内ヶ谷ダム「説明会」第2回~平成39年完成!?!~ |
長良川市民学習会のメンバーが車に乗り合わせて、岐阜県による「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係るご意見募集に伴う説明会」に行ってきました。
日本まん真ん中センター多目的ホール(郡上市美並町白山430-4)
今本博健先生もわざわざ京都からみえました。
そこで2つ寄り道。
(1) 岐阜市役所前の長良川・長良橋水位の表示板。


このときの表示では、長良橋水位は14.20m。岐阜市役所の地盤高14.28m。
こういう表示が市役所の正面、バス停のある見やすい場所にある、ということ自体がとても大切なことだと思います。巨大な陸閘で仕切られる堤外地に(そのことを承知で)人が住み続け、そこが新たな町づくりの拠点になっている岐阜市ならでは。「長良川と共にある岐阜」の象徴。
(「国交省から出向してきた」ことをわざわざ自慢げにおっしゃる岐阜市副市長は分かっておいでかな? 昨年11月の「内ヶ谷ダム 第1回 検討の場」では、この表示板の意味を理解していないとしか思えない発言をされていましたが?)
長良橋水位のインターネット表示
http://www.kasen.pref.gifu.jp/water/w_gifu/w113_6.htm
(2)今川と導流堤

水が戻りました。 (今川橋を見る)

保土島用水取水堰。
本川の導流堤の下流部にあたるところにブロック乱積み。それで堰上げの状態を作って今川に水を流しています。この状態が「復旧」なのだそうです。
さて、どれだけの大きさの出水に耐えられるか?
導流堤の下流部の河原に下りました。
この写真は単なる記念撮影で、背景が全く分からない・・トホホ。

◇ ◇

会場の日本まん真ん中センター。
結構多くの人が来ていました、明らかに「動員」と思われる人々も多々。
「ダム建設促進を」という発言が一つありましたが、「ダム建設促進」というより「治水対策要望」の比重が高いように聞こえました。

長良川河川整備計画策定のときは、「関係住民からの意見聴取」は、(河川管理者からの)指名による一カ所十数名程度の会合が3カ所くらいで開かれただけ。住民からの意見は記録にはほとんど残っていません。若干残っているのは「環境への配慮を」というような内容で「内ヶ谷ダム建設建設の要望」のような意見は一つもありませんでした。

また「直轄区間の河川整備計画(木曽川水系河川整備計画/2007年策定)に影響させないために、内ヶ谷ダムの直轄への効果見合い200m3/Sのため、”代替案”には約206億円を加える」という話になってしまっています。木曽川水系河川整備計画策定の際の意見聴取云々には行っていますが、「内ヶ谷ダム」なんて聞いていない(県管理区間だから関係ない、というのでしょう。でも県管理区間の内ヶ谷ダムをどうするか、という議論で「直轄区間の河川整備計画」云々と出てくるなら、直轄区間の河川整備計画のときにその説明をするべきでしょうに!! 「(下の文の)遊水地以外の分=約200m3/s は内ヶ谷ダム見合いだ」なんて、つい最近(岐阜県の第2回の意見募集開始以後)聞いたばっかり。「情報は常に後出し」の河川管理者? 「東電じゃあるまいし」
木曽川水系河川整備計画
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/kisosansen-plan/genan/seibikeikaku_honbun_4.pdf
3-7
② 遊水地等の整備
長良川において、戦後最大規模の洪水〔平成16年(2004)10月洪水〕を安全に流下させるため、板取川合流点から下流の区間において遊水機能を活かした洪水調節として基準地点忠節において戦後最大規模の洪水に対して約200m3/s の流量低減を見込む遊水地等を整備する。
なお、整備にあたっては、当該地域の開発状況と遊水地計画を総合的に検討し、地域の振興に資するよう開発プロジェクトと協調を図るなど岐阜県をはじめとする関係機関と十分な調整.連携を図るとともに、既往の洪水に対する当該地域の浸水対策を併せて検討する。
遊水地等の位置.諸元等の詳細については今後検討し決定していく。
※ 「意見」を出す気のない人が、わざわざ聞きに行く必要があるのかどうか疑問。「資料の見方」のような説明が長かった。
◇ ◇
説明会開会前に、長良川市民学習会として、公開討論会を求める要請書を提出しました。
内ヶ谷ダム事業の検証にかかる公開討論会の開催を求める要請書(PDFファイル)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota4/uchigtanikoukaiouron.pdf

粕谷志郎代表は、「説明会」開会時間がギリギリになったので、渡しているのは、富樫幸一副代表。
河川管理者に、内ヶ谷ダム建設推進の助言をし続けているが「専門家/有識者」は、今本先生や富樫先生の議論を、公開の場で受けて立って自説の正しさを論じるだけの自信も気迫も持ち合わせていない、と感じていますが、どうなんでしょう?
◇ ◇
「呆れてモノが言えない」状態で、この記事全体の筆が進みません。
「現計画案 内ヶ谷ダム完成時点(平成39年予定)・・・」

この内ヶ谷ダム、「平成39年完成予定」なんですって!!!
・・・この「完成」時点では、上の「説明会」壇上にいた人のは一人も岐阜県河川課にはいない、ということか???
(どう考えてもオバカ・オマヌケな)
「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目(PDF 406 KB)
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_kentou/pdf/dam_kentou_saimoku.pdf
に則った資料だ、ということですが
『段階的にどのような安全度が確保されていくのか (例えば、5、10年後)』に対して【現計画案 内ヶ谷ダム完成時点(平成39年予定)で、ダム下流域の安全度は、一様に向上する】というのは答案として成立していません。他の「代替案」はすべて未定・不確定なのだけど、「現計画(ダム)案」だけは否定的に明確。
【現計画案 内ヶ谷ダム完成時点(平成39年予定)までは効果発現はなく、5、10年後には、安全度は確保されない】とするべきでしょう。
「内ヶ谷ダムは工事用道路は完成してあとは本体(堤体)を残すだけだ。だから検証の最優先なのだ」と言っていました。
「あと16年か17年かは効果が期待できない案/次のステップ開始まで10年は何もせずに放っておくという案」 なんて論ずるに値するのでしょうか?
「5年ごとに見直す」という話からすれば、内ヶ谷ダムの見直しは、今回、2016年、2021年、2026年と4回もあることになります。
B/Cは見直すごとに低下し、1.0を切ることになるでしょう。
自然環境についてまともな議論があれば、「喪うものが大きすぎるのに得るものは少ない」ことが明らかになるでしょう。
完成以前、多分、本体(堤体)着工前に、いずれは「出来ない、作ってはいけない」ものになるに蓋然性の高いこの内ヶ谷ダムを、「最優先で検証する」ことにどんな意味があるのでしょう?
「国が(検証を)やれというからやらされている」ということか・・・。
岐阜県の財政逼迫状態からすれば、そんなヒマとお金(人員もいないからコンサルに頼らざるをえない、出費は誰がもつの?。結局は納税者にツケが回る)はないのですけど?
この説明会の冒頭挨拶でで、金森・県土整備部長は「長良川中流域の治水は待ったなしだ」と言っていました。「待ったなし」の認識の下で、「16年か17年は効果発現はない」ダム案が最善だ、としてきたこれまでの計画・・・どうかしている。
「当面は実施しない」として(予算もゼロにして)、”出来ること”からやっていこうよ・・・。
まず、「国の(オバカな)要領細目」などに縛られず、「長良川をどうしていきたいか」の議論を、予断無く行っていける、流域住民と専門家と行政の「検討の場」を作って欲しいものです。
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