新聞報道の状況-1 |
中日新聞 2010年7月6日 朝刊
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010070602000038.html

使わない水に59億円 愛知、三重県など長良川河口堰で負担
6日で本格運用から15年を迎える長良川河口堰(ぜき)(三重県桑名市)の昨年度までの維持管理費が187億円に上ることが、水資源機構中部支社(名古屋市)などへの取材で分かった。このうち愛知、三重両県は工業用水、名古屋市は水道用水の管理費として計59億円を支払ったが、一滴も使われていない。老朽化した設備の更新期を迎え、経費はさらにかさむ見通しだ。

同支社によると、維持管理費は毎日の堰の操作や点検、補修費、管理所の職員の人件費など。昨年度まで毎年9億8000万~15億6000万円(平均12億5000万円)が使われ、本年度も10億円の予算がついている。
河口堰には治水と利水の機能があり、治水分の維持管理費は国と愛知、岐阜、三重の3県が負担。利水分の維持管理費は利用者負担となり、水道用水分を愛知、三重両県と名古屋市が、工業用水分を愛知、三重両県が負担している。
しかし、新たに使えるようになった水量(最大毎秒22・5立方メートル)のうち、実際に水が使われているのは愛知、三重両県の水道用水の計3・6立方メートルだけ。水余りで、愛知と三重の工業用水と名古屋市の水道用水は取水口や導水路もなく、15年間、一滴も使われないままになっている。
それでも堰運用後、工業用水の維持管理費に愛知県は15億3000万円、三重県は33億5000万円を負担。名古屋市も水道用水用に10億4000万円を支払ってきた。

【写真右】本格運用から15年。昨年度までの維持管理費が187億円に上ることが明らかになった長良川河口堰(右が河口側)=5日、三重県桑名市で、本社ヘリ「まなづる」から(横田信哉撮影)
数年前からは設備の更新が本格化。昨年、ゲートを操作するメーンコンピューターを3億5000万円で入れ替えることを決めた。今後5年間で11億円程度の消耗品の更新を計画。その後、モーターなど高額な電気設備が更新期を迎える。
同支社は「長期的な視点で必要な水で、維持管理費も、適正な管理水準を保つための規定に基づいた負担。コスト削減にも努めている」と話す。
愛知、三重両県は「企業誘致に必要な水」、名古屋市は「渇水時の備えに必要」と話し、いずれも適正な支出と強調。三重県の担当者は「経費節減で、少しでも管理費を軽減してもらうようことあるごとに要請はしている」と話している。
ダム問題に詳しい伊藤達也法政大教授は「ダムや堰は莫大(ばくだい)な建設費が必要なだけでなく、造ったら維持管理を続けるしかない。客が1割しか入っていない旅館に、高額な経費をかけ続けるのは民間ではあり得ない」と話している。
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7/3の県民の会(河口堰に反対し、長良川を守る岐阜県民の会)のシンポで長良川市民学習会の武藤仁さんが強調したことが、大きな記事になった、というような感じを受けてしまいました。
この記事の反響は大きかったようで、7月8日の中日新聞夕刊の「ナゴヤマル」(一種の読者投稿欄)にこの記事に言及した投稿 「また無駄な事業 政治家に憤り」 が載っています。
(続く)