丹生ダム 動くか? |
8月29日の「丹生ダム四知事視察」は、報道を見る限り、「単なるパフォーマンスで相変わらずズルズルと事業実施計画を(=丹生ダム 建設所を)生き残らせるんかい?」と、大いに寒々としたものだったが、事態は少しずつではあるが、動いている。
詳細については現段階では公表しにくいこともあるので、とりあえず、9月4日の朝日新聞朝刊記事を引く。
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★ 朝日新聞関西版 2010年9月4日
「早く利水撤退の精算を」 丹生ダム巡り大阪府が要望
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201009040017.html
独立行政法人・水資源機構が計画する丹生(にう)ダム(滋賀県長浜市)からの利水取りやめを表明した大阪府が、事業実施計画が変更されず利水負担金が精算されないままとなっているのは問題だとして、水資源機構に対し、早急に精算協議に応じるよう要望書を提出していたことがわかった。
府は2005年8月に水需要予測を見直し、1日20万トンとした丹生ダムからの利水撤退を表明。京都府など他の利水者も撤退した。このため、機構と国土交通省が計画を再検討しているが、治水専用ダムにするか、渇水対策の目的も持たせるのか結論が出ず、新たな計画や費用が示されていない。
同ダムをめぐってはすでに用地買収や住戸移転など全体で約560億円が費やされており、府が利水負担分を試算したところ、撤退表明時の05年度までで約99億円、撤退表明後の09年度まで請求されると約112億円に膨らむ可能性があるという。府水道部は「精算が遅れるほど負担が増える恐れがある」として、8月19日付の要望書で「利水撤退以降の費用負担まで同意したものではない」と主張した。
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9月3日(金)夕方現在、水資源機構(本社)は「大阪府から撤退意思通知公文書を受け取った」という認識をもっていない。
この記事にあるような「要望書」では、水資源機構法施行令30条に定められた計算式で精算手続きに入れない、と私も思う。
拙著 「徳山ダム導水路はいらない!」(風媒社) p150に
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手続問題
「撤退ルール」と言いながら、撤退の手続きを明文化していないのは事実ですが、前記のように「『撤退ルール』を運用する立場(主務省)としては、利水者の撤退意思を了知したら、『撤退手続き』に入る」と明言しています。
その後、淀川水系丹生ダムに関連して、「利水者が全部撤退の意思を表明しているのに『撤退ルール』手続きに入らないのはなぜか?」と尋ねたときにも、河川局治水課事業監理室の担当補佐は、「利水者の撤退意思を示す公文書が事業者に届いていないから」と答え、「では、撤退意思を示す公文書が事業者(水資源機構)に届いたら『撤退ルール』は始動する、と考えていいのか?」との質問には「その通りです」と答えています。
「利水者が事業からの撤退の意思を表明する公文書」を事業者(水資源機構)に送りつける、ただそれだけのことで「撤退」はできるのです。
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と書いた。「その後」の「その」は2003年9月2日、「後」は2006年である。
2006年には主務省(国交省)は「(どの利水者からも)正式な撤退意思通知公文書は出されていない」という認識に立っていたわけだ。
国交省は、2005年8月の「利水者総撤退」以後も、丹生ダムに関して現行事業実施計画(H14.2)に基づいて予算措置をし続けている(=水資源機構丹生ダム建設所は生きのこり続けている)。
遡って「あれを撤退意思通知公文書と認めます」となれば、財務省主計が相当にツッコミをかけるであろう-「法令上の根拠なき予算要求をし続けてきたのか?」と-。
それでなくても国家的に「金がない」&予算編成のまっさいちゅう。
こんなときに、大阪府知事の意を受けて、財務省(主計)と全面戦争 ・・・ などということは国交省はやらない、できない。
この主務省の事情と水資源機構自身の事情を併せれば、「8月19日付の要望書要望書」をもって、「2005年以降の大阪府の利水者としての負担は免除します」などということになろうはずがない。
仮に、これで、利水者負担を「免除」したら、使ってしまった金は誰が負担するのか、ということになる。
”国税一般”が穴埋めに充てられたのでは、たまったものでない。
「一滴の需要もない(=岐阜県の一般会計から支払い続けている)徳山ダムの都市用水負担分こそ免除してよ!」と叫びたくなる。
弊ブログ
「命」の沙汰も金次第? 嗚呼 徳山ダム
http://tokuyamad.exblog.jp/14074558/
徳山ダム 岐阜県支払い分 エクセル表
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota2/gifukenhutan.XLS
大阪府と水機構(国交省)の言い分が膠着状態になると、「有識者会議の中間とりまとめに従って個別ダムの是非を」という議論に落着することになる。
冗談ではない。
すでに「法の予定するところに非ず(これを私は”違法”と呼ぶ)」状態になっている丹生ダムにつき、「問題」を明らかにしないまま例の「基準」で議論するってかい?
単に結論を長引かせて地域住民に迷惑をかけ、税金の無駄遣いをすることになるだけ。
現在、大阪府知事は海外出張中だとか。
「帰国したら次のアクションがある」という噂が流れている。
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