内ヶ谷ダム 2つの後出しジャンケン |
6月15日、長良川市民学習会として再度の内ヶ谷ダムに関する公開討論会開催の要請書を提出した。
以下抜粋。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
6月10日、「第3回内ヶ谷ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」が開催され、「現計画(=内ヶ谷ダム)案優位」という方向に議論が集約されつつあるようです。この間、内ヶ谷ダム問題に関わり、「検討の場」を傍聴してきた私たちとしては全く納得できません。まるで水戸黄門の印籠のように使われているかの「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」でも、「科学的合理性、地域間の利害の衡平性、透明性の確保を図り、地域の意向を十分に反映するための措置を講じる」と謳い、「事業の必要性等に関する視点/事業を巡る社会経済情勢等の変化、事業の進捗状況(検証対象ダム事業等の点検)」「事業の投資効果/費用対効果分析」を強調しています。しかし、今般の一連の「内ヶ谷ダムの再検証」作業では、内ヶ谷ダムの必要性に関する科学的合理性、及び事業の投資効果・費用対効果分析は行われていません。バックデータもほとんど示されず、私たちの、質問にも十分に回答がないまま、ただ結論だけが導かれようとしています。
長良川河口堰開門調査をめぐっては、愛知県が専門家によるPTを公開で行っています。仮にも科学的な再検証と称するなら、事業の必要性に関する科学的根拠の議論があってしかるべきです。今のままでは最低限の説明責任も果たしているとはいえません。改めて岐阜県の姿勢をただし、再度、以下のような公開討論会を設けることを申し入れます。
岐阜県(担当部署)とダム案に異論をもつ専門家・市民との討論会
又は
現在岐阜県に委嘱されている専門家(学識者)とダム案に異論をもつ専門家との討論会
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
この要請書自体、二重三重に「後出し」であることは承知している。とはいえ、この日の(時間的に先立つ)知事定例記者会見で予め拒否されていることまでは知らなかった(報道関係に「予告」したので、記者から質問が出たらしい)。
真面目な顔をして「知事に伝えます」と言っている堂薗課長はどういう感想を持ちながら要請書を受け取ったのだろう?
★ 中日新聞岐阜県版 2011.6.16
★ 毎日新聞 2011.6.16(岐阜)
内ケ谷ダム:建設反対の市民団体、知事に公開討論会を要望/岐阜
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20110616ddlk21010128000c.html
◇ ◇
第3回内ヶ谷ダム検討の場の資料
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/anshin/dam-jigyo/uchigatani-kento3.html
○【参考資料】内ヶ谷ダム事業の検証に関する検討報告書(原案)(1/3)(7196kb)
○【参考資料】内ヶ谷ダム事業の検証に関する検討報告書(原案)(2/3)(13324kb)
○【参考資料】内ヶ谷ダム事業の検証に関する検討報告書(原案)(3/3)(927kb)
この「報告書(原案)」を見ると、あたかも最初から「原案」に載っている程度の資料を提示して、検討の場があり、パブコメがあったかのように見える。
もちろん、事実は違う。何のデータもないままに第1回検討の場が開かれ、1回目のパブコメ募集が行われた。情報公開請求を並行させながら、まさに闇の中を手探りするような状態で、私たちはパブコメを出し続けた。パブコメで情報をこじ開けたとも言える。後先が逆という意味で、まさに後出しジャンケン。
ちなみに、私は内ヶ谷ダム周辺地域の環境調査に関する情報公開(真っ黒開示)に不服審査請求をしているが、これへの対応は未だない(6月15日現在)・・・つまり環境調査に関する情報は開示されないままである。
この「報告書(原案)」資料の数値にはいろいろ問題があり、まして結論に至る議論は相当に酷いものの、これだけみていると「丁寧な資料を出して、パブコメも2回もとってきめ細かく意見を聴取した」ということになってしまう。
