徳山ダム湛水域のイヌワシは消された!! |
1月25日に「平成22年度(第2回)中部地方ダム等管理フォローアップ委員会」が開かれました。

資料は水資源機構中部支社のサイトにアップされています。
2011.01.25 平成22年度(第2回)中部地方ダム等管理フォローアップ委員会の開催内容について
http://www.water.go.jp/chubu/chubu/FU/2/h22damufollowup.htm
この委員会への報告をもって、徳山ダムモニタリング部会は終了となりました。
ここでの報告資料は以下。
【徳山ダムモニタリング部会からの報告】
http://www.water.go.jp/chubu/chubu/FU/2/5-1bukaihoukoku.pdf
昨年11月25日の第6回徳山ダムモニタリング部会の報告資料は以下にあります。
徳山ダムモニタリング部会
http://www.water.go.jp/chubu/tokuyama/siryo_kan/04_02monita.html
参照 弊ブログ
釣った魚に餌はやらない? 徳山ダムモニタリング部会 [2009-12-04 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/12433799/
幻のイヌワシは再び幻と消えるのか? [2008-12-29 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/10008498/
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試験湛水前までの10年間に、徳山ダム事業費から大型猛禽類調査に使ったお金は7億6000万円。 それに上乗せして「徳山ダムモニタリング部会」で調査をしたのでした。それというのも、徳山ダム集水域にイヌワシが棲息することを明らかにしたからでした。
(1996年3月まで、徳山ダム水没地にイヌワシが棲息していることを、建設省も水資源開発公団も認めていなかった)

そして・・・最終報告では上記の11ぺージのここに「イヌワシ」の文字があるだけ。
クマタカについては12ページに若干のコメントがありますが、イヌワシについては一言のコメントもありません。

もう少し細かく言うと、試験湛水開始後は、巣立ちまで至った例はないことが明らかです。
湛水前の徳山ダムモニタリング部会で、A委員は「このままでは絶滅を見守ることになってしまう」と発言していましたが、まさに!!
水資源機構側の言い訳は「湛水開始後3年の調査で、すべて繁殖行動が確認されたことから、調査を終えることが、第5回モニタリング部会で了承されました。クマタカの3つのつがいのみ追加調査を行うということだったので、その分の調査結果を報告しました」です。
「すべて繁殖行動が確認された」=繁殖を試みたが成功しなかった、それでオワリ。
これでは「絶滅を見守ることになってしまう」。
イヌワシが絶滅の危機に瀕していることそのものは、「一つのダムの所為」ではありません。複合的な(根元的な)原因がありそうです。
でもここまで個体数の減っているイヌワシが棲息している地域。その自然を人為的に改変することは、基本的にNGのはずです。
結局、徳山ダムでは、イヌワシの存在は、調査コンサル会社(=国土環境株式会社)に随意契約をする理由にされただけのようにも思えます。保全策は講じられませんでした(ダムを造り、水を貯めて、他の有効な「対策」があるとは考えられない)。
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「徳山ダムモニタリング部会最終報告」で、イヌワシについて何の言及もしないことで、徳山ダム湛水域にイヌワシが棲息していた(残念ながら過去形で語る。これが不適切で現在形で「棲息している」と言えることを祈っている)事実まで抹殺していこうという意図を感じます。
二重三重に「徳山ダム湛水域のイヌワシは消された」。
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「湛水前に、せめて徳山ダム事業費という公金をを使っての大型猛禽類調査の生データを環境省に渡しないさ」ということで、2006年、7ヶ月もドタバタしました(※)。
公金を使って希少種を調査する・・・その生データは環境省には渡らないというのが原則なのです!!!
「(環境省が他の行政機関に)データを要求する法的根拠がない」からですって!!!
生物多様性基本法ができ、COP10を経ても、条件は変わっていないらしい。なんと貧しい環境行政なのでしょう。
※ このドタバタで、1996年から2005年までの徳山ダム湛水域での調査データについては、「例外」として環境省に渡った。「例外」なのは2000年の質問主意書(故・石井こうき議員提出)の答弁書に「環境庁の助言」という一項があったから・・・裏を返せば、この質問主意書答弁書を示さなかったら渡らなかった、ということ。
モニタリング部会の分は渡っていない。
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