「第30回全国豊かな海づくり大会ぎふ長良川大会」は、県と市町村で組織する実行委員会と、豊かな海づくり大会推進委員会が主催、農林水産省と環境省が後援する。毎年各地で開かれている。
13日には、関市文化会館で天皇、皇后両陛下が出席して式典行事が行われ、アユやアマゴなどが放流される。大会中は岐阜市と関市で物産展などがあり、ほかの市町村でも稚魚の放流などが行われる。
開幕前の5、6両日は、岐阜市の長良川国際会議場で、「市民による『豊かな海づくり大会』」がある。長良川河口堰(か・こう・ぜき)建設に反対してきた市民団体などが主催。5日は長良川の生態系に関する専門家の講演、6日は長良川でのラフティングや水辺観察会などが予定されている。
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清流・長良川
2010年06月03日【1】
多様性 身近な魚指標に
http://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000381006030001
岐阜大准教授 向井貴彦さん(39)
むかい・たかひこ 東大大学院理学系研究科博士課程を修了。理学博士。2007年1月から現職。専門はハゼなど汽水域の魚類の生態。
2010年06月04日【2】
川や魚の今 知ってほしいhttp://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000381006040002
野田卓志さん(37)
のだ・たくじ 江戸時代末期の創業と伝わる「角鍬(かど・くわ)商店」(関市本町8丁目)を営む。2002年から5代目として修業を積んでいる。
【1】の向井貴彦さんは、”市民による「豊かな海づくり大会」”の講師、【2】の野田卓志さんは、同じくパネラーである。
6月6日の【3】は、木曽川上流河川事務所の副所長のようだ(現時点でまだウェブにアップされていない)。