「美しき誤解」をもって「要領細目」を読んだら? |
4月25日に下の記事をアップした。
「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」がオマヌケだから・・・
http://tokuyamad.exblog.jp/15871472/
「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_kentou/pdf/dam_kentou_saimoku.pdf
(以下「要領細目」という)
は、元は
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html
の「中間とりまとめ」である。
「コンクリートから人へ」を標語に2009年の総選挙に大勝した民主党政権で、脱ダム方針を掲げてで就任した当時の前原誠司・国交大臣(「八ッ場ダムは中止する!」と大見栄を切っていた)が、「できるだけダムに頼らない治水」を標語に「有識者会議」なるものを設置した。人選(従来の「御用達学者(御用学者とは言わない)」から選んだ)も運営(非公開密室会議)に至るまで、「一体何をやりたいの?バッカじゃなかろか」のオンパレード。あげくの果てに出てきた「中間とりまとめ(案)」。
2010年7月からの「今後の治水対策のあり方について 中間とりまとめ(案)に関する意見募集」に応じて多くの市民がだいぶ文句を垂れた。このパブリックコメントを経て、何がどう改善されたのか一向に理解できないが、9月27日の「有識者会議」で「案」がとれて、「要領細目」になった。
一体何を目的に「再検証」なるものをするのか、目的も方向も不明。「政策転換」とかいう言葉がチラホラ見えるが、検証主体=事業主体としたことと、「予断なく」と「コスト(残事業費と比較。環境コストは無視)」を強調することで、結局は「現行(従来)計画が最良」という結論に誘導してしまうシロモノである、
オマヌケな官僚的駄文である、という意見(感想)を変える気はないが、【あえて文章の端々をとらえて、「美しき誤解」をもって読めば、「従来の手法を変えろ」と読めないこともない】と指摘しておく(・・・やっぱり玉虫色の官僚文章だわぁ)。
「要領細目」
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従来のダムの代替案検討においては、河道掘削、引堤、遊水地が代替案としてよく用いられてきている。今回の個別ダムの検証に当たっては、こうした河川を中心とした対策に加えて流域を中心とした対策を含めて幅広い治水対策案を検討することとする。そこで、治水対策案は、以下のを参考にして、幅広い方策を組み合わせて検討する。なお、以下では、考えられる様々な治水対策の方策を記載しており、ダムの機能を代替しない方策や効果を定量的に見込むことが困難な方策が含まれている。
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これらの各方策の効果を定量的に見込むことが可能か、各方策が従来の代替案検討に使われてきたかについて示す。なお、従来は、定量的に効果を確実に見込むことができると考えられる方策が代替案検討で使われることが多かった。
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→ ★「従来のダムの代替案検討」の方策にとらわれることなく検討せよ
★ 定量的に効果を確実に見込むことができない方策を採ることも真剣に考えよ
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各方策の効果は河川や流域によって異なり、河川や流域の特性に応じた治水対策案を立案することとする。
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→ ★ 全国均一・中央集権的な考え方でなく、河川や流域の特性に応じた治水対策案を立案せよ
★印ができれば、まさに発想の転換、政策転換ができるわけだけど・・・各検討主体の実情を考えれば、夢想するだにムダか????
1)~26)の案のうち「効果を定量的に見込むことが困難な方策」は、「複数案抽出」の段階で、まさに「「効果を定量的に見込むことが困難」であることを理由に多くは切り捨てられている
。流域の自然環境の特性、歴史や文化の特性は、十分に顧慮されていない。
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