内ヶ谷ダム 転流工事予算と「公共事業における生物多様性配慮」 |
★ 岐阜県 3月12日発表
公共事業における生物多様性配慮ガイドラインの作成について
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/sonota/seiryu/t-guide.html
環境配慮は大いに結構だが、そもそもその公共事業が本当に必要かどうかが、問題だ。
環境配慮を謳うことで、無用な公共事業がゴリ押しされることにならないか?
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長い間、休眠状態に近かった長良川上流亀尾島川最奥部の内ヶ谷ダム。ダムにたよらない治水を目指したはずのダム事業等の再検証で眠りから起こされた。
寝た子を起こしてダム建設に拍車?~「ダム見直し」の怪~[ 2010-10-07 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/14744873/
事業主体である岐阜県は2010年11月に第1回検討の場を開催。2011年8月には第4回検討の場で「継続」方針を確認。10月に岐阜県は「継続」方針を正式表明して国交省に伝達。
2011年4月、国交省は「有識者会議」に諮り(「有識者会議」は事業者からの報告を追認するだけだからして)、6月には「内ヶ谷ダム建設事業への補助金交付を継続」する対応方針を決定。
分かり易い、国交省からの補助金交付を継続するための通過儀礼としての「再検証/検討の場」だったのだ。
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内ヶ谷ダムの検討の場について
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/anshin/uchigatani-kentonoba.html
そして昨年末の公共事業予算大盤振る舞いの自民党政権の誕生をうけて、とうとう来年度予算で転流工(河川水をバイパスさせるトンネル工事)に着手するという。
(「平成39年完成予定」を2年前倒ししている)
国庫補助が55%。この有害無益な事業に全国の納税者の税金が注がれる。
県の事業費の全てが県債!! 岐阜県は無駄な公共事業とハコモノで県債を積み上げ、起債許可団体に転落していた。ようやくそこから脱した途端に、性懲りもなく無益な事業に県債を充てるというのだ。
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結論ありきの再検証であるとはいえ、「検討の場」で、これまで公表されてこなかった資料が出たのも事実である。そこで内ヶ谷ダムが実はほとんど役に立たないダムであることが明瞭になった。
内ヶ谷ダムに係るパブコメ提出 -岐阜県の意見募集に応じて-[ 2010-12-25 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15218853/
だが、国交省の再検証マニュアル(ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目)では、従来計画が代替案より優位性があると導かれるように仕組まれている。
内ヶ谷ダムの2回目意見募集に応じて[ 2011-05-05 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15921964/
かくて「内ヶ谷ダム建設事業への補助金交付を継続」するための再検証となり、ついには不可逆的な自然改変へと歩を進めようとしている。
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不思議なことに、この内ヶ谷ダム事業が12日発表の「公共事業における生物多様性配慮ガイドライン」で作ることになった環境保全チェックリストの対象事業かどうか、ということも、14日の段階では担当者自身が不明確である。
内ヶ谷ダム事業ではすでにこのガイドライン並みの環境配慮はなされてきている、という認識らしい。
たしかに生物環境調査の資料は膨大いあった・・・だが、資料は公表されず、「検討の場」でも議論にもならない有様。
国交省に「継続」方針を報告した後、半年近く経ってからようやく開示。
内ヶ谷ダム環境調査資料開示への異議申立て→ほぼ通りました [ 2012-03-07 13:50 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/17281216/
これが「公共事業における生物多様性配慮ガイドライン」並みというのであれば。このガイドラインなるものの中身と実効性が大いに疑われる。
古田・岐阜県知事は、「清流の国ぎふ」をコンセプトに3期目の県政を進めようとしている。
来年度予算においても「清流の国ぎふ」に引きつけた事業が目立つ。
「清流」を押し出したいなら川を分断するダムや堰をむやみに作るのはやめて欲しい。
真に「清流の国ぎふ」を希求するなら、今、珠玉の渓流内ヶ谷を壊してはならない。
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