「現行案(ダム案)で行く」 という報告書を目にする「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(霞が関内密室会議)は、まずは報告書の部厚さに目くらましをくらい、事細かいパブコメへの対応の報告を見て「ちゃんと検討した」とお墨付きを与える事だろう。実は後出しジャンケンで格好だけ整えたことは見抜こうとはしない(見抜けない、というのと見抜く意思をもたないというのとがないまぜになって)。
資料が最後まで揃わなかったのは、確信犯的に隠していた、というより、古い資料をゴソゴソ探し出したりバタバタ状態でコンサルに発注したり・・・で、要は「間に合わなかった」(※1)類であることは知っている。資料も揃えられないで、「検討の場」だとか「パブリックコメント」だとかいうのが烏滸がましい。
肝心な議論・検討はスルーする、というのが、どうやら例の「要領細目」という出来の悪いマニュアルの要諦のようだ。(※2)
ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_kentou/pdf/dam_kentou_saimoku.pdf
※1.時間的に、だけでなく内容的に組織ぐるみ「間に合わない」状態だったと言わざるを得ない。これでは、いつまで経っても国交省の植民地から独立できない。かなり情けない。
※2.国交省河川局河川計画課河川計画調整室の面々は、何がかなしくて手間暇かけて「現行案(ダム案)で行きたい」という報告を出させるように導くか?それにしても、素直にくだんの「要領細目」の日本語を読んだらこうなるはず、というのを超えて、『全国どこでも』運用が酷い。再検証すべきは再検証を飛ばし、笑止千万な『代替案』をこねくり回す。およそ日本語をこれ以上酷く読む事は出来ない(高校の「現代国語」の単位がとれないレベル)・・・河川局発の「運用解釈裏マニュアル」が存在するとしか思えない。
◇ ◇
2回のパブコメの両方に長い長い「論文」を出した私は良い面の皮。
ここだけ取り出すと「ろくな資料も出さないアホなパブコメ募集は無視すべし」となりそうだが、無視しれば無視するで民意の所在がねじ曲げられる。
ただ今現在、木曽川水系連絡導水路に関してパブコメ募集中。気が重い。
これも「何の情報も提示しないで『検討の場』を開催し、パブコメをとる」類である。
何が問題なのかについの意見は、2007年秋に木曽川水系流域委員会に対して意見書を出して以来、検討主体(中部地整)に十分すぎるくらい入れている(※3)。
それらを全部スルーし、いきなり「複数案」のパブコメときた。
「間に合わない」岐阜県河川課とは違い、こちら(中部地整)は確信犯。
☆ 第7回木曽川水系流域委員会(2007.10.9)に対して頂いた意見
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/kisosansen-plan/iken/iken_ryuiki01.pdf
1.木曽川水系連絡導水路計画の問題点
伊藤達也(金城学院大学現代文化学部)
2.人口減少時代の水道事業と水資源政策<水資源環境学会に投稿中>
低成長・人口減少時代の水資源政策< 070622 名古屋都市センターのシンポにて発表>
富樫幸一(岐阜大学地域科学部)
3.木曾川水系連絡導水路計画の見直しを要望いたします
田中万寿
4.一揖斐川流域住民より辻本哲郎委員長へ(手紙)
近藤ゆり子
<添付資料>
(1)2004.5.11 国土審議会水資源開発分科会木曽川部会への意見書からの抜粋
(2)淀川水系流域委員会への意見書(738) 「治水と住民参加」
☆ 第8回木曽川水系流域委員会(2007.11.6)に対して頂いた意見
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/kisosansen-plan/iken/iken_ryuiki02.pdf
1.木曽川水系連絡導水路計画の問題点(Ⅴ正常流量の確保問題)
伊藤達也(金城学院大学現代文化学部)
2.河川法16条の2 第3項・第4項の木曽川水系での運用への疑問
近藤ゆり子
☆ 第9回木曽川水系流域委員会(2007.11.22)に対して頂いた意見
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/kisosansen-plan/iken/iken_ryuiki03.pdf
河川法16条の2の木曽川水系での運用と徳山ダムに係る木曽川水系連絡導水路事業
~ 無駄な新規事業は「治水」事業を蝕む~
近藤ゆり子
※3 長良川市民学習会での学習内容も含めて、市民側の意見・主張ですでに発表されたもの(=中部地整には何らかの意味で送付済み)を全部を紙に印字したら軽く何十センチかの紙が積み上がる。「段ボールに入れて送りつけるか」と半分冗談のような真面目なような・・・。
◇ ◇