補償交渉記録の真っ黒塗り |
この真っ黒塗り開示文書。
「長良川河口堰事業に伴う漁業補償説明資料及び補償交渉記録」・・・410枚。
この異常なまでの黒塗りのありようは、(独)水資源機構の体質をよく表している。
2007年10月、(独)水資源機構に対してに開示請求をし、あまりの真っ黒塗りなので異議申し立てをし、内閣府審査会にかかってその答申を経て、いくらか(ちょびっと)開示してきたものである。
写真の通り、実際上、不開示に等しい。
とはいえ、この後の手段は訴訟しかない。が、訴訟までして開示を求めるまでもない。そもそも私が開示を求めた文書ではないからだ。
私が求めたのは、長良川河口堰建設前、河口部のヤマトシジミに関して、どういう説明がなされていたのか、であった。漁業補償の詳細を知りたいわけではない。
ところが水資源機構が特定してきたのが、この補償交渉記録で真っ黒塗り。
異議申し立てと並行して別の開示請求を行って「漁業補償基準の建設大臣承認にあたっての影響調査の報告書」というのもを得た(ほぼ黒塗りはなし)。「どういう説明がなさたか」には対応していないものの、こちらのほうが請求の趣旨に合致する。
請求されもいないものを真っ黒塗りで「開示する」という水機構のオマヌケのおかげで、実に4年間も双方ともにバタバタしたことになる。
それにしても・・・補償交渉に関することはいつまで経っても(墓場まで?)マル秘扱いにすることが交渉相手との信頼関係構築にとって必要不可欠だなんて、時代錯誤も良いところ。
公共事業の補償は、基準に則って公明正大に行われているはずだ。「交渉ごとであるからリアルタイムには公開できない」という議論を容れるとしても、補償は公金を使って行われるのである。後になっても第三者(市民)がチェックできないのはおかしくはないか?
撤収後も黒塗りを通そうとしたイラクでの航空自衛隊の空輸活動記録=「週間空輸実績」。理由は「外国との信頼関係」であったが、結局はこちらの異議申し立てに応じて全面開示してきた。防衛省は「外国との信頼関係」云々より自国民に情報公開する利益をとったのだ、当然である。
水資源機構(と内閣府情報公開・個人情報保護審査会-「審査会」))は、外交・防衛文書以上に補償交渉記録を秘匿する、どう考えても妙な話だ。
水資源機構への異議申立書(不服審査請求書)と内閣府審査会への2回にわたる意見書と内閣府の答申のPDFファイル。
◆ 2008年1月5日付 水資源機構への異議申立書
◆ 2008年5月8日付 審査会への意見書
◆ 2011年5月18日付 審査会への意見書Ⅱ
◆ 2011年7月27日付 審査会の(水資源機構への)答申書の写し
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