長良川河口堰検証専門委報告書採択 (報道など) |
11月7日、愛知県の長良川河口堰検証第11回専門委員会が開催され、報告書が確定した。

資料などは愛知県企画課ホームページに。
長良川河口堰検証について
http://www.pref.aichi.jp/0000042436.html
長良川河口堰検証第11回専門委員会
http://www.pref.aichi.jp/0000046255.html
会議の模様は、ユーストリーム「環境テレビ-中部」
http://www.ustream.tv/channel/環境テレビ-中部
にアップされるはず
9月24日から10月23日までのパブリックコメントで寄せられた意見がかなり反映されたものとなった。パブリックコメントを単なる「聞きおく/手続き」とせず、内容をよく吟味して、反映すべきは反映させ、報告書(案)のブラッシュアップする努力をされた委員の皆様に、心から敬意を表したい。
これまで「反対派の言い分」として闇に葬られてきた議論が、公式の報告書に採り上げられた意義は大きい。それだけにマスコミも含めて「違和感」「抵抗感」があるように思える。
専門委員会の報告書だけで開門が実現するわけではない。
まずもって重要な第一歩の踏み出し、と評価すべきだと思う。
★ 中日新聞 2011.11.08

★ 毎日新聞 2011.11.08
1面

社会面

★ 朝日新聞 2011.11.08
1面

31面-1

31面-2

★ 読売新聞 2011年11月8日
長良川 河口堰開門提言を採択
愛知県専門委 慎重派委員 2人目辞任
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/111108_2.htm
長良川河口堰(ぜき)(三重県桑名市)の開門調査を提言している愛知県の専門委員会は7日、上部組織のプロジェクトチーム(PT)に提出する報告書を採択した。PTは年内に大村秀章知事へ調査の実施を提言する見通し。
報告書では、開門によって失われた生態系を回復し、豊かな環境を取り戻せるとして、5年以上ゲートを開けて水質、生物調査を実施するとしている。調査には国や流域自治体などの同意が必要で、開門調査に向けた議論を始めた愛知県が中心的な役割を果たすよう求めている。
開始時期は農業用水を取水しない10月~翌年3月の間としたが、座長を務める小島敏郎・愛知県政策顧問は「合意形成が必要で、今年度の開始は厳しいだろう」との見方を示した。
委員の木本凱夫(よしお)・元三重大助教授は「開門すれば堰上流に海水が遡るため、別の水源の確保が必要だが、具体案が盛り込まれていない。報告書の作成者に名を連ねるのは意に反する」として委員を辞任、報告書の採択に加わらなかった。読売新聞の取材に対し、「報告書にある案は現実的とは言えず、最初から開門ありきで議論が進められていたように思う」と話した。
専門委では、開門調査に慎重だった藤田裕一郎・岐阜大教授も9月末で委員を辞任している。
小島座長は「最後まで当初の委員で議論できると思っていたので残念だが、委員の選任は中立的だった」と述べた。
★ NHKニュース
◇岐阜・11月07日 20時18分
専門委 せき開門の報告書
http://www.nhk.or.jp/lnews/gifu/3006453711.html
長良川河口ぜきをめぐる愛知県の専門家による委員会は、「生態系への影響を調査する必要がある」として、5年以上の開門調査を求める報告書をまとめました。
長良川河口ぜきは、塩分を含んだ海水が上流にのぼることを防ぐため、平成7年から本格的に運用していますが、漁業関係者などからは環境への影響を懸念する指摘が出されています。
このため愛知県は、専門家の委員会を設けて議論を行い、7日、委員会が、報告書をまとめました。この中では、「生態系への影響を調査する必要がある」として、門を開いて、魚やシジミなどの生息状況の変化を5年以上調査することを求めています。
そして、海水が逆流する塩害の被害を避けるために、川から水道用水などを取っている地域では、常に塩分の濃度を計測しながら門の開閉を調節する、農業への影響を考慮して、調査の開始時期は稲作の終わった10月頃から開始するなどとしています。
また、海水の逆流によって使用できなくなる可能性のある各種用水の代替の水源は、岐阜県内にあるダムを活用するとしています。
委員会の終了後、座長を務める青山学院大学の小島敏郎教授は、記者団に対し、「開門には岐阜県や三重県などとの合意が必要であり、愛知県には、合意を得るための努力が求められる」と述べました。報告書は、県の作業チームを経て、今年中にも大村知事に提出されます。
◇岐阜・11月07日 20時18分
地元には期待と懸念の声
http://www.nhk.or.jp/lnews/gifu/3083735581.html
長良川河口ぜきの開門調査を求めた報告書について、岐阜県内からは、川の環境改善につながるという期待の声がある一方、塩害を懸念する声もあります。
河口ぜきに近く海抜ゼロメートル地帯での農業が盛んな海津市では、開門調査による塩害など、農業に対する影響に不安の声があがっています。
海津市の松永清彦市長は「調査委員会は開門するという結論ありきで議論し、一度も海津を見に来ないで塩害は出ないだろうと言っている。一度塩害が出てしまったら3000ヘクタールある海津市の基幹産業の農業が続けられなくなってしまうおそれがあり、開門調査には断固反対です」と話していました。
また、海津市で30年以上トマトのハウス栽培を営んでいる福島正己さん(55)は「河口ぜきの水のおかげで飛躍的に安定的な収穫を得られるようになった。トマトだけでなく農作物にとって塩分はマイナスでしかなく、塩害のおそれがある開門調査は断じて認めることは出来ない」と話していました。
一方、長良川であゆ漁などを営んでいる岐阜市の漁師からは歓迎する声が上がっています。
60年以上漁を続けている山中茂さん(79)は「河口ぜきができてあゆなどの魚は10分の1にまで減ってしまった。川は自然な姿が一番で、魚が行き来する春と秋だけでも開門してほしい。報告書の内容はたいへんけっこうなことだ」と話していました。
★中京テレビ(更新時間:2011-11-07 20:28)
長良川河口堰 「開門調査必要」の報告書
http://www.ctv.co.jp/newsctv/index_loc.html
岐阜市の長良川で5日、アユの産卵を見るイベントが開かれた。長良川の魚に詳しい新村安雄さんが、長良川でアユの産卵場所を見つけてからほぼ毎年、観察会を開いている。
新村さんは、16年前に河口堰が本格運用されてから、天然アユだけでなく、長良川の生態系自体が変化したという。「アユはいるけど、サイズが小さくなって産卵期も遅れた。川の藻類を食べる魚が来なくなり、その分の栄養が余ったから川が汚くなった」と話す。
洪水の防止や、水道水・工業用水の利用を目的につくられた長良川河口堰。川の生物に影響をおよぼすの声が上がったことから、愛知県の大村秀章知事と名古屋市の河村たかし市長は、河口堰を開門して調査を行うことを共通のマニフェストに盛り込んだ。
これを受け愛知県は、独自に検証チームをつくり「開門調査をする必要がある」とする報告書を7日、まとめた。内容は、5年以上ゲートを開放するというもの。生態系が回復し、魚が昔のように戻るには長い時間が必要としている。
新村さんは「開けるべき。9月後半の稲作が終わったころに開ければ、(引き潮にのって)速くアユが海に下っていけるから、(昔のように)大きなアユが帰ってくると思う」と期待している。
一方で、岐阜県や三重県では、開門によって海水が川に逆流し、農作物に影響を与える「塩害」を心配する声がある。この開門調査、実現にはまだまだハードルが高そうだ。


