長良川河口堰 アンダーフローフラッシュ操作は効果があるのか? |
随分時間をかけ、かつ鳴り物入りで始まった「長良川河口堰の更なる弾力的な運用」。
伊勢大橋地点の底層のDO(溶存酸素量)が7.5mg/l未満となったとき、アンダーフローフラッシュ操作を行うことにより、底層のDOの低下頻度の減少をめざす、という。
何度資料をみても理解しがたい。
2011.1.23平成22年度(第2回)中部地方ダム等管理フォローアップ委員会
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/index.htm ↓
長良川河口堰の更なる弾力的な運用について(案)(PDF 4.21 MB)
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/h2202_nagara-kakou.pdf
p6
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目的
○ 河川環境の保全とさらなる改善に向け、夏期(4月~9月)の底層の溶存酸素量(DO)の低下頻度の現象を目指す
実施内容
○ アンダーフローによるフラッシュ操作の開始基準を底層6mg/lから7.5mg/lに変更。
○ これにより、アンダーフローによるフラッシュ操作の回数が約2.3倍に増加。(平成12年~22年の実施平均約41回/年→約94回/年に増加)
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この審議での発言にもあったが「DOを改善することで、例えば生物相にどういう効果があるのかが分からない。DOの数値改善を自己目的にしても仕方がない」。
もっといえば、伊勢大橋付近の底層のDOが低下するとどういう問題があるのか、が明らかにされていないから、DO数値改善が自己目的化されている(ようにしか見えない)。
ここが明らかでないから、アンダーフローフラッシュ操作がDO数値改善になる(DO低下頻度を減少させる)という仮説も説得力がない。
中部地方ダム等管理フォローアップ委員会の下に
長良川河口堰の更なる弾力的な運用に関するモニタリング部会
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/nagara_ikenkoukan01.htm
が設置された。
ここの
資料-1(フラッシュ操作に関するこれまでの調査結果)
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/nagara_ikenkoukan01_shiryou01.pdf
P3より
を見ると、「DOが低いときには流出量の増大がDOの改善に結びつくが、DOが比較的高いときには総流出量・最大流出量の増大はDO改善効果と結びつかない」となるように思える。(フラッシュ操作と総流出量・最大流出量の関係は「よく分からない」。)
P4より (フラッシュ操作前底層DOと改善率の関係/伊勢大橋)
■ 「フラッシュ操作前の底層DOが低い程、底層DOの改善率が高くなる傾向が見られる。
■ アンダーフラッシュ操作の開始判断基準となる伊勢大橋地点において、概ねフラッシュ運用前の底層DOが6mg/l~7mg/l程度から効果が見られる。
p5より
「底層DOの値がフラッシュ後に増加したが、フラッシュ前の低層DOの値は越えなかったケース」がほとんどということは「あまり大きな改善効果はない」ということなのではないだろうか?
資料-3(モニタリング調査計画(案)について)
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/nagara_ikenkoukan01_shiryou03.pdf
p5の一部(上段が「DO低下 要因」、下段が「DO回復 要因」)
のシナリオ(仮説)はどうして成り立つのだろう?
◇ ◇
そして現状。
長良河口堰の週報を追いかけてみる。
2011年5月11日から7月3日までに48回のDO改善のためのアンダーフローフラッシュ操作を行っている。
伊勢大橋「底層」DOの数値は発表されていないので、はっきりしたことはいえないが、DO数値改善に役だっているようには思えない。結局はでアンダーフローフラッシュ操作が可能(「塩水を入れない」!!条件。下げ潮のとき)な「毎日2回」行っていくことになるようである。
そうまでこまめにゲート操作をやらねばならない、ということは、やっぱり長良川河口堰から飲み水を取水するのは無理がある、ということにならないか?
この意味不明な「伊勢大橋地点DO改善アンダーフローフラッシュ操作」につき、フラッシュ実施前後の数値を整理して来年度について云々するのは、年明け(2012年はじめ)なのだそうだ。
弊ブログ
長良川河口堰ゲート開放とは似てもって非なる「開門 倍増」 [2010-12-19]
http://tokuyamad.exblog.jp/15184707/
続・長良川河口堰ゲート開放とは似てもって非なる「開門 倍増」 [2011-01-11]
http://tokuyamad.exblog.jp/15317919/
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2003年5月6日。徳山小学校の図書室。