4/7 内ヶ谷ダム「説明会」 に行ってきました |
内ヶ谷ダム「説明会」 [2011-04-05 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15763314/
で記したように、4/7夕方に関市で「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見募集に伴う説明会」が開催される、とのことで、長良川市民学習会の武藤仁事務局長の車に乗せて貰って行ってきました。
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今川の左岸を通っていくことになります。
全く涸れていた今川(2010年11月記事参照)に水が戻った!!!
保戸島用水の取水口も十分な水位が確保されています。

この写真は今川に分派するために導流堤の直上流の長良川左岸から撮ったもの。
真ん中が導流堤。左方向が今川。右岸方向にも河床を高める工事をやって、今川に水が入るようになったようです。
写真を撮る位置が悪い、カメラが悪い、日暮れどきで明るさが足りないなどなど、全く分かりにくい写真になってしまいました。武藤さんが、3月に見に来たときはまだ水が戻っていなかったとか。近々良い写真を撮りにいって下さるようです。
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会場を探してしまって、ギリギリに到着。すでに座席はいっぱい(120名?150名?)。・・・そしたら県職員が空いている席に案内してくれました。それが最前列。武藤さんと私が座ったら、埋まってしまいました。
この辺りで結構動揺してしまって、会場の写真を撮る、ということをすっかり忘れてしまいました。

「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見募集に伴う説明会」なので、HPにアップされている資料は全部紙媒体で受け取れると期待していましたが外れ。

「分かりやすくコンパクトにした」ということなのだろうけど、この上のページなどは腹だたしい。この「○○地点で○cmの水位低減効果」というのは、二重三重におかしな数値であり(※)、この計算に固執するなら「ダムは要らない」ことになります、この計算結果ではダムなしで全地点がHWLをクリア出来るというのだから。
参照 内ヶ谷ダムに対する意見(近藤)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota4/uchigatani101223iken.pdf
※ 「平成15年度 内ヶ谷治水ダム建設事業 河川整備計画作成業務 報告書 (平成16年3月)」(岐阜県長良川上流河川開発工事事務所 株式会社アイ・エヌ・エー)にある数字。
① これは国との管理区間境で「効果ゼロ」として計算をしている。これを採用するなら、ダムがあってもなくても国の直轄区間への影響は皆無ということになる。
② 降雨は1/100で河道は1/85(この説明もイマイチ分からない)。1/10や1/20の「河川整備計画レベル」を問題にしているときに出してくるべき数字ではない。
③ 他方、「洪水対策案/ダムなし」では、国の河川整備計画では内ヶ谷ダムの流量低減効果を200m/s見込んでいる、として、ダムなしだと「国施工遊水地 約206億円」が余分にかかるという。
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さて、上述のように開始3分前に滑り込んだときには会場いっぱい。「説明」のはじめのほうで「水防団の皆さんならおわかりでしょうが」などという言葉が出てきたので、よほど”動員”をかけているのかな、「水害をなくすために、早くダムを作れ」という意見ばかり出るのかな、と思ったら・・・。
休憩後の質疑応答。
質問・疑問・意見は、ダムには批判的なもの、しかも冷静で論理的、説得的なものばかり。
関係地方公共団体の市長さんたちの「後出しジャンケン/早期完成の要望書」とは、ずいぶん趣が違いました。
弊ブログ 「ご利益」も「要望」も後出しジャンケン ~ 内ヶ谷ダム ~ [2010-12-06 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15114269/
「集水面積の小さいダムで洪水防御といってもあまり役立たないだろう。どういう『効果』なのか、説得性のある説明を」
「自慢できる長良川だったのに河口堰ができてしまって残念。これ以上長良川の(用水路ではない)川としての魅力を減じてはならない。子ども達に残せる良い川にしてほしい」
「将来にわたって宅地や工場用地の需要は増える、みたいな考え方は時代錯誤。土地利用の考え方を変えていくべき」
「山のことをもっと考えてほしい(森林の保水力)。山の現状は放置できない、費用を山の手入れに振り向けたらどうか」
「水田貯留の費用の計算はおかしい、実際には全部の畦を嵩上げする必要などない(何枚もの水田をまとめて囲むことが可能)」
などなど。
岐阜県河川課の側の回答や説明が下手だったこともあって、「結局のところ、『ダムありき』の説明ではないか?」というツッコミもかなり多くでました。
結局「水害があるから是非ダムを早く作れ」という意見や質問は一つも出ませんでした。
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武藤さんが事業費の件で質問しました。
「ダムのコスト(残事業費)で、洪水対策分が約92億円、正常流量分が約74億円というのは、どうも納得できない。容量からすると洪水調節分は850万m3、正常流量分(不特定容量)は60万m3。容量からしても、意味からしても付随的なものにすぎない正常流量確保の費用が多すぎる、洪水対策分が少なすぎるのでは? 洪水対策でダムのほうが安い、とするためではないか、と疑ってしまう」
回答は「ホームページや閲覧資料に載せてます。分離費用身替り妥当支出法・・・。容量の差が堤高の差にそのままなるわけではないので・・・」。
こちらもHP資料を印字してもってきていなかったので、そこで終わってしまった
でもヘン。
○内ヶ谷ダム事業の検証に関する検討 参考資料(950kb)
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/anshin/dam-jigyo/uchigatani-ikenbosyu/uchigatani-bosyusiryou2.data/100_kentou-sankou.pdf
のp2。

(1)の表を見ると、「治水」と「不特定」の堆砂容量を同じにしています。
こうなると「不特定」のほうは堆砂容量が有効貯水量の4倍!!!!
堆砂容量が有効貯水量の4倍などという「不特定身替りダム」を計算の土台にすることが「国の基準通り」なのでしょうかしら(だとしたら「国の基準」とは滅茶苦茶なものだ、ということ)。あまりにも非現実的。いくらバーチャルなもの(計算のための想定仮置きのダム)でもひどすぎる。
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この「説明会」資料は、現時点ではまだ岐阜県のHPにアップされていません。
またこの「説明会」で出た意見や質問はすべてインターネットで公開するのだそうです。楽しみです。
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それにしても・・・・。地元を中心にこんなに多くの人がわざわざ集まりました。
H18年9月大臣認可の「長良川圏域河川整備計画」策定過程では-情報公開されたものによれば-こうしたオープンで多人数な説明会や意見交換会などが行われた形跡がありません。河川法16条の2第4項は、行政がピックアップした十数人から意見を聴く場にすり替えられています(そこでも「内ヶ谷ダムを早く作れ」という意見は皆無)。
もっともっとオープンな「説明の場」「意見を聴く場」「意見交換の場」「議論の庭」を設定していけば、川はきっともっと良いものになっていくでしょう。
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