ツケの責任は頬被りのまま地下水ビジネス促進か? |
朝日新聞8月20日夕刊
字が小さいのでウェブ版からとってみる。
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地下水、「満タン」戻った 渇水対策や企業誘致に活用へ
http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY201008200188.html
朝日新聞夕刊2010年8月20日
かつては地盤沈下の原因になるほどくみ上げすぎた地下水が、利用を規制していたこの半世紀ほどの間に十分たまってきたとして、国土交通省は地下水を「水源」として活用するための研究を始めた。再び地盤沈下が起きないように管理しながら利用するための「指南書」をつくり、自治体の渇水対策や企業誘致に役立てたい考えだ。
国交省は今夏から、地盤沈下が続いてきた関東平野、濃尾平野、筑後・佐賀平野で、それぞれ5~10カ所程度の監視井戸を対象に水位や地盤変動の解析を始めた。取水と地盤沈下の関係などを調べ、2年ほどかけて、地下水の採取制限の目安など「地下水の管理基準」を作る。地盤沈下が起きないように管理しながら地下水を活用する方法をまとめ、全国の自治体などに配るという。
自治体や企業が一定の規模の地下水を使えるようになれば、瀬戸内海沿岸など渇水が起きやすい地域で非常用の水源にしたり、工場を誘致する際の「呼び水」にしたりすることが可能になる。
規制から積極活用へ転換するのは、地下水量が増えてきたからだ。国交省によると、地下水を取りすぎて各地で地盤沈下が起きた1950年代以降、国や自治体は工業用水法や条例により、井戸の深さや断面積で制限するなどして取水を規制。地下水のくみ上げ量は現在、ピークだった70年の3分の1程度に減少している。その結果、徐々に地盤沈下は収まり、地下水の水位は上昇。東京都では水位が数十メートル回復するなど「この半世紀で地下水という『貯金』がたまり、元に戻った状態」(国交省水資源政策課)という。
ただ地域差があり、現在も地盤沈下が続いているところもある。今回は地盤沈下が沈静化している地域や地下水を使用していない自治体に、利用を提案するのが狙いだ。
国内で雨や雪から地下にしみ込む水の量は年間1400億トン、日本の地下水総量は約13兆トンに達すると推定される。水がたまった巨大な器のような「地下水盆」が関東平野や新潟平野など主なもので約60ある。しかし現在、国内で使われる地下水は年間約120億トンで、水の使用量全体の1割程度にすぎない。
水資源政策課は「再び地盤沈下を起こさないためにも、規制緩和には難しい問題が残るが、管理手法を確立して活用の可能性を広げたい」としている。
研究所レベルでは地下水管理の先端的な取り組みも進んでいる。独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、地下水の流れを人為的に変えたり、常に15度程度と安定している地下水の熱を活用したりする技術も開発した。同研究所地下水研究グループの丸井敦尚・グループ長は「現状は自然の地下水位に戻った状態。技術情報に基づき、研究所としても地域にあった地下水予測などを提供していきたい」と話している。(鳴澤大)
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私がよく写真にする大垣の自噴井・・・地下水位の上昇を視覚的にあらわしているが、ここでは地下水位のことは触れられていない。
「地盤沈下」は徳山ダム建設の理由として、随分「活用」された。
徳山ダムの巨額のツケは納税者に押し付けて(※)、今度は「地下水揚水規制緩和=私企業による地下水ビジネス促進」かいな、そりゃちょっと調子よすぎやしませんか、と思うのはひねくれてるか?
※弊ブログ
徳山ダムの岐阜県負担1157億円!! [2010-03-22 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/13175602/
続・徳山ダムの岐阜県負担1157億円!! [2010-03-26 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/13211884/
続・続・徳山ダムの岐阜県負担1157億円!! [2010-04-12]
http://tokuyamad.exblog.jp/13398342/
続・続・続・徳山ダムの岐阜県負担1157億円!! [2010-05-20 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/13758089/
「命」の沙汰も金次第? 嗚呼 徳山ダム [2010-06-28]
http://tokuyamad.exblog.jp/14074558/
「今後の治水対策のあり方について 「中間とりまとめ(案)」への意見提出
[2010-08-15 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/14400682/
導水路はいらない!愛知の会
http://www.dousuiro-aichi.org/
2010/06/15 「国土審議会水資源開発分科会木曽川部会」への意見書(pdf-1.8MB)
何度でも、どんな場でも言いたい。
「こんなダムを作ると人命が危険にさらされる」
ダムによる生態系破壊の問題はもちろんだが、もっと具体的な生々しい話だ。
7月の可児川氾濫での犠牲者を出したことも、「徳山ダムの所為で、岐阜県の治水予算が枯渇してしまったから、起こるべくして起こった人災」。
(間接的ではあるけれど)ダムが人の命を奪う。
「地盤沈下が沈静化した、地下水を有効利用しよう」と(国土交通省が)口にする。
だったら、2000年になって本体着工し、2004年に事業費大幅増額をした徳山ダムはなんだったのさ?
徳山ダムで「開発」された都市用水は一滴も利用されていない。愛知県は「有効利用」したいらしい(=あくまでも「万が一の異常渇水のときの備え」。具体的な需要見込みがあるわけではない)が、そのために導水路を建設するには、さらに890億円を注ぎ込むことになる。
国交省河川局(旧建設省)と国交省土地・水資源局水資源部(旧国土庁。「水部」)との間には「壁・溝ならぬ道路(別館だから)」があるようだが、河川局と水部はさかんに人事交流をしている(水部は河川局の出先みたいなもの)。
地下水の規制緩和を口にするなら、明らかに地盤沈下が沈静化して以降の水資源開発施設建設(木曽川水系では、長良川河口堰と徳山ダムが代表格)を、「国土交通省として」、きっちり”総括”してからにして貰いたいものだ。