「ダム事業の検証に係る検討について」だって! |
9月27日夕方、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議有識者会議」http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html
は「中間とりまとめ(案)」→「中間とりまとめ(修正案)」を、実に迅速に正式な「中間とりまとめ」に昇格させました。
そして9月28日には、国土交通省河川局長名で
ダム事業の検証に係る検討について
を発出しています(珍しくもその日のうちにHPにあがった)。
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国土交通省河川局HP
http://www.mlit.go.jp/river/
新着発表(2010/9/28)
ダム事業の検証に係る検討について
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2010e484304da38686695132a700aec4be07f04b5352c.html
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河川計画課(2010/9/28)
本日、ダム事業の検証に係る検討に関する下記の内容について発出したのでお知らせします。
1.ダム事業の検証に係る検討について
・国土交通大臣から関係各地方整備局長等及び独立行政法人水資源機構理事長に対し、ダム事業の検証に係る検討について【別紙1】のとおり指示しました。
・国土交通大臣から関係各道府県知事に対し、ダム事業の検証に係る検討について【別紙2】のとおり要請しました。
・検証対象とするダム事業は【添付資料1】のとおりです。
2.ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目の策定について
・平成22 年9月から臨時的かつ一斉に行うダム事業の再評価を実施するための運用を定めた「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」を策定し、河川局長から関係各地方整備局長等及び独立行政法人水資源機構理事長に対し、【別紙3】のとおり通知し、細目に基づく検討を指示しました。
・上記の細目について、関係各道府県知事に対し、【別紙4】のとおり通知し、細目に基づく検討を要請しました。
・上記の細目について、検討主体以外の地方整備局等に対し、【別紙5】のとおり通知しました。
・上記の細目について、検証主体以外の都府県知事に対し、【別紙6】のとおり通知しました。
・「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」は【添付資料2】のとおりです。
(連絡先)国土交通省河川局河川計画課
河川計画調整室長 泊 宏(内線:35361)
課長補佐 舟橋 弥生 (内線:35372)
(代表)03-5253-8111(直通)03-5253-8445
【添付ファイル】
2010/09/28 (火) 18:30
河川計画課
本日、ダム事業の検証に係る検討に関する下記の内容について発出したのでお知らせします。
1.ダム事業の検証に係る検討について
・国土交通大臣から関係各地方整備局長等及び独立行政法人水資源機構理事長に対し、ダム事業の検証に係る検討について【別紙1】のとおり指示しました。
・国土交通大臣から関係各道府県知事に対し、ダム事業の検証に係る検討について【別紙2】のとおり要請しました。
・検証対象とするダム事業は【添付資料1】のとおりです。
2.ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目の策定について
・平成22 年9月から臨時的かつ一斉に行うダム事業の再評価を実施するための運用を定めた「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」を策定し、河川局長から関係各地方整備局長等及び独立行政法人水資源機構理事長に対し、【別紙3】のとおり通知し、細目に基づく検討を指示しました。
・上記の細目について、関係各道府県知事に対し、【別紙4】のとおり通知し、細目に基づく検討を要請しました。
・上記の細目について、検討主体以外の地方整備局等に対し、【別紙5】のとおり通知しました。
・上記の細目について、検証主体以外の都府県知事に対し、【別紙6】のとおり通知しました。
・「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」は【添付資料2】のとおりです。
(連絡先)国土交通省河川局河川計画課
河川計画調整室長 泊 宏(内線:35361)
課長補佐 舟橋 弥生 (内線:35372)
(代表)03-5253-8111(直通)03-5253-8445
【添付ファイル】
(PDFファイル)
* 記者発表資料
http://www.mlit.go.jp/common/000124953.pdf
