北海道ダメ・ダム見学珍道中-2 |
10月3日午前は、ホテルからバスに乗って当別町の当別ダムを見学に行きました。
当別ダムの建設主体側の情報。
北海道 ホーム > 出先 > 札幌建設管理部 >
http://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/ds/ksk/
当別ダム
http://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/ds/ksk/sap-dogen/toubetudamu/index.htm
当別ダムは、北海道が事業主体の補助ダムで、「すでに本体工事に着手している」という理由で今般の「検討」対象にもなっていません(つまり「やっちまえ!」ということ)。
「ダムというものは何十も見た」のですが、かなり驚きました。
まずは、川の何でもないところに、いきなりダム堤体(らしきもの)が現れたのにビックリ。「川幅がぐっと狭くなっているところに堤体を造るものだ」という常識が覆りました。
(二風谷ダムもそんな感じです。北海道ではこういうダムが「常識」なのか?)
最初の「説明」を受けた高台から見た当別ダム。
CSG工法(※)というもので、「ダム湖側の川を掘り下げた砂礫で堤体を作る」。この工法のおかげで20億円安くできるそうな。
※ 当別ダム/ ダムの形式(台形CSG)
http://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/ds/ksk/sap-dogen/toubetudamu/tdcsg_90.htm
堤体の強度は当然にも弱い(脆い)。コンクリートの1/6とかだそうで、「それでも安全」と言っていますが、簡単な資料しかないので分かりません。
これが「安全」なら、あらゆるダムや建物をCSG工法にすれば良いことになる、と思うのだけど、そういう話は聞かない。
武藤さんは、ダム堤体の両側に「何の支えもない」ことに驚いていましたし、私はカーテンクラウチングがこんなに浅くてスカスカで良いのか?と心配になりました。
当別ダム堤体の真下で。
私たち一行(4人)の感想は一致して 「プレハブ・ダム」 。
簡単に造れて、簡単に撤去できそう(材料は「その場にもともとあったもの」だから、撤去するときには、その場で破砕して、ブルドーザーで均せば元通り(?))。
造っては壊し、造っては壊しで、エンドレスに工事は続けられる・・・やれやれ。
後にあちこち見て回り、お話を聞いてみて「なるほど、北海道『開発』局なのだ」とつくづく思いました。
略称「開発」・・・ううむむむ。
そして「北海道開発局」の、まずの出先機関は(各地域)「開発建設部」。
「コンクリート公共事業こそ基幹産業」なようです(当別ダムのすぐそばに自衛隊のレーダー基地があります。「コンクリート公共事業」の他に「自衛隊」も基幹産業のようです-他に雇用がない、林業と農業をダメにしたから-)
◇ ◇
当別ダムから北海道大学への移動中に、バスの窓から「白鳥のV字群れ飛行」を見ました。(ケイタイカメラでは写真にならない)。
ガンカモ類の「V字群れ飛行」は何度も見ていましたが、白鳥のは初めて。石狩平野を群れで南へと渡っていく姿は感動ものでした。
(ある人は「洞爺湖辺りに行くのではないか」とおっしゃっていました。私は北海道の野鳥には、全く疎いので、これ以上の言及はやめたほうが良いようです)
◇ ◇
◇ ◇
<余談ながら>
当別ダムを案内して下さった「北海道札幌建設管理部当別ダム建設事務所」の所長さんは、大変温厚で「善い人」のようです。しかし、今工事中のゲートは「流水の正常な機能の維持のための水を流す目的で作っている」といいながら、当別ダム地点での正常流量の値は「知らない」。
つまりは、あくまでも「ダム建設」の現地責任者であって、河川管理者としての側面はコロっと抜け落ちています。だったら工事を請け負っているJVの責任者と何が違うのでしょう?
(もしかするとJVの現地責任者のほうが事実上の「上役」だったりして・・・(>_<))
多分、この所長さんだけではなく、どこでもかしこでも、「そんなもの」なのでしょう。
この所長さんも異動によって、河川整備計画策定(まさに河川管理者としての重要な仕事)にあたったりすることもありうるはずです。しかし意識は「河川管理者-良い川を作って維持していく者-」ではなく、あくまでも「建設・工事をする者」になってしまっています。 これはこの所長さんの個人的な問題ではない、と思いました。
ここに表れたのが、北海道の河川部局の意識であり、北海道以外の多くの都道府県河川部局の意識でもあるのでしょう。そして各地方整備局も似たようなものなのでしょう(いや北海道開発局はほぼ完全にそうなってしまっている)。
つまりは1997年河川法改正以前の「工事実施基本計画」-あくまでも「工事」-の意識。
「役人というのは根性が悪い」という問題ではありません。まして「建設業者からおいしい見返りがあるのだろう」とか「天下りが約束されているだろう」ということで、この「現象」を語っても仕方がないのです(賄賂まがいの見返りやヘンな天下りが「ない」と言っているのではありません。それがコトの本質ではない、そこにばかり目を奪われると間違った方向に行ってしまう、と思うのです)
ある意味では、住民・主権者が、そういう行政体質を作ってしまったのです。
日本国憲法 第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
憲法はタテマエにすぎないという見方はあるものの、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」(第十二条 )です。
「不断の努力」で変えていくしかないでしょう。
とはいえ、巨大組織に染みついた体質を変えていくのはなかなか「大変」だ・・・と溜息をついてしまいました。
北海道(庁)のHPではどこにもも載っていない当別ダム地点を含む当別川の正常流量について、紙媒体で送っていただきました(当別ダム建設事務所の方、お手数をおかけしました)。
北海道(庁)になりかわって(!?)、私がここにを載せます。
続く