専門委員会報告書(案)へのパブコメ |
愛知県の長良川河口堰検証専門委員会 報告書(案)へのパブリックコメント。23日が締め切りです。
長良川河口堰検証専門委員会報告書(案)に関する意見の募集について
http://www.pref.aichi.jp/0000045094.html
私は3つにわけで出しました。
(その1) 10月4日送付
開門調査を支持する立場からの意見Ⅰ-塩水遡上と塩害-
長良川河口堰「論争」[ 2011-10-09 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/16664872/ の下のほうに貼り付け
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(その2) 10月18日送付
開門調査を支持する立場からの意見Ⅱ-開門調査の必要性-
<該当箇所 p70 >
【 6 開門調査の実現に向けて 6-1 開門調査の必要性 「長良川河口堰の最適な運用」とは、「塩害防止」、「利水」、「環境復元」の利益のバランスの最適値を達成する運用である。】
<意見>
★ 「開門の必要性」は報告書のp70に登場する。開門の必要性は、さまざまな項目の検討の後に論じられるものなのだろうか? 冒頭あるいは最後にこの専門委員会の結論(姿勢)として、それなりの」文章量をもって論ずるべきものではないだろうか?
仮に開門の必要性がないのであれば、そもそもプロジェクトチームや専門委員会を設置する意味もなかったことになり、委員会の報告書の意味もなくなってしまうことになりかねない。
★ 開門調査の必要性を、【「長良川河口堰の最適な運用」】【「塩害防止」、「利水」、「環境復元」の利益のバランスの最適値を達成する】に限局することは、河口堰関門(調査)の重要性を相対化し、議論の水準を低めることに繋がってしまうのではないか、と危惧を覚える。
★ 生態系サービスの享受は、現在の流域住民はもちろん、未来世代の人類全体にとって必須なものである。「生態系回復」はそれ自体、非常に大きな「利益」である。
★ 昨年開催された生物多様性COP10において、「愛知ターゲット」が合意された。劣化した生態系の保全と回復の重要性は国際的にコンセンサスを得ている。
★ 河口部を閉めきって海と川を分断し、汽水域をなくしてしまう計画には、当初から流域住民による強い危惧があった。それは、当時は漁獲(水産資源)の問題として、あるいは特定の何種類かの動植物の問題として、水質の数値の問題として語られたとしても、本質は生態系の壊滅的な劣化の問題であった。
この劣化した生態系を回復することこそが「最適化」に他ならない。
★ 生態系回復を最優先課題とするべきである。「塩害防止」(という役割があるとすれば)及び「利水」については、代替・代償的措置として論ずるべきものである。
★ 生物多様性のもつ普遍的価値は論をまたない。
そして長良川では、河口堰で川が堰き止められ、汽水域・感潮域が失われることによって、生物多様性が(程度の評価の差はあれ)損なわれ、今も脅かされていることも異論はない。
開門によって生き物の川と海との自由な往来を確保し、汽水域・感潮域を回復することは、長良川の生態系復活のための必要条件である。
★ 他の地域での汽水域を復活させる事業では、生物の種類や個体数が急速に増えている。長良川河口堰開門も、また生態系回復に著しい効果を上げることが期待できる。
★ 「開門の必要性」については、生態系回復という普遍の「利益」-国際的価値&将来世代にもたらす恵み-を正面から論じて、説得力のあるものとして欲しい。
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(その3) 10月18日送付
開門調査を支持する立場からの意見Ⅲ-その他-
<該当箇所 p68>
【 5)利水からの撤退ルールが作られたが、まだ使い勝手が悪い】
<意見>
この長良川河口堰のようにすでに建設してしまった施設の検証において、建設途中の事業に関して定められている「撤退ルール」に言及することは議論を脇道に逸らすことにしかならないと懸念する。この報告書のテーマである長良川河口堰開門調査に、直接的に必須の議論ではないのであるから、この項は削除すべきと考える。
建設途上における「撤退ルール」が現状「使い勝手の悪い」とすれば、その原因の一部は、単独意思でも撤退が出来るはずの(利水者としての)自治体側にもある。
例えば木曽川水系連絡導水路事業では、愛知県は単独意思で「撤退」が可能であり、現時点であれば、その清算額(最終的負担額)は、現行事業費における負担額より遙かに小さいことは明らかである。にもかかわらず愛知県として「撤退」を真剣に検討した様子はない。
こういう現状で、ルール化が一層難しい「完成・運用開始後」の施設の撤退ルールが合理的かつ構成には議論できないのではないか。
<該当箇所 p69>
【最後は3550 億円へと膨れ上がった。】
<意見>
徳山ダム建設事業費は、2004年の事業実施計画変更で3500億円となった。その後の建設工事で事業費縮減を図り、最終的にはで3350億円であったと聞いている。3550億円という数字には根拠がないのではないか?
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