キャンプ下見と徳山ダム堤体内部見学-2 |
(承前)
まず案内されたのは、元の2号仮排水路の一部を拡張した「ゲート操作室」。
元の2号仮排水路の一部だから、つまり左岸の地山の下。
ここで3つの管につき、大きく文字が書かれれていたが、私は撮れなかった。
頂いた写真でメインの「利水主管設備」をば。

取水は選択取水口から。
元の2号仮排水トンネルを利用して直径3.6mの管を通してあるそうだ。
最大に流せる量は108m3/S(公称100m3/Sだが、実際は余裕をもたせている)。
この「利水主管設備」をメンテナンスなどで締めるときには、最大18m3/S流せる「利水分岐管設備」を使用する。
この位置から見える主ゲートの少し奥、副ゲートの手前で分岐させているのだそうだ。
このゲート操作室から放流口までの距離はわずかなので、分岐管の長さも短い。
(当たり前の話だが、「利水分岐管設備」の能力を超えて流さねばならないような時には、「利水主管設備」のメンテナンスは行わない)。
ちなみに選択取水口からの取水は、TP 338m~TP 400mの範囲。
「普段は水温で、取水の位置(高さ)を決めま」。
この日は「水面から6m下」から取水していたそうだ。
他に「水位低下用設備」がある。元の1号仮排水路トンネルを使っている。
これは「滅多に使わない」もので、急速にダム水位を下げねばならないときに使う。最大200m3/Sが流せるという。
TP305mから取水するそうである。
ちょっとおさらい。
徳山ダム管理所の公式サイト 「徳山ダムの概要」 から
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徳山ダムは、自然の岩や土を盛り立ててつくるロックフィルと呼ばれるダムです。徳山ダムは次のようなカタチをしています。
☆ダム計画
位置 右岸:岐阜県揖斐郡揖斐川町開田、鶴見
左岸:岐阜県揖斐郡揖斐川町徳山、東杉原
型式 中央遮水壁型ロックフィルダム
堤高 161メートル
堤頂長 427.1メートル
堤頂標高 406メートル
堤体積 約13,700,000立方メートル
☆貯水池容量配分図
(画像がjpgではなく、gifなので、私はここに載せられない))
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有効貯水量となる部分の最低水位TP363.5m。
363.5-305=58.5m分の水は何なのだろう?逆にTP305m下の約50mは何なのだろう??
(ダム湖の底の高さは堤体の一番下の高さと一致するとはいえないが、大体、TP250mくらいのはず)。
渇水対策-導水路の話が出てくる度に、チラチラと「徳山ダムの底水」という言葉が出る。
研究者などが「底水を使うことが予定されているのか?」と聞き返すと、話はゴニョゴニョと曖昧になる。
しかし何度も「底水」という言葉が出てくるのだから、河川管理者の内々には「徳山ダムの底水をどうかする」という話があることは間違いない。
この日、案内の職員は、はじめから「私よりは皆さんのほうがお詳しいことが多い。私の知っていることしか答えられません」と牽制されてしまっていた。
ある人がこのゲート操作室で「中部地整は『底水を使う』といっていたけど、どの部分を指し、どう取水する、というのか、教えて欲しい」と質問したら、「私は『底水』のことは聞いていません、分かりません」と言われて質問者が敗退。
ゲート操作室からエレベーターのある部分に戻り、さらに反対向きに監査廊を歩いた。
どこかの部分からは、地山部分を抜けて盛り立てた堤体の中を歩いているはずだ。
見学者が行けるどんづまりが、この上下に急な階段のある場所。
下は堤体下部の高さまで約30mまでらしいが、上に向かって何十mあるかは、よく分からなかった(見上げても端が見えない)。
もちろん「見学者立入禁止」である。


ひと通り案内して貰って外に出たら、やっぱり暑い。
徳山ダム堤頂は、標高約400mだが、それでもしっかり暑かった。
ダム湖を背景に記念写真を撮って貰って・・・あれ一人足りない。どこに行ってしまったのだろう?
背景右に見えるのが選択取水塔。

◇ ◇
この日、堤体内部見学希望者は「13時前 現地(徳山ダム管理所前)集合」とした。
いわば希望者を募った当会(徳山ダム建設中止を求める会の)キャンプ実行隊が遅刻したのでは話にならない。
で、集合場所で昼食を食べよう、と、途中でお弁当を買った。しかし真昼の現地はやたらに暑い。

ウロウロしていたら、原則通行止めの堤頂の見張りをしている守衛さんが、親切に「ここは涼しいですよ」と、管理所傍の(管理所に向かって左側。揖斐川右岸の地山の中に向かって掘られている)”トンネル”を指してくれた。
ここにトンネルの開口部があることは知っていたが、前に来たときまでは柵で塞いであったので、近づいても見なかった。今は10mほど中までに入れる。
少々の展示物があり、ベンチが置いてある。地中なので、涼しい。
「お弁当を食べる」ということにおいては、有り難かった。
が、気になったのは入り口の銘板。

徳山ダム建設事業従事者
水資源開発公団 独立行政法人水資源機構 徳山ダム建設所 徳山会
徳山ダム建設所職員として従事した職員(元職員)「有志」がお金を出し合って作ったのだそうだ。いろいろと懐かしい名前も並んでいる。
正直「違和感」がある。
公共の場所に、個人名を並べて良いのだろうか?
極論すると「有志」でお金を集めれば、水機構理事長の銅像を建てるのも「あり」になってしまう。このことを国土交通省に問い合わせしているが、「どの部署がどう言えるのか分からない」。
「有志」が作ったものだから関係者全員かどうかも、徳山ダム管理所では分からないそうだ。
全員でないとすると、ますます「名前を載せた基準は何だ?」
試験湛水開始の際の過労で心を患って、2007年初めに自死した職員の名前はあるのだろうか、ないのだろうか?
この職員は、自らの仕事の中身に悩んでいた、と聞いている(悪く言えば、旧徳山村の人々を口先でなだめすかして、「試験湛水開始に支障がないよう」「できるだけ黙らせる」のが任務だった。若い職員は顔も知らない古い”先輩”達が行ってきた数々の「悪行」を旧徳山村の人々にキツク責められ、悩んだろうことは想像に難くない)。
徳山村を湖底に沈めた徳山ダムは、こうした命も含め、本当に多くのものを奪った。
◇ ◇
「徳山会館」のこの部分は、「徳山湖」を模している。

本郷の方から権利を頂いてトラスト化した「私たちの共有地」は、この写真の右手の湖底。
◇ ◇
是非キャンプに参加して下さい。
もしかすると最後の「恒例:徳山村キャンプ」になってしまうかもしれません。
恒例:徳山村キャンプ 8月21日(土)~22日(日)
参照
http://tokuyamad.exblog.jp/14341465/