* 別紙1【検討主体(直轄、水機構)あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124954.pdf
* 別紙2【検討主体(道府県)あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124955.pdf
* 別紙3【検討主体(直轄、水機構)あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124956.pdf
* 別紙4【検討主体(道府県)あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124957.pdf
* 別紙5【検討主体以外の地方整備局等あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124958.pdf
* 別紙6【検証主体以外の都府県あて】
http://www.mlit.go.jp/common/000124959.pdf
* 添付資料1【検証の対象とするダム事業(直轄25・水資源機構5・補助53)】
http://www.mlit.go.jp/common/000124960.pdf
* 添付資料2【ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目】
http://www.mlit.go.jp/common/000124961.pdf
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皮肉を込めて「動きが速い」。
概算要求であげた来年度のダム等への予算1399億円。
これの配分について「流動的」と言っていました(9月1日頃、治水課事業管理室補佐)。
配分を確定させないと、予算編成ができない(=財務主計とわたりあえない)。
彼らは「メリハリをつける」つもりでいます。
やめる事業も出るでしょう。
同時に今までより大きな予算をつけて進めてしまうのも出る、ということです。
(「1399億円」ということは、たとえば6割のダムは止めるにしても、残り4割は「一層進める」という意思を表しています。実際はグダグダ決まらないのが多くて、「新しい段階には進めない」「とりあえず5億円程度」とかがたくさん出そうですが)。
そもそも「検討主体」が、これまで事業を推進してきた地方整備局や水資源機構や都道府県です。彼らは「必要な事業だ」として、これまでダム・ダム関連事業を進めてきました。ごくフツーに考えて「やはり必要だ」という結論になる可能性は高い、と考えるのが常識というものでしょう。
添付資料2【ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目】をみても、これは「主体」次第でいくらでもどうとでもなります。
2ヶ月で6回ほど何ごとかを行えば、「検討した、再評価した。(ダムを)早急に作るべし、という結論になった」とすることも可能。そうすると立派に(?)来年度予算で「もう一つ上の段階」の予算がつく、というわけです。
◇ ◇
とはいえ、私が注目しているのは「どんどん進んでしまう」こと(もちろんこれは大問題ですが)よりも、「やめ方」のほうです。
今回の「ダム事業の検証に係る検討について」の再評価手法は、1995年に各地で設置された「ダム等審議委員会※」を想起させます。
※ 少し遅れて設置したのも含めて13箇所だったように思う。起業地-木頭村-の「絶対反対」「ゆえにダム審設置拒否」姿勢が強くて結局は設置できなかった細川内ダムが、この13に含まれているかどうか、私の記憶では分からない。
何度も言っていますが、私たちの会は反対運動の「ハ」の字もなかった徳山ダムについて、「徳山ダム建設事業審議委員会」(=徳山ダム審)が設置される、ということを聞いて、会発足の準備を始め、徳山ダム審の第1回会合(1995.12.20)の開催の後、「もう待てない」と急遽立ち上げたものです。
・・・・・「揖斐川流域住民は、一人残らず、徳山ダム建設の推進を願っている(いた)」という話にされてはたまらない、一言くらいはモノ申したい、そうでないと歴史に汚点を残してしまう・・・
つまるところ「建設省によって誘い出された」のが私たちの会です。
だから「見直し」とか「検証」とかの言葉を聞く度に、「せめて徳山ダム審よりはマシなものになって欲しい」と願うわけです。
でも、今般の「密室・有識者会議」を前提にした「ダム事業の検証に係る検討」は、明らかにダム等審議委員会よりも後退しています。
「15年も経って、結局のところ、ズルズル後退」では、河川政策(治水・利水・環境)の根本的な転換はできません。
1996年10月10日「徳山ダム 建設省との対話」 [2010-02-26 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/12957129/
徳山ダム建設事業審議委員会「意見」と導水路裁判 [2010-03-02]
http://tokuyamad.exblog.jp/12987293/
丹生ダムや武庫川ダムのように、もう河川整備計画には位置付いていないダムを改めて「検証・再評価」の対象にするなんてヘンではないですか?
