往時のダム審よりダメな今般の「一斉再検証」 |
5月19日、国交省は以下を正式に発表した。
七滝ダム等4ダムの検証に関する国土交通省の対応方針の決定について
http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000332.html
七滝ダム等4ダムに関する国土交通省の対応方針
http://www.mlit.go.jp/common/000144778.pdf
要するに検討主体の報告通りに対応方針を決めた、ということだ。
● 七滝ダム(九州地整) → 中止
● 大和沢ダム(青森県) → 中止
この2つのダムは、実質的にすでに「中止」と決まっていたものを改めて確認しただけ。ニュース価値はない。
● 五ヶ山ダム(福岡県) → 継続(補助金交付を継続)
● 伊良原ダム(福岡県) → 継続(補助金交付を継続)
財政の極めて厳しい今、来年度予算に優先的にダム建設補助金を盛り込む、ということだろうか。
曰く<コスト、実現性等から現計画が優位であるため>
有識者会議の意見は<有識者会議が示した考え方に沿った検証がなされている>
対応方針理由は< 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議のご意見を踏まえ、検討内容は、基本的に、「中間とりまとめ」(※1)の共通的な考え方に沿って検討されていると認められる。目的別の総合評価の結果が、全ての目的で現計画案が優位であり、総合的な評価として、現計画案が優位としている検討主体の対応方針「継続」は妥当であると考えられる。 >
「できるだけダムに頼らない治水」という看板をかかげて始まったはずのこの「一斉検証」。そもそもを辿れば「ダム中止」という「対応方針」がたくさん出ても良いはずだが、今のスキームではそうならない。
「有識者会議」で意味不明となり、「要領細目」で完全に骨抜きになり、ついに「やっぱりダム」になだれ込んでしまう。
<参照>
「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見」(第2回) 近藤ゆり子
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota4/uchigataniiken2kaime.pdf Ⅱ 「要領細目」との関係-1
1.「要領細目」の法的位置づけ
2.「要領細目」に至る過程と記述の遊離
Ⅲ 「要領細目」との関係-2
今般の「一斉検証」は 「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づくものだそうだ。つまり各「検討主体」は、5年に一度は「事業評価」をしている。同じ主体に、同じ手法で「再評価しろ」といっても同じ結論(現計画が妥当)になるのは当たり前だ。さらに「コスト重視/ダムの残事業費と他案を比較する」のであれば、すでに中止に向けて腹をくくっている事業以外は「GOサイン」になってしまうのは目に見えている。
2009年秋以来の「大騒ぎ」は一体何なのだ?
◇ ◇

(続く)