ダム等FU委員会と専門委報告書 |
「中部地方ダム等管理フォローアップ(FU)委員会」というものがある。
設置者は国土交通省 中部地方整備局長 および 独立行政法人水資源機構 中部支社長で、「中部地方ダム等管理フォローアップ委員会は、「ダム等の管理に係るフォローアップ制度の実施について(平成14年7月24日国河環第32号)」(国土交通省河川局長達)に基づき、フォローアップ調査の実施、結果の分析及び評価について中部地方整備局長等に対して意見を述べ、ダム等の管理の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上に資することを目的としてい」るとなっている。
年2回ほど開催され、中部地整および水機構中部支社が準備した報告と評価を承認するのがその役割だ(「承認しない」という議論をみたことがない)。
11月14日に今年度第1回中部地方ダム等管理フォローアップ委員会(以下「FU委員会」と略す)が開催された。11月8日付けでいったん開催告知された後、11日付けで議題に「愛知県の長良川河口堰検証専門委員会報告書(案)について」が追加された。
「平成23年度第1回中部地方ダム等管理フォローアップ委員会の開催(新たな議事の追加)」(2011.11.11発表)
http://www.water.go.jp/chubu/chubu/20111111kisyahappyou.pdf3)
愛知県の長良川河口堰検証専門委員会報告書(案)について【追加議事】
FU委員会の委員長は、愛知県の長良川河口堰検証専門委員会を9月末付けで辞めた藤田裕一郎氏。愛知県の長良川河口堰検証PTのメンバーである辻本哲郎氏と松尾直規氏も委員である。
公開とはいうものの100名近くの席のうち一般傍聴者席は最後尾の10名分ほどしかない。写真は開会前にお役人席に分け入って(?)撮ったもの。

【追加議事】に関して少し。
★ 「愛知県検証専門委報告書(案)/考察・検証等」と「主な事項に関するこれまでの検証・評価等/中部地方ダム等管理フォローアップ委員会等での検証・評価、事業者のこれまでの説明、土木学会による評価等」を並べたA3版の表(強調点に赤字を使っている)が出されました。
★ 各委員から専門委報告書に対してコメントあり。「この委員会で専門委報告書案を議題にする意味が分からない」という意見(沖野委員)もありましたが、おおかたの委員は報告書を非難・攻撃。欠席委員3名からペーパーが出されました。かなり感情的なものもありました。近々ホームページに載るはずです(→※)。
☆ 藤田委員長
「治水・塩害の部分で意見を述べたが他の委員のこの分野の知識が不足していて理解して貰えなかった」
☆ 松尾委員
「(自分も委員を務めてきた)これまでモニタリング委員会やフォローアップ委員会は膨大な資料・データに基づいて審議してきた。(愛知県の専門委員会のような)短い時間で分析するのは無理。専門委員会は一部だけをみて全体をみていない。」
辻本哲郎委員は欠席。ペーパーも出しませんでした。
閉会のあいさつ=水資源機構中部支社副支社長・富岡氏が一番分かりやすかった。
・このフォローアップ委員会で愛知県の長良川河口堰検証専門委員会報告書(案)について議題にするのがいいかどうかは迷いもあった。
・これから開かれるPTにはこのフォローアップ委員会の委員でもある、松尾・辻本両氏が居られるが、「専門委員会報告書」は変わらないだろう。
・今後、「専門委員会報告書」を前提に、愛知県から何らかの働きかけがある可能性がある。
・これまでのフォローアップ委員会等の評価について改めて委員のご確認、ご意見を頂いた。
・これを今後の対応に活かしていきたい。
→※
整備局トップ > 河川部トップ > 中部地方ダム等管理フォローアップ委員会 >
平成23年度 第1回中部地方ダム等管理フォローアップ委員会 資料
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/h23.htm
各委員のコメントは「議事要旨」p5~
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/h23_gijiyoushi.pdf
事業者が準備した資料 「愛知県の「長良川河口堰検証専門委員会報告書(案)」について
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/h23_nagara-kensyou.pdf ◇ ◇
★中日新聞 2011年11月15日
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国交省委で批判相次ぐ 河口堰の開門求める報告書
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20111115/CK2011111502000091.html
長良川河口堰(ぜき)(三重県桑名市)を検証する県の専門委員会が今月7日に採択した5年以上の開門調査を求める報告書について、国土交通省中部地方整備局の「中部地方ダム等管理フォローアップ委員会」が14日、名古屋市内で議論し、委員たちから批判が相次いだ。同じ「環境問題の有識者」の間で、意見が180度対立する形となった。
委員会では報告書について「代替水源について十分な議論がなされていない」「日本の渇水対策に対するストックは国際的に見て低い」「開門すれば、河口堰運用後に形成された生態系が、再びかく乱される」などの批判が相次いだ。中部地整は、これらをホームページで公開する方針。
委員会は、ダムなどが環境に与える影響を点検するため、毎年開いている。委員長の藤田裕一郎・岐阜大教授は、県の専門委も務めていたが、9月末で辞任。委員11人のうち2人が、県の専門委の上部組織・有識者会議の委員を兼ねている。
開門調査については岐阜、三重県が否定的な意向を示しており、国交省も今回の意見を背に、反対姿勢を強めるとみられる。県の専門委で座長を務めた小島敏郎・青山学院大教授は「意見があるなら、専門委で言ってほしかった。互いの意見を堂々と、公開の場で議論すればいい」と話した。
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事業者側は、事業者のデータにのみ依拠し、事業者の評価をまるっと「承認」し続けてきたFU委員会をタテに何か言いたいらしい(FU委員会のほうが「より科学的」だ、とか?)。
公開の場で大いに議論して貰いたいものだ。
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