そもそもこの「密室・有識者会議」自体が、存在の正当性を疑われるシロモノです。このご託宣(実は全部官僚さんが作文をしているのですけど)で、どうのこうのと指示されるのはおかしい。
「速やかに、スッキリと『やめる』」として頂きたいものです。
◇ ◇
◆ 滋賀県知事発言報道
☆ 京都新聞 2010年09月28日
丹生ダム、滋賀県が独自検証へ 知事、国の新基準に反発
http://kyoto-np.jp/politics/article/20100928000160
国土交通省の有識者会議がまとめたダム事業の必要性を判断する新基準に対し、滋賀県の嘉田由紀子知事は28日、「流域全体での評価など、県の提案が反映されていない」と指摘し、国が新基準で検証する丹生ダム(滋賀県長浜市)について、県としても独自に検証する意向を表明した。
国の新基準は「(ダム建設を想定した)河川整備計画と同程度の安全度を確保する」とし、大雨でも流せる水量など川の中の安全度が、引き続き採用されることになった。
有識者会議に対して嘉田知事は今年7月、洪水の際に近隣河川や水路を含めた周辺の地形がどの程度の被害を住宅に及ぼすかなど、川の外の流域全体を考慮して安全度を総合的に評価すべきと提案していた。
嘉田知事は28日、「不十分な基準を押し付けられても困る」と新基準を批判。「(提案に掲げた)水害から命を守る姿勢を実践し、県として治水計画をつくる」と明言した。県営北川ダム(高島市)についても国の新基準に加え県の基準を用いて検証するとした。
県の検証は、ダムを含む治水案とダムを建設しない治水案を比較する。具体的には、丹生ダムでは、国が試算する下流の姉川・高時川へ流れ込む水量データなどの提供を受け、県が近隣河川や川と住宅地の高低差を踏まえた水の流れなどをシミュレーションする。
嘉田知事は昨年、大戸川ダム(大津市)建設凍結の意見を出した際にも、県独自でダムの治水効果を検証したうえで「国が行った試算は過大で、治水効果は限定的」と主張した。
☆ 読売新聞滋賀版 2010年9月29日
県独自の治水対策上乗せ/知事 ダム再検証新基準を批判
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20100929-OYT8T00001.htm
国と水資源機構が全国で建設を進めるダムの再検証のため、国土交通相の私的諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が27日にまとめた新基準について、嘉田知事は28日、「本気で命を守る、という意思が感じられない」などと述べ、国が進めようとする治水対策に否定的な見解を示した。
7月に新基準の中間取りまとめ案が公表されたのを受け、県は8月、「流域対策は、周辺の河川や水路群からの複合的な氾濫(はんらん)を考慮し、その土地の安全度を基に立案されるべきだ」などと意見したが、今回の新基準に反映されなかった。
嘉田知事はこの日、「新基準を、県のダム見直しにおける基準と見られると困る。県としては本来の『命を守る』姿勢で考えたい」と語り、新基準に、独自の治水対策を上乗せする意向を示した。
県内では大戸川(大津市)、丹生(長浜市)、県営北川(高島市)の3ダムが再検証対象となっている。
☆ 中日新聞滋賀版 2010年9月29日
「県の提案無視された」 嘉田知事、ダム検証の基準で苦言
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100929/CK2010092902000114.html
国土交通相の諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が27日に公表したダム事業の必要性を検証する中間とりまとめについて、嘉田由紀子知事は28日、「命を本気で守るという治水対策の本来のあり方が見えない」と不満を述べた。
有識者会議が全国の自治体などから求めた意見公募に対し、県はダムに頼らない治水対策のあり方として、流域住民の暮らしに力点を置いて守る「地先の安全度」の評価や、ダム計画中止時の「撤退ルールの制度化」を提案。しかし、とりまとめではコスト面を検証の最優先事項とし嘉田知事は「県の提案はほとんど無視された」と指摘した。
とりまとめを基に、国や地方自治体が実施するダム事業の検証には「県として方向性を示していきたい」と説明した。
県内で 計画が残っている北川ダム(高島市)と丹生ダム(長浜市)に関し、とりまとめの内容や国の検証に加え、県独自で検証したいとの考えを示した。事業が凍結している大戸川ダム(大津市)は、国の検証を見極めた上で「必要な意見を述べたい」と話した。
(添田隆典)
◆ 愛知県知事発言報道
☆ 中日新聞愛知版 2010年9月28日
必要性、国に強調 設楽ダム木曽川導水路
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20100928/CK2010092802000112.html
国による再検証が進む設楽ダム(設楽町)と徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を流す木曽川水系連絡導水路に、神田知事は引き続き国に必要性を訴える考えを示した。
国の有識者会議が7月半ばにまとめた再検証基準案によると、国直轄事業の設楽ダムは国土交通省中部地方整備局が検証主体となる。県などの地方公共団体からなる検討の場も設けられる。
木藤氏の質問に対し、神田知事は、「検討の場で東三河の発展に不可欠な設楽ダムと、徳山ダムに確保した水を使うのに不可欠な導水路の必要性を主張する」などと強調した。
◇ ◇
雨あがりの白ヒガンバナ。