設楽ダム第一審 不当判決!! |

6月30日の15時、設楽ダム裁判(対愛知県住民訴訟)の第一審判決がありました。
予想に違わぬ(予想以上の?)不当判決です。
「司法の行政追随姿勢」にいちいち驚いてはいませんが、それにしても「結論ありき」「判断を避ける」姿はナサケナイ。

声明文と判決全文は「設楽ダムの建設中止を求める会」http://no-dam.net/index.html
ホームページにアップされています。
声明文を貼り付けます。
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2010年6月30日
設楽ダム公金支出差止請求事件不当判決に関する声明
本日、名古屋地方裁判所民事第9部(増田稔裁判長)は設楽ダムに関する公金支出差止等請求住民訴訟について、原告が本訴訟を通じて明らかにした事実をまったく理解することなく、原告らの主張を退ける、不当判決を下した。
本判決は、原告らが明らかにした以下の点について、
1 洪水調節の面で、原告らが明らかにした、設楽ダムによらない部分的な河道改修によって、計画高水位以下に水位を下げることが出来ること、そのことについて河川整備基本計画策定において検討がなされていないことについて、何らの判断もされなかった。
2 流水の正常な機能の維持という点については、原告らが明らかにした寒狭川上流を除いて自然環境が既に破壊されている豊川の現状、ダムが三河湾や河川全体に大きな悪影響を与えることについて、理解をしないまま河川管理者の裁量のみを強調して判断してしまった。また、牟呂松原頭首工の5トンの制限流量の設定の最大の根拠となっている水道用水の取水制限の相関図の理解を誤っている。
3 水道用水、工業用水について、平成27年度における愛知県需給想定値に達しない可能性が相当高いと認定しつつ、長期的な見通しにたって水需要の見通しを立てるという政策裁量を強調して、このような想定が著しく合理性を欠くとは断ずることは出来ないとしている。
4 農業用水について、供給量を用いなければならないところ、需要量を用いて間違って計算していると、原告が指摘した点については、理解をしないまま、被告の主張をそのまま引用する判断であった。
5 環境については、環境影響評価法施行後初めての該当事業であったにもかかわらず、不十分な環境影響評価であったことが明らかになったにもかかわらず、これらは単なる意見に過ぎないなどとし、一顧だにせずに排斥した。
6 灌漑利用者負担金について、矢作ダムの灌漑利用者負担金が、条例もなく徴収されていないという点については何も触れずに結論を出している。
こうした本判決の判断は、原告らが明らかにした事実をまともに受け止めようとしないもので、行政がすすめる公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとせず、むしろ無駄で環境を悪化させるダム事業を積極的に奨励する誤ったものである。
本判決は司法の役割を放棄した不当な内容であるから、原告らは名古屋高等裁判所へ控訴手続を行うとともに、引き続き設楽ダムの建設中止に向けてたたかい続けることを表明する。今後とも、みなさまのご支援をお願いしたい。
設楽ダムの建設中止を求める会
設楽ダム公金支出差止等請求訴訟 原告団・弁護団
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徳山ダム裁判の構造が設楽ダム裁判にも反映しています。
そして(木曽川水系連絡)導水路裁判はモロにこの判決の影響を受けます(同じ裁判体に係属していますから)。
まさに「他人事ではない」。
徳山ダム裁判との比較で、私の感想。
★私の注目点-「3」
徳山ダム・住民訴訟では「付言」として水需要予測が過大かもしれない=「ウォータープラン21の手法のほうが良いかも」みたいな言い方をしました、しかしそれだけです(判決理由中の文章にもなっていない)。
この判決訟では「水道用水、工業用水について、平成27年度における愛知県需給想定値に達しない可能性が相当高い」と明確に認定しました(判決p67)。
この認定からすれば、原告の請求を認容するほうが自然なのに、なぜか「長期的な視点に立って・・・水需要の見通しを立てる必要がある」(中略)「このような想定が著しく合理性を欠くとは断ずることは出来ない」と結論づけています。
2点の問題を指摘します。
① 「長期的な視点に立って・・・水需要の見通しを立てる」と必然的に水需要は多くなる(永遠に右肩上がりに増える)という誤った認識に立っていること(都市用水需要は、実際には増えていないどころか減っている)
② 裁判所が①のような現実性のない前提をおいたのは「被告・愛知県を負けさせたくない」という相変わらずの行政追随の姿勢をとっているからであると考えられること
★私の注目点-「5」
徳山ダム裁判では、徳山ダムが環境影響評価法対象外の事業だったこともあって、残念ながら、裁判ではあまり踏み込めませんでした。
設楽ダムは環境影響評価法施行後、ダムとしては初めての該当事業です。
けれど環境への影響、及びその評価の方法(範囲を含む)についての原告側の主張・立証を「意見にすぎない」などとして、裁判所は司法判断を避けました-証人申請は採用し、かなり多くの証人が証言したにもかかわらず-
これでは環境影響評価法は「無意味な役立たず法である」と裁判所が言っているようなものです。
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長い長い(たすきをつないだ)長良川河口堰裁判がありました。敗訴の連続でしたが、今、岐阜の長良川流域住民から澎湃と「河口堰のゲートを上げよ」の声が上がっています。
「徳山ダムみたいなしょうもないダム」というのは普通に言われるようになりました。
導水路事業を本体工事まですることは出来ないはずです(やらせない!)。
「継続は力なり!」「必ず勝つ(裁判のみならずあらゆる方面の手段を使って)!」の確信のもと、共に闘い続けましょう!! とエールを送りました。