2010年12月7-8日 長良川「治水」調査行-3 |
~ 郡上にて ~
郡上に着いたのはだいぶ闇が深くなってからだった。宵闇の中で少し散歩をしたが、このときの光景は写真にはならない。

郡上八幡の中心地の風情ある旅館・備前屋さんに泊めて頂いた。男性陣はこぞって「美人の女将さん」の印象が強いらしいが、ゴメンナサイ、私も美人だなとは思ったがそんなにも強い印象はもっていない、同性だからだろうか。 女将さんが親切だったことと、料理はおいしかったことが印象的だ。

ここで2名が合流して、今本先生にパワポによる講義をしていただいた。
少ししか時間がとれなくて、先生には申し訳なかった。
またまた長良川市民学習会にお呼びして、改めて長良川に即した治水論講義していただこうという話が盛り上がっている(つまりは先生をコキ使うということ?)。

今本博健先生「治水をめぐる問題」PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota3/101207imamoto.pdf

地元のある方は、「極論すれば、下流の洪水対策については『知らない』。希少になってしまった川の源流・内ヶ谷を壊したくない、その一念だ」とおっしゃっていした。
私は、その立場は重要だと思う。
徳山ダム事業審議委員会の第3回まで、徳山にはイヌワシはいないことになっていた(目撃情報はたくさんあったのに)。当会も「調査せよ」と要望書を出したその委員会で、「イヌワシ・クマタカを調査する」と事業者が言った。「専門家の指導・ご助言を得て調査を行う」と。野鳥関係の団体の役員数名が「指導・助言」を行うとされた。その中に「野鳥保護の立場からすれば、自然環境の大改変には反対だが、事業全体の可否については自分は判断できない。工事を止めるべきだは言えない」という言い方をする人がいた。おかしいと思った(言った)。「鳥類の専門家の立場」からの助言を問われているのだ。事業全体の可否判断を問われていのではない。「長年、野鳥の保護に携わってきた者の立場で、絶滅寸前のイヌワシ(生態系の頂点)の側からみれば、十分な調査がないうちに工事を進めることには反対だ」となぜ言えないのか?自分が絶対に守りたいものについては「どうしても守りたい、こんなに重要なのだ」と事業者にも一般市民に訴えるべきではないのか?「事業の果可否全体が分からないから言えない」として、「工事中のあれこれの影響の回避策」についてだけ助言をするのであれば、単なる工事の協力者にすぎないのではないだろうか?
「自然を守りたい」という、いわば虚仮の一念こそが、実は貫かれるべき価値観・思想だった、ということを、今思い知らされているのではないだろうか。
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川で成り立つ町、郡上八幡。



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弊ブログ
補追:「ご利益」も「要望」も後出しジャンケン ~ 内ヶ谷ダム ~
http://tokuyamad.exblog.jp/15126272/に記載の通り。
結局、これといった説明も情報もなかったが(※)、「丁寧・親切」に対応してくれた。
上の写真にある「郡上土木事務所管内図」と内ヶ谷治水ダムパンフレットを貰ってしまった。

事務所で見せて貰った艇体予定地写真。


※ 今本先生は「こんな基本的な質問にも答えられないで、ダム工事の事務所なのか?」と少々お腹立ちのご様子。が、私は思わず「先生、ここで聞いても無理ですよ」と言ってしまった。先生は-少なくとも現役のときは-、どこかの河川やダムを見に行かれるときは、常に一定以上の幹部職員が付き添って案内し、先生のご質問にはそれなりにお答えしていたことだろう。私は、ようやく「お上に楯突く不逞の輩」「どこの馬の骨」扱いでなく、普通に職員と話ができるようになったのは、ほんの3~4年前から。どうせ「幹部職員は雲の上」なので、現場の職員の問題意識や知識の水準に、あまり大きな期待・幻想を抱いていない。「現場のルーティンの仕事」「その仕事に必要な知識」は、我々「河川問題オタク(?)」が欲しがる情報とは、かなり乖離したものであるらしいことは想像できる。
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右は「サツキマスなどの遡上の障害になっている砂防ダム」。ご立派な魚道があるが「造るだけ造って何の手入れもしないから、結局無用の長物でしかない魚道」と、地元の方のご意見。

ここで本川74cmの水位低減効果・・・ふーむ。