大滝ダムと徳山ダム-1 |
本日、奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水中の地滑りで集団移転を迫られた白屋地区住民への損害賠償を命じる大阪高裁判決が確定した。
☆ 産経新聞 2011.7.28 14:08
大滝ダム地滑り訴訟、判決確定 -住民ら逆転勝訴-
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110728/trl11072814090003-n1.htm
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水で地滑りが発生し、集団移転を強いられた同村白屋(しらや)地区の元住民12人が国に損害賠償を求めた訴訟は28日、国に1200万円の賠償を命じた大阪高裁判決が確定した。国と元住民側双方が期限の27日までに上告しなかった。
13日の高裁判決は「国は地滑りの危険性を予見でき、元住民は精神的苦痛を受けた」として、請求を退けた1審奈良地裁判決を変更、国に賠償を命じた。
国土交通省近畿地方整備局の上総(かずさ)周平局長は「ダム建設で地元住民に長年苦労をかけたことを重く受け止めたい」とコメントした。
☆ 朝日新聞関西版 2011年7月28日
大滝ダム国家賠償訴訟 国敗訴の2審判決が確定
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201107280129.html
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水で起きた地滑りで移転を余儀なくされたとして、元住民12人が国に慰謝料など約9千万円の国家賠償を求めた訴訟で、国に1人当たり100万円の賠償を命じた大阪高裁判決が28日、確定した。
国土交通省近畿地方整備局の上総(かずさ)周平局長は「関係機関と協議し、上告しなかった。
住民にご苦労をおかけしたことを重く受け止め、今後も事業を執行したい」との談話を出した。(平賀拓哉)
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大阪高裁判決を報じた7月13日の記事
☆ 朝日新聞 2011年7月13日14時57分
奈良のダム試験貯水で地滑り、国に賠償命令 大阪高裁
http://www.asahi.com/national/update/0713/OSK201107130129.html
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水が原因で発生した地滑りで移転を余儀なくされたとして、同村の元住民ら12人が国に慰謝料などを求めた国家賠償請求訴訟の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。松本哲泓(てつおう)裁判長は、一審・奈良地裁判決が退けた移転に伴う元住民の精神的損害を認定。国に対し、1人当たり100万円を賠償するよう命じる判決を言い渡した。
控訴審判決によると、国が大滝ダムへの試験貯水を始めてから約1カ月後の2003年4月、同村白屋(しらや)地区の家屋の壁や地面などに多数の亀裂や崩壊が見つかり、全37戸(計77人)の住民が村内のプレハブの仮設住宅に一時移転。その後、村内外へ移住した。昨年3月の一審判決は「国は地滑りを予見できた」としてダムの設置・管理に瑕疵(かし)があったと指摘したが、移転で生じた財産上の損害は補償され、精神的損害は認められないと判断した。
☆ 共同通信2011/07/13 15:53
ダム地滑りで住民が逆転勝訴 大阪高裁、国に賠償命令
http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011071301000533.html
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水で起きた地滑りで移転を強いられた同村白屋地区の元住民らが、国に計約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(松本哲泓裁判長)は13日、請求を棄却した一審奈良地裁判決を変更し、約1200万円の支払いを命じた。
争点は、国が地滑りの発生を予測できたかどうか。昨年3月の一審奈良地裁判決は、着工前の地質調査結果などを基に「地滑りを予見できたのに、危険防止措置が不十分だった」として、国の安全対策に不備があったと認定。一方、慰謝料の請求については「財産的損害は既に補償されている」と退けていた。
☆ 日本経済新聞2011/7/13 20:24
元住民側が逆転勝訴、国に賠償命令 奈良・大滝ダム訴訟控訴審
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E3E1E2E1E48DE3E1E2E5E0E2E3E39191E3E2E2E2
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水で起きた地滑りで住居移転を強いられた同村白屋地区の元住民らが、国に慰謝料など計約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は13日、請求を棄却した一審・奈良地裁判決を変更し、国に計1200万円の支払いを命じた。
判決理由で松本哲泓裁判長は「岩盤が経年変化で風化し、軟化して地滑りが起き得ることは地質学の一般的な知見」と指摘。「地滑りを予見できたのに、十分な危険防止措置をとらなかった」として、一審に続き国のダムの設置・管理に瑕疵(かし)を認めた。
さらに一審判決が退けた慰謝料請求について「地滑りの恐怖や、仮設住宅での不自由な生活など精神的な損害が補填されたとは認められない」と述べた。
判決によると、大滝ダムは1988年に本体工事に着手。2003年3月の試験貯水後間もなく地滑りが発生、同地区の家屋の壁や地面に亀裂などが見つかり、全37世帯が仮設住宅に一時移転し、その後、同県橿原市や県外などに移転した。
07年に元住民30人が計約2億1千万円を求め提訴。一審敗訴の元住民のうち12人が控訴した。
上総周平・国土交通省近畿地方整備局長の話:国の主張が認められず、誠に残念。判決内容を慎重に検討し、対処したい。
☆ 毎日新聞 2011年7月14日 東京朝刊
奈良・大滝ダム損賠訴訟:地滑りは国に過失、賠償命令
住民側が勝訴--大阪高裁 http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/07/14/20110714ddm012040079000c.html
奈良県川上村の大滝ダムの試験貯水によって起きた地滑りで集団移転した同村白屋地区の元住民12人が、ダムを管理する国に約9000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は13日、請求を棄却した1審・奈良地裁判決を変更し、慰謝料など1200万円の支払いを命じた。松本哲泓(てつおう)裁判長は「ダムは通常有すべき安全性を欠き、設置または管理に瑕疵(かし)があった」と国の過失を認めた。ダム建設を巡り、国に賠償を命じる判決は初めて。【坂口雄亮】
判決は、ダム沿岸部の事前調査で岩盤の緩みが確認され、試験貯水から約1カ月で地滑りが起きたことなどから護岸が安全性を欠いていたと認定。水位変動で周囲の地層岩盤に浮力が生じ、地盤の安定度に影響を与える可能性を把握することはできたと指摘し、予見は可能だったとした。
また判決は「地滑りの起きる地層が特定できなくても、居住者を転居させることで安全を確保できた」と危険回避の可能性も認めた。その上で「住み慣れた住居を離れ、仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされた」と精神的苦痛を考慮し、1人当たり100万円の支払いが相当とした。
判決などによると、白屋地区では03年4月、家や道路に亀裂が見つかり、国の有識者委員会が地滑りは貯水が原因と断定。住民らは奈良県橿原市などに移転した。1審判決は、国の過失を認定したが「元住民らの恐怖心は生命や身体に差し迫っていない」として賠償請求を退けた。
国土交通省近畿地方整備局の上総周平局長は「国の主張が認められず残念だ。関係機関と協議して対応したい」とコメントした。
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危険防止措置をとらなかった国の責任は裁判で認められたようである。住民が起こした訴訟での判断の範囲はそういうことなのだろう。
だが遠くからみている「納税者・国民」としては、こんなダメダムを造ってしまった建設省-国土交通省の責任、「大丈夫だ」と”学術的に”太鼓判を押した専門家の責任はきちんと問われているのか?が気になる。
(2に続く)
◇ ◇
2000年頃の徳山村。