滋賀県・北川ダム 凍結方針 |
滋賀県の北川ダム。
11日に「北川ダム建設事業『検討の場』会議」が開催されたが、12日は各紙が休刊日で、報道は13日付けが多かった。
・・・ 方針に関する予測記事は7日頃から出ているようだ(読売新聞=7日、中日新聞=8日にウェブ記事が)
★ 日本経済新聞 2011/9/11 16:56
滋賀県、北川ダム凍結方針を表明 河道改修を優先
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819499E3E3E2E29A8DE3E3E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
滋賀県は国庫補助事業として整備中の県営北川ダム(高島市)について関係者と協議する「建設事業『検討の場』会議」で11日、ダム計画を凍結し河道改修を優先する治水計画を示した。
嘉田由紀子知事は「同じ安全度を保つなら多額の税金をつぎ込むダム案は県民の理解が得られない」と述べ、30年に1度の洪水に対応する河川整備計画にダム計画を盛り込まず、事実上凍結する方針を示した。
北川ダムは安曇川水系の第1、第2ダムの総称。県は(1)第1、第2ダムと河道改修(2)第1ダムと河道改修(3)河道改修だけ――の3案を検討。
事業費は(1)案の487億円に対し、(2)案は243億円、(3)案は65億円とした。長期的にはダム計画自体は撤回しなかったが、当面の目標とする30年に1度の洪水に対応するにはしゅんせつや堤防強化など河道改修を先行させた方が有利と説明した。
北川ダムは第1ダムが1989年度に国に事業採択され、99年度に工事用道路の改良工事に着手し、用地取得費など事業費は累計114億円。
嘉田知事は国の大戸川ダム(大津市)計画に中止を求めたが、安曇川水系では2009年12月に前原誠司国土交通相(当時)が道府県のダム事業に「できるだけダムに頼らない治水」を求めたことを受け、ダムを伴わない治水計画を検討する方針を表明。
今年2月に検討の場会議を設けた。
★中日新聞滋賀県版
☆ 2011年9月13日
住民翻弄、苦悩訴え 北川ダム問題、計画変更案に不信感も
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20110913/CK2011091302000129.html
本体工事が中止している県営北川ダム(高島市)で、県が正式に「最も優位」と示したのは、ダムを当面、建設せず河道改修を先行する治水案だった。市内で11日にあった会合では、流域住民でつくる委員は計画が県の働きかけで進められ、翻弄(ほんろう)される苦悩を訴えた。
県は(1)北川第一ダム、第二ダム建設(2)第一ダムのみの建設(3)河道改修のみでの治水-の3案を提示。洪水時に複数の河川からの影響を試算した安全度、整備に必要な時間、事業費から検証した。
流域各地の床上浸水、家屋水没、家屋流出の被害を想定した「地先の安全度」(年間の平均被害軽減度)はいずれも(1)案が最も高いが、被害1%を軽くするのに必要な費用を踏まえると、(3)案が「最も効率的」と判断。事業達成の時期は明確な年は示さなかったが、完成までに事業費は(1)案が405億円、(2)案が196億円(3)案が51億円と見積もり、(3)案が「最も早い」とした。
会合では、(3)案に、明確に異を唱えた委員はいなかった。しかし、下流の宮前坊地区の委員は「ダム建設は地元の要望ではなく、県が計画を立てた」と追及。嘉田知事は「ダム建設の予備調査を始めた1973年当時の知事の計画は甘かった」と謝罪。安曇川水系治山治水事業促進協議会の大西勝巳顧問は「県の方針は猫の目のようにころころ変わる。何を主張し、何を信じればいいのか」と不信感を投げかけた。
会合は再検証を求める国の方針に基づき県が設置。この日は39人の委員のうち、35人が出席。欠席した4人の委員のうち2人は建設予定地の朽木麻生地区で、地元の人からは、ダム建設を前提に結んだ基本協定の整合性をただす質問もあった。
(木原育子)
☆ (中日・滋賀) 2011年9月8日
北川ダム凍結案打ち出す 知事、検討会で最終判断
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20110908/CK2011090802000117.html
本体工事がストップしている県営北川ダム(高島市)で、三つの治水対策の是非を検討していた県は、ダムを建設せず「安曇川の河道改修を先行する案が最も優位」とする評価結果をまとめた。安全度、建設費などを総合的に判断しダム凍結案を打ち出している。嘉田由紀子知事は「11日に地元で開く検討会で地権者や流域住民の皆さん意見を聞きながら、決める」と話している。
本紙が入手した資料によると、3案は(1)高島市朽木麻生の第1ダム、同市朽木雲洞谷の第2ダムの建設(国費207億円と県費280億円の計487億円)(2)第1ダムのみの建設(国費87億円と県費156億円の243億円)(3)河道改修のみでの治水(県費65億円)。
県が、過去に水害被害をもたらした降雨の規模と、家屋への浸水度合いで算出する独自の手法「地先の安全度」で試算すると、被害を1%減らすのに必要なコストから割り出す被害軽減率は、床上浸水、家屋水没、家屋流出被害のいずれも「河道改修のみでの治水案が最も優位」と結論づけている。
嘉田知事は6日に建設予定地である高島市朽木麻生に初めて訪問。移転を余儀なくされた人の思いに直接触れた後、取材に「ふるさとを去ることになり、それは生木を引き抜くような思い」と流域住民に寄せる気持ちを語っており、地権者、流域住民の思いをくみ取った上で、最終判断する。
