アユの産卵を見る会 報道 |
昨日(11月5日)に、岐阜市の長良川河川敷で行われた「アユの産卵を見る会」の記事である。(中日新聞 岐阜県版 2011.11.06)
大きなアユ減少、遅い時期に産卵 岐阜の長良川で「見る会」
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20111106/CK2011110602000097.html
「アユの産卵を見る会」が5日、岐阜市の長良川河川敷で開かれた。
長良川河口堰(ぜき)の影響を定点観測しようと、写真家の新村安雄さん(57)=岐阜市=が毎年、開いており、今年で22回目。
午後4時ごろ、長良橋下流の産卵場がある水深15センチほどの川底に水中カメラを置き、河川敷に設置したスクリーンで映像の観察を開始。水中には無数のアユが命をつなごうとびっしり。黒とだいだいの婚姻色がはっきりと現れた15センチほどの無数の雄がひしめく中に、やや大きめの白っぽい雌が下流から突っ込み、産卵した。
新村さんによると、長良川のアユの産卵時期は、河口堰ができる前は9月中旬から始まり、10月下旬には終わっていた。だが、年々、大きなアユが減り産卵時期が遅くなっており「今年は始まったばりではないか」と推測。河口堰ができる前よりピークは1カ月ほどずれてきているという。理由として新村さんは、ふ化したアユの子どもが河口堰により潮の満ち引きが利用できないため、早い時期に産卵する大きなアユの子どもは海に自力で下る前に水温が高すぎて力尽き、遅い時期に産卵、ふ化する小型のアユの子孫だけが生き残っていると指摘する。
新村さんは「県庁所在地の中心でアユの産卵が観察できるのは素晴らしいこと。自然のサイクルに戻すためには河口堰の開門しかない」と話している。 (山本真嗣)
「リバーリバイバル研究所」のサイト
http://blog.goo.ne.jp/niimuray
からユーストリームの画像を見ることができる。
http://blog.goo.ne.jp/niimuray/e/f78f6770a869b6144b59b75000654a77
【長良川でおこなった「アユの産卵をみる会」当日 LIVEで中継したものです。
今年は多くのアユが産卵するところを観察できました。
ただし、11月に産卵が行われていることは、アユの本来の生活史からみると1ヶ月以上遅れています。長良川河口堰建設後、2年目からこの現象が進行していました。】
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22回にわたって毎年行われてきた「見る会」。
これまで毎年10月の第4週に行われ、今年もはじめは10月22日に予定されていた。
(中日新聞 20011.10.19)
10月22日は天候の悪化が予測されて中止。2週間遅い「見る会」となった。
新村さんは「産卵が遅くなっていること」「アユが小型化していること」について、以下のような考察を述べておられる。
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2000年に建設省の資料を分析していて気がついたことですが、長良川河口堰の運用開始後、魚道で採補される稚アユのふ化日が3年間で3週間ほど遅くなりました。
これは、以下のメカニズムかと考察して日本自然保護協会の報告書として発行されています。(中略)
1,長良川河口堰運用により湛水域が形成される。
河口域の感潮域が著しく減少する → 潮汐のポンプがなくなるということ
汽水域が産卵場から遠くなる → ふ化から採餌可能な場所までの距離が伸びる。
2.水温が高い場合、と低い場合の流下仔あゆの生残率がことなる。
水温が高い
基礎代謝が大きいので早くエネルギーを消費する。
卵黄の比率が低水温時より(わずかに)小さい。
水温が低い
基礎代謝が小さいので同じ卵黄でも長生きする。
卵黄がわずかだが高水温じより大きい
3,大型のアユの方が小型のアユよりも早く産卵を開始する。
4.大型のアユは産卵時に一度にほとんどの卵を放出する。小型アユは何回かに分けて産卵する。
また、大型のアユは一度に産卵を行う傾向がある。
こららの情報を総合すると、早い時期に生まれる「大型のアユ」の子は長良川河口堰を下って海に行けない。
遅く産卵する小型アユの子は、海に下ることが出来る。
そこで、長良川で大型のアユがいなくなる。
長良川のアユの産卵期が遅くなる。
という事態が起こると予測しました。実際にそれが起こっているということですね。
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一刻も早く長良川河口堰を開門し、海と川との生き物の往来を取り戻して欲しい。