八ッ場ダム「建設再開」 |
22日、前田武志国交大臣は、八ッ場ダムの建設を再開し、来年度予算に計上する旨を記者会見で発表した。同日夜には群馬入りして、群馬県知事や長野原町長に会ったという。
★ 東京新聞2011年12月23日 朝刊
八ッ場ダム「建設再開」 予算計上、地元に伝達
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011122302000027.html

前田武志国土交通相は二十二日の記者会見で八ッ場(やんば)ダム(群馬県)の建設を再開し、本体工事費を二〇一二年度予算案に計上すると表明し、建設予定地に入り再開を伝えた。再開に反対していた民主党の前原誠司政調会長は同日の記者会見で「無理やり予算に入れるなら反対する。閣議決定させない」と述べた。
同ダム建設中止は民主党が政権交代を果たした〇九年衆院選のマニフェストで掲げた。
前田氏は記者会見で再開の理由を「全体の八割まで事業が進捗(しんちょく)している。非常に大きな洪水調節の効果がある」と指摘。一五年度の完成予定に対して「再開後六、七年はかかる」と述べた。
前田氏は、藤村修官房長官が再開の条件に挙げた(1)利根川水系の河川整備計画を策定し建設の根拠としてきた流量を再検証(2)建設を中止した場合の建設予定地の生活再建に向けた法案をまとめ、次期通常国会への提出を目指す-の二点も受け入れる考えを示した。
前原氏は記者会見で「再開は論理矛盾だ」と批判。一方で「最高意思決定機関は政府・民主三役会議なので、そこでどのような決定をするかに尽きる」と述べ、最終的には野田佳彦首相もメンバーの同会議の決定に従う意向も示唆した。
八ッ場ダムをめぐっては、〇九年に当時の国交相だった前原氏が建設中止を宣言した。だが、建設を前提にしていた地元は反発し、後任の馬淵澄夫国交相(当時)は中止方針を事実上撤回。建設の是非を検証していた国交省は今月七日、「建設再開が妥当」との結論を示していた。
<八ッ場ダム> 群馬県長野原町の利根川支流・吾妻川で国が計画する多目的ダム。総貯水量1億750万トンで、1952年に調査着手。水没予定地の住民は激しい反対運動の後、代替地移転を受け入れた。2009年9月、政権交代で国土交通相に就任した前原誠司氏が建設中止を表明したが、地元の強い反発を受け、後任の馬淵澄夫氏は中止を事実上撤回。事業を検証した国交省関東地方整備局は今年11月、「継続が妥当」と報告し、前田武志国交相は民主党内の議論も踏まえて建設の是非を判断する考えを示していた。
★ 東京新聞群馬版 2011年12月23日
八ッ場ダム「継続」決定で<1> 称賛と批判 交錯
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20111223/CK2011122302000078.html
★ 毎日新聞 2011年12月23日
群馬・八ッ場ダム建設:予算計上、再開決定 民主、公約撤回
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111223ddm001010044000c.html
★ 毎日新聞群馬版 2011年12月23日
八ッ場ダム建設:再開(その1) 推進派は「万歳」 「生活再建を早く」 /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20111223ddlk10010286000c.html
★ 朝日新聞 2011年12月23日
八ツ場ダムの建設再開決定 民主マニフェスト総崩れ
http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201112220430.html
★ 読売新聞 2011年12月23日
八ッ場ダム継続、「無駄な2年間だった」と地元
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111223-OYT1T00014.htm?from=top
★ 読売新聞群馬版 2011年12月23日
待ちわびた前進に拍手/八ッ場建設継続 予算案、予断許さず
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111223-OYT8T00099.htm
◇ ◇
報道の関心は、「民主党のマニフェストが崩れるかどうか」にあるようだ。
今、「閣議決定させない!」と頑張っている前原誠司氏は、2年前に国交大臣に就任したとき、報道陣の質問に対して「八ッ場ダムは中止する。民主党がマニフェストに掲げて、総選挙に勝ったのだから」と答えていた。
「マニフェスト(公約)に掲げた」「選挙に勝った」「だから遂行する」という論法は何重にも危うい。
「多数」は正義なのかどうか? 本当の「民意」は投票数の多寡で測れるか? 変化する社会状況において政策の優先順位はどうあるべきか?
果たして八ッ場ダムで一番肝心な問題は「民主党のマニフェストが崩れるかどうか」なのだろうか?
地元は60年にわたって翻弄されてきた。首都圏の八ッ場ダム反対の運動は10年にも満たない。
利根川水系河川整備計画は未策定であり、用地取得も全て終わったわけではない。
八ッ場ダムを建設するにしろ、運動側が反撃して止めるにしろ、いろいろな意味で、前途遼遠であると感じる。
◇ ◇
