続・続・内ヶ谷にはイヌワシがいる?!?! |
知人から岐阜新聞(電子版)2011/2/4 の記事を知らされた。
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★ 岐阜新聞 2011年02月04日
県、希少種名を非公開 郡上市の内ケ谷ダム環境調査
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20110204/201102040915_12870.shtml
郡上市に県が建設を計画している内ケ谷ダムの予定地周辺の環境調査について、県が市民団体の情報公開請求に、環境省が絶滅危惧種に指定するクマタカをはじめ、貴重種の種名などの情報を非公開にしていたことが3日、分かった。
県は1993(平成5)年度から2004年度にかけて、内ケ谷ダム建設事業に伴う環境調査を実施。クマタカなどを確認したことを含む、調査内容の一部を06年度策定の長良川圏域河川整備計画に盛り込み、ホームページで公開している。しかし、市民団体が昨年12月、調査内容の情報公開を請求したのに対して、種名なども非公開とした。
古田肇知事は同日の定例会見で「条例の運用基準で希少野生動植物の生息場所などが特定できる情報で、公にすることで盗掘、乱獲の恐れがあり、保護に支障を及ぼす場合は非公開とするルールになっている。内ケ谷の調査内容というとかなり限定される」と説明した。一方で「どう具体的懸念があるかももう少し精査したい」と述べた。市民団体は「希少種に関する情報開示方針の整理がきちんとなされていないのでは」と指摘している。
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中日新聞岐阜県版にも古田知事の定例記者会見での発言が載っている。
★ 中日新聞(岐阜県版) 2011年02月04日

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1999年初夏の戸入付近でのクマタカ育雛失敗の情報とその衝撃が思い出される。このときの対応を巡って、1999年8月、水資源開発公団から委嘱された委員3名が抗議辞任をした。9月、水資源開発公団は、1996年以来の3年間の調査資料の解析をNACS-J(日本自然保護協会)に依頼した。
12月、NACS-Jは解析の報告を水資源開発公団に渡し、同時に「3年間は工事を止めて調査しなければ保全策は立てられない」という意見書を出したが、即日拒否された・・・「水資源開発公団は、ダム建設事業者であって学術調査機関ではない」・・・分かりやすい、分かりやすすぎる!
このときNACS-Jは、調査資料の公表について助言をした。この助言に従って、水資源開発公団は大部の資料を公開した。一部非公開とし、またマスキングなどを施したが、原則的には公開した。
この公開資料では、イヌワシ・クマタカのペア名とおよその行動圏とが公になっている。
その後の徳山ダムでの環境関係の調査とその報告、検討においても、基本的にはここで用いられたペア名を踏襲している(たとえば「イヌワシDつがい」。これでおよその行動圏は頭に浮かべられる。)
2000年の衆議院での質問主意書とその答弁書でも、この公表資料が前提のやりとりがある。政府としてもこの公開に異議は唱えていない。
種名はもちろん、およその行動圏を公表しても、「当該生物の保護に支障を及ぼすおそれ」があるとはみなされていないのだ ・・・ 大型猛禽類の世界ではこのこと(1999年の一件と公表資料)は常識である。岐阜県内のことなのだから、「岐阜県」としてもこのことは知っていていいはずだ。
種名まで黒塗りするなど、岐阜県 河川課としては、希少種保護についての識見のかけらも持っていないのだ、と呆れ、かつ嘆息するしかない。
今回は「当該生物の保護に支障を及ぼすおそれ」を口実に過度に黒塗りをしたことを問題にしているが、事業者として、希少種に関する識見が何もない、ということは調査するべきことを調査せず、希少種を絶滅させてしまうこともありうる、ということでもある。相当にコワイ。
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もちろん「過度の黒塗り」は情報公開制度の趣旨に悖る、と強く非難しないわけにはいかない。
岐阜県情報公開条例 第一条(目的)
県民の知る権利を尊重し、県の諸活動を県民に説明する責務を全うすることが重要であることにかんがみ、公文書の公開を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより、県民の県政への参加を促進し、県政に対する理解と信頼を深め、もって開かれた県政を実現することを目的とする。