大垣は廃墟となる-もし敦賀原発が事故ったら-(2) |
承前
岐阜県放射性物質拡散シミュレーション
http://www.pref.gifu.lg.jp/bosai-bohan/bosai/nuclear/simulation.html
ケース⑦

ある気象条件の下で、福島第一並みの事故が起きたら・・・大垣市のほぼ全域が20mS/年、特に中心部は実に100mSv/年超の実効線量となる。
全住民が避難しなければならない。
長期にわたって人が住めない。
100mSv/年などという高濃度の汚染地帯に、再び、人が暮らせるようになるには、一体、どれだけの時間がかかるだろう?
大垣は廃墟となる。
このシミュレーション公表から、随分時間が経った。
だが、岐阜県も、大垣市も、大垣市民に対して、この放射性物質拡散シミュレーション結果をきちんと説明する機会を設けていない。
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岐阜県は、2012年度末の地域防災計画見直し(原子力災害対策計画を加える)に、この放射性物質拡散シミュレーション結果を反映させるとした。さて、どのように?
「概要」だけが示され、2月28日から1週間という短期間、パブコメが募集された。この段階では、シミュレーション結果は「対策強化地域」という形で言及されるらしいとわかったものの、具体的な地域名や対象人口は不明であった。
3月18日に策定された新たな岐阜県地域防災計画。
岐阜県トップ > 防災・防犯 > 防災 > 防災体制 > 地域防災計画
http://www.pref.gifu.lg.jp/bosai-bohan/bosai/bosaitaisei/chiiki-keikaku/
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原子力災害対策計画
第一章 総則(pdf:530KB) p8
(2)原子力災害対策強化地域
シミュレーション結果を踏まえ、以下のとおりとする。
①甲状腺等価線量が週50 ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域
西濃 大垣市(旧上石津町)、垂井町、関ケ原町、
揖斐川町(旧春日村及び旧坂内村)、池田町
②実効線量が年間100ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域
西濃 大垣市(旧大垣市)、関ケ原町、揖斐川町(旧藤橋村及び旧坂内村)
③実効線量が年間20ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域
岐阜 岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、
岐南町、笠松町、北方町
西濃 大垣市、海津市(旧平田町)、養老町、垂井町、関ケ原町、神戸町、
輪之内町、安八町、揖斐川町、大野町、池田町
中濃 関市(旧板取村)、可児市(旧可児市)、
郡上市(旧八幡町、旧大和町、旧美並村、旧明宝村及び旧和良村)
東濃 多治見市(旧多治見市)
飛騨 下呂市(旧金山町及び旧馬瀬村)
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「対策強化地域」の市町名(合併前市町名も)は示されたものの、対象人口は不明なまま。
避難しなければならない可能性のある②や③の地域の住民の数がわからなければ、避難計画が立つはずものない。
情報公開請求で 「 放射性物質拡散シミュレーション結果に係る避難想定人口 調査票」が出てきた。(昨年12月19日に、県から各市町に照会。大体1週間程度で回答されたそうだ)
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さよなら原発ぎふブログ
岐阜県に情報公開請求して、公開してもらったデータに加筆してまとめました。
敦賀原発事故想定 岐阜県内自治体地区別 避難対象人口 修正 ( 2013-05-01 11:42:39 )
http://ameblo.jp/611gifu/entry-11521796960.html
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衝撃的な数字だ。
ケース⑦の場合、「年間20ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域」、つまり、国のユルユル基準でも、数日~1週間以内に広域的に避難しなければならない人数が75万人。
そんな大人数の人間が移動することができるのか? 避難先が確保できるのか?
どう考えても「無理」である。
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大垣市は人口の97.4%が、年間20ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域にはいる。ではその中でも、一刻も早く避難しなければならない「実効線量が年間100ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域」、特に中心部の避難想定人口は?
ケース⑦の一部。濃い赤は大垣市の中心部。

そして大垣市が岐阜県の避難想定人口についての照会に対して回答した表。

ケース⑦の大垣市の「年間100ミリシーベルト以上」人口は0となっている。
えええ???、ゼロぉぉ?
明らかに大垣市の人口密集地に「色付け」があるのに、 何でそんなことになるの?
表の欄外に 「[補足] ケース⑦について、100mSv以上の仕分けは困難。」とある。
県からの照会(調査票記入依頼)では、「その地区に少しでも色付けがあれば「○」を記入」とある。確かに示された図面は粗いが(HPに公表されているものだけだだそうな)そのまま機械的に作業すれば良いだけではないか。
機械的に当てはめると14万人というような数字が出そうだ。防災担当者としてはイヤな数字には違いない。「地域の一部だけが『実効線量が年間100ミリシーベルト以上となる可能性が示された地域』という地区もあるんだしぃ」という言い訳も聞こえて来そう・・・。
県と大垣市の間でどういうやりとりがあったかは定かではない。
結局、県の地域防災計画には、市町名(旧市町名)に言及するところまでに止めた。つまりは、情報公開請求をしなければ「 放射性物質拡散シミュレーション結果に係る避難想定人口 調査票」の存在そのものが消されるところだったらしい。
これはマズイ。住民にとってマズイ、行政にとってもマズイ。
続く
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