新川決壊水害訴訟控訴審判決-スーパー不当判決- |

8月31日、新川決壊水害訴訟の控訴審判決があった。中村直文裁判長に多少の期待をする向きもあったようだが(何らかの根拠もあるらしい)、出された判決は、「不当」などという言葉では表せないくらい酷い。

法廷で判決要旨の朗読を聞いたが、控訴審で控訴人側が論証した(単に「主張した」のではなく、丁寧に根拠を示した)ことがらには一切判断せずじまい。
控訴審判決要旨PDFファイル版
この判決にあたって高裁のこの部の裁判官は、控訴趣意書とそれに対する被控訴人(=国)の答弁書を読んで、事実上控訴審を「オワリ」にしてしまったらしい。
よくある行政追随判決同様、行政側主張のコピペをもって「当裁判所の判断」にしてしまうたぐいの不出来な判決だが、それにしてもコピペする元が古すぎる。被控訴人(=国)が、控訴人(=1審では原告)側に反論してきた書面さえ反映されていない。(報告集会で在間正史弁護団長が実例を挙げたので分かりやすかった)
報告集会前に配布された控訴人(原告)の主張のまとめを示す。


控訴審判決は結局のところ上記におことにまともに向き合って答えていない。一般的に「計画があったのだから、まあその内容は概ね正しいのではないの?だったら豪雨のときは『しょうがない』」というレベルにすぎない。
そして、審判決でアノ内田計一裁判長が指摘した部分さえ消し去ってしまっている。
原告団事務局長の池谷さんの”第一感想”は、「裁判長は、何も理解できず、理解しようともせずに判決を書いた」。
これでは原告は「やりきれない」。

新川決壊水害訴訟 100901 中日新聞記事PDFファイル版
岐阜新聞が、他県の裁判の高裁判決を詳しく報道した。これは今までにないことだと思う。
新川決壊水害訴訟 100901 岐阜新聞記事PDFファイル版
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「1審判決より後退している」と述べたので、少し1審判決(2008.3.14)の報道を振り返る。
右は、一審判決翌日の中日新聞記事。計画における「危険性」は事実認定したのだ。
今般の高裁判決はそれすらも消し去った。
一審判決の日の中日新聞は夕刊は1面トップで図入りで、載せ、また別の面でも扱った。
新川決壊水害訴訟第一審判決(08.03.14) 中日新聞 夕刊PDFファイル版(2ページ)
2ページ目の「これでは被害者は救われない!」というのは法廷での私のセリフ。
裁判官が席を立って扉の向こうに消えるまでの「数秒勝負」。
これをやらないと、判決を傍聴する意味がない(?)。
2008.4.17の自衛隊イラク派兵差止訴訟高裁判決のときは、傍聴人ではなく控訴人の一人として柵の中にいたけど、「良かった」「やった」の一言も言えなかった。
この辺りは、右の本「自衛隊イラク派兵差止訴訟 全記録」(風媒社)のp109~をご是非お読み下さい、といきなり他分野の本の宣伝。

風媒社
http://www.fubaisha.com/
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今回の高裁判決にあたって、中日新聞は8月30日に2つの面を使ってこの裁判の報道をした。
池谷さんの活動に焦点をあてた記事。

あらためて、池谷さんら原告の皆様の高い志をもったこの裁判闘争にこころから敬意を表したい。
そして志半ばでて亡くなられた井上貞夫・前原告団長に「私たちはさらに『公正・公平でより危険の少ない治水』の実現への努力をしていきます」と誓いたい。
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