知事はその際、地権者らに1973(昭和48)年に県が予備調査を始めて以来、着手されていない現状に初めて謝罪した。
北川ダム事業は、工事用道路は着工したが、2007年に建設予定地周辺でクマタカの生息を確認し事業を休止。国は地元の意見を聞いて再検証するよう求めている。
(木原育子)
★毎日新聞
北川ダム:県、「安曇川改修単独案が優位」 低コストで効果--第3回検討 /滋賀
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20110913ddlk25010510000c.html ◇地区委員欠席、個別聴取へ
高島市で計画中の県営北川ダム事業再評価について県は11日、「30年に1回レベルの洪水の危険回避には、安曇川の河川改修単独案が最も低コストで効果も早く出る」との判断を示した。
国のダム事業再評価要請に基づき、同市内で開いた地元関係者の意見を聴く第3回検討の場で公表した。県は前回、(1)第1、第2ダムと河川改修(2)第1ダムと河川改修(3)河川改修単独--の3案を提示。今回、国の評価基準に県独自の安全基準も加えて総合評価し、(3)案が「コストと効果発現までの時間などの観点から最も優位」とした。
検討の場にはダム予定地の麻生地区委員3人が欠席。発言しない委員も多かったため、個別に聴取して県判断に対する意見を取りまとめる方針。パブリックコメントも求める。状況が変われば第4回検討の場を開く。その上で県は、淡海(おうみ)の川づくり検討委(学識者)と県公共事業評価監視委の意見を聴いて、国への報告の方針を決定する。
◇道路や振興策、地元に配慮--知事
北川第1ダムは1973(昭和48)年に計画が持ち上がって38年。高島市朽木麻生の用地補償や工事道路などで既に114億円が投じられたが07年、周辺でクマタカ営巣が確認され、中断状態が続く。
嘉田由紀子知事は今月6日、木地山、麻生両地区を訪ねた。当初、ダム建設に反対しながら受け入れて、木地山を去った住民もいる。訪問は「県に協力していただきながら計画が動かなかったことへのおわび」でもあった。
地元で「凍結」という言葉を使わなかった嘉田知事はダム建設の灯を残しつつ、道路や地域振興策を求める声に誠意をもってあたる姿勢をあらためて示した。【塚原和俊】
★読売新聞(滋賀) 2011年9月7日
北川ダム建設凍結方針 知事、予定地住民に陳謝/11日に正式表明
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20110906-OYT8T01218.htm
県が建設凍結の方針を固めた北川第1ダム予定地(2010年5月、高島市で)=本社機から 高島市朽木の安曇川支流に計画されている県営「北川ダム」の建設凍結について、嘉田知事は6日の定例記者会見で「あくまでも、住民の皆さんの意見を聴いて決めたい」と明言は避ける一方で、「ダムに頼らない治水」の重要性を改めて強調した。午後には、建設予定地周辺の2集落を訪問し、住民と意見交換した。嘉田知事は11日、県と市、地元住民が事業のあり方を協議する「北川ダム建設事業『検討の場』会議」の席上で、正式表明する。
嘉田知事は記者会見で、台風12号に伴う各地の集中豪雨など異常気象への対応を問われ、「流域全体を水害に強くするため、河川改修や堤防がある」と言及。「ダムも選択肢の一つだが、上流の雨にしか対応できない。時間とコストを考えた時、どうするかだ」と強調した。
◇
嘉田知事は同日午後、北川第1ダム(高島市朽木麻生)の予定地上流の木地山地区の寺で、ダム事業に伴って立ち退きに応じた1人を含む住民約15人と非公開で会い、集まった住民たちに「ダム事業が長い間進まず、申し訳ない」などと陳謝した。
嘉田知事は会合後、立ち退きに応じた住民について、「古里を捨てさせられた思いは、一生消えないと思う。為政者として、思いを受け止めなければいけない」と語った。
30年以上、計画に関わってきた「北川第一ダム木地山区対策委員会」の水谷良雄委員長(85)は取材に対し、事業凍結の方針に理解を示したうえで、地区への道路拡幅や県有地の森林の有効活用、過疎化を食い止める施策などを要望した。
立ち退きに応じた平楽孫之亟(まごのじょう)さん(83)は「先祖代々の土地を手放しただけに、ダムを完成させてほしかったが、こればかりはしょうがない」と話した。
◇ ◇
少し冷静に考えれば、ダムに頼る治水より、氾濫許容も含めて、流域全体で洪水を受けとめる治水のほうが安全確実なことはすぐに分かる。
だのに岐阜県は「内ヶ谷ダム」につき、ダム優位案を国に報告する予定だ。
8月30日 「内ヶ谷ダム 第4回検討の場」
http://tokuyamad.exblog.jp/16492046/
平成39年完成予定!!! 「環境対策」!!!!
北川ダムではクマタカの営巣で工事が止まっていた。
内ヶ谷ダム集水域にはクマタカがいる。ほぼ確実にダム工事で影響を受ける範囲にクマタカが営巣しているに違いない。(「黒塗り」開示状態で、どういう調査が行われ、何が把握されているのか分からない)
まともに環境調査をし、まともに生態系に配慮をすれば、ダム工事は出来ないことになるだろう。
今も「関連工事/道路工事」で自然を損なっている。
昨年10月から一生懸命に分かろうとしたが(=「ご理解」するために努力したことは県も認めるだろう)、今以て「内ヶ谷ダムの治水ご利益」は何なのかさっぱり分からない。
無駄と破壊は一刻も早くやめて欲しい。