藤沼ダム決壊その後 (報道など) |
3月12日の弊ブログ記事
茫然としつつ呟き
http://tokuyamad.exblog.jp/15652054/
の中でも引用した地震によるダム決壊-福島県須賀川市・藤沼ダム(藤沼貯水池)-。
国土交通省はヘリから調査しているが施設被害のリストから外してしまっている。、「この貯水池は国土交通省の管轄ではない(農業用だ)」ということらしい。
国交省による「東北地方太平洋沖地震 ヘリ調査報告」(3月14日発表)
http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/saigai/h23tohoku/110314sabo.pdf
(p.8とp.9)


5月21日、中日新聞は<「海ない」岐阜でも油断禁物>という見出しで報じた。
(岐阜県配布版だけか?)

5月30日には読売新聞が大きな記事を出した。
★ 読売新聞 2011年5月30日
3・11にダム決壊、濁流で7人死亡していた
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110530-OYT1T00139.htm?from=top


(写真)ダム(手前)が決壊し、水が抜けた藤沼湖(18日、植村直人撮影)
(地図)
東日本大震災の大きな揺れが襲った3月11日、内陸部の福島県須賀川市長沼地区では、農業用ダム「藤沼湖」(貯水量150万トン)が決壊し、濁流が集落をのみ込んだ。
7人が死亡し、1歳の男児が行方不明。15世帯56人が今も避難生活を送る。近くに「土砂災害警戒区域」もある。梅雨を迎えると地滑りなどの危険がさらに高まり、住民は不安を募らせている。
地震直後、ダム(高さ18メートル、幅133メートル)の堤が崩れるのを目撃した宍戸勝利さん(72)は「ごう音で、何が起きているのか分からなかった」と振り返る。ダムの水は濁流となり、約1キロ下流の滝集落を襲った。自宅1階にいた中村光子さん(65)が窓から見た濁流は、高さ5~10メートル。4歳と2歳の孫2人を抱いて2階に駆け上がった。寒さに震えながら水が引くのを待った。「ダムの水で家が壊れるとは……」と驚きを隠さない。
ダムの決壊で、14~89歳の男女計7人が死亡し、男児は今も行方が分からない。同市立長沼中2年林萌子さん(14)は、ダム決壊から44日後の4月24日、集落から約40キロ離れた二本松市内の阿武隈川で、遺体で見つかった。母親と祖父の家にいた萌子さんは流された時、母親と手をつないでいた。川岸に流れ着いた母親は救助されたが、濁流の勢いは、2人の手をほどいてしまった。
祖父の斎藤喜八さん(69)は「今でも夕方になると家に帰ってくるのではと思う時がある。局地的な雨での川の増水が心配で、再び災害が起きないか不安はある」と話す。
ダムの水は下流域86・7ヘクタールにあふれ、内陸部に大きな“水害”をもたらした。流されたり、全壊したりした家屋は19棟、床上・床下浸水した家屋は55棟にのぼる。15世帯56人は近くの雇用促進住宅などで避難生活を余儀なくされている。
★ 日本経済新聞 2011/5/27 12:22
地震で決壊のダム、作付け阻む 福島・須賀川
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E0E4E2E6E28DE0E5E2E7E0E2E3E39191E2E2E2E2
東日本大震災で農業用のダムが決壊し、鉄砲水で7人が死亡するなどした福島県須賀川市で、多くの水田が使用不能に陥っている。ダム修復のメドは立たず、今年の作付けを断念した農家も少なくない。集落に豊かな実りを与えてきたダムが地域に被害をもたらした悲劇。被災農家は「いつコメ作りを再開できるか分からず、先が見えない」と苦悩する。
「田畑を潤すはずの農業用水でこんな目に遭うとは」。同市長沼地区にある「藤沼ダム」の下流約500メートルに住む兼業農家の石田久さん(66)はため息をつく。約90アールの水田はがれきで埋まり、トラクターも入れず作付けはあきらめざるを得なかった。
震災前に購入した肥料や苗の代金は秋に支払う必要があるという。「田んぼは石ころだらけ。どこから手を着けたらいいのか」と恨めしげだ。
約150万トンの貯水量を誇る同ダムは1949年の完成以来、下流の水田約830ヘクタールに水を供給してきた。だが3月11日の地震で震度6強の揺れに見舞われ、高さ18メートル、長さ133メートルの堤防は決壊。ほぼ満杯だった水が鉄砲水となり、集落を襲った。
7人が死亡し、1歳の男児が行方不明に。家屋21戸が倒壊したほか水田や畑約90ヘクタールに土砂やがれきが流れ込んだ。自宅1階が泥水につかった主婦、鈴木君代さん(76)は「まさかダムが決壊するなんて」と絶句する。
鉄砲水の直撃は免れても、ダムから水を引けなくなり米作りをあきらめる農家も。水田約30アールを所有する男性(60)は今年は土に養分を与える肥料として麦を育てる。「放置すれば田は荒れる。先は見えないけれど、米を作れる日に向けて準備だけはしておかないと」と草刈りに励む。
兼業農家の井上幸子さん(62)も水がなく米を作れなくなった40アールの水田をトラクターで耕し、黒豆の種をまいた。「うまく育つかどうかも分からないけど、何もしないよりはましだと思って……」と沈んだ表情